黒い雨
この項目では、放射性物質について説明しています。小説については「黒い雨 (小説)」を、映画作品については「黒い雨 (映画)」をご覧ください。 黒い雨 (くろいあめ)とは、原子爆弾投下後に降る、原子爆弾炸裂時の泥やほこり、すすなどを含んだ重油のような粘り気のあるような大粒の雨で、放射性降下物(フォールアウト)の一種である。 目次 1 概要 2 主成分 3 広島における降雨地域 4 健康への影響 5 関連作品 6 関連項目 7 脚注 8 外部リンク 概要 原子爆弾が投下された広島市で、黒い雨の記録が残っている。また、フランスの核実験場であったムルロア環礁や [1] 、ソ連の核実験場であったセミパラチンスク周辺でも [2] 、原子爆弾投下後の降雨の記録が残っている。 広島市では、主に北西部(下記参照)を中心に大雨となって激しく降り注いだ。この黒い雨は強い放射能を帯びているため、この雨に直接打たれた者は、二次的な被曝が原因で、頭髪の脱毛や、歯ぐきからの大量の出血、血便、急性白血病による大量の吐血などの急性放射線障害をきたした。大火傷・大怪我をおった被爆者達はこの雨が有害なものと知らず、喉の渇きから口にするものも多かったという。原爆被災後、他の地域から救護・救援に駆けつけた者も含め、今まで何の異常もなく元気であったにもかかわらず、突然死亡する者が多かった。水は汚染され、川の魚はことごとく死んで浮き上がり、この地域の井戸水を飲用した者の中では、下痢をすることが非常に多かったという。 長崎でも、黒い雨の降雨記録が残っている。黒い雨は爆風や熱線の被害を受けなかった地域にも降り注ぎ、広範囲に深刻な放射能汚染をもたらした。 主成分 広島県高須地区にある民家の応接間の壁裏に残っていた黒い雨の跡(白壁に上から墨滴を流したような黒い線)を分析した結果、炭素・珪素・鉄、そして原爆由来のウランが主な成分として検出されたことが、1986年1月17日に日本放送協会(NHK)が放映(製作:NHK長崎放送局)した番組 [3] の中で報告された [4] 。番組内では特に鉄分について、爆発時の熱によって蒸発した広島市内の鉄構造物によるものだけではなく、爆弾そのものの鉄分である可能性についても言及している。なお、この雨の跡からは、セシウム137(半減期30年)が微量検出されており、富士フイルム