石膏


石膏(せっこう、gypsum、ジプサム[1])とは硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分とする鉱物である。硫酸カルシウムの1/2水和物がバサニ石(CaSO4・0.5H2O)、2水和物が石膏(CaSO4・2H2O)、無水物が硬石膏(CaSO4)。これら硫酸カルシウムの各水和物および無水物を一纏めに「石膏」という場合もあるので注意を要する。




目次





  • 1 半水石膏(バサニ石)


  • 2 二水石膏(石膏)

    • 2.1 石膏ボード


    • 2.2 石膏プラスター


    • 2.3 生薬



  • 3 無水石膏(硬石膏)


  • 4 参考文献


  • 5 脚注


  • 6 関連項目


  • 7 外部リンク




半水石膏(バサニ石)








バサニ石
分類
硫酸塩鉱物
化学式
CaSO4・0.5H2O
結晶系
単斜晶系

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硫酸カルシウム・1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を半水石膏焼石膏またはバサニ石(bassanite)という。


土壌中及び溶岩内から発見されている[2][3]


半水石膏は、水と化学反応し二水石膏に変化する。骨折時の治療用具としてのギプス、型取り用の石膏は粉末状の半水石膏を水と反応させ二水石膏(単に「石膏」ともいう)として硬化させたものである。


日本薬局方では「焼石膏」として記載されている。


豆腐の凝固剤としても用いられており中華人民共和国南部や台湾などでは「豆腐花」など、日本では絹ごし豆腐といった柔らかい豆腐の製造に適する。これは溶解してイオン化し塩析効果を発揮する速度がにがりよりも遅いため、濃厚な豆乳の全体を均質に凝固させやすいからである。



二水石膏(石膏)




















石膏

石膏
分類
硫酸塩鉱物
化学式
CaSO4・2H2O
結晶系
単斜晶系
へき開
一方向に完全
モース硬度
2
光沢
亜ガラス光沢

無色
条痕
白色
比重
2.3

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硫酸カルシウム・2水和物(CaSO4・2H2O)を二水石膏軟石膏、または単に石膏(gypsum、狭義の「石膏」)という。比重2.23の無色の結晶。硬度1.5~2。水に難溶。単斜晶系に属する。


二水石膏は加熱(160~170℃)により水分を失い、半水石膏に変化する。


天然には、温泉作用や蒸発岩の一種として生じる。蒸発岩としては陸地に閉じ込められた海水が干上がることによって、溶解度の関係から炭酸カルシウム(石灰岩)、硫酸カルシウム(石膏)、塩化ナトリウム(岩塩)の順で沈殿し、それぞれの地層をつくる。石膏は難溶ではあるが、0.2g/100cc程度の溶解度を有するため、石膏の地層が広く露出した地域では長年月の間に雨水による溶解が進行し、石膏カルストが発達する。


天然には単結晶のほかに結晶集合体が生じ、透明のものを透明石膏セレナイト、selenite)、繊維状のものを繊維石膏(satinspar)、細かい粒状のものを雪花石膏アラバスター、alabaster)と呼ぶ。セレナイトは巨大な結晶として産出される[4]ことから窓用として、アラバスターは彫刻の素材として古くから用いられてきた。また排気ガスの脱硫過程、燐酸系化学肥料の製造工程、製塩でも生じるためこれらは回収される。


また、生薬として漢方薬に配合されたり、防火用の石膏ボード、彫刻などに使われる。



石膏ボード


石膏ボードは建築材料として幅広く用いられる材料であり防火性、遮音性に優れている。石膏ボードには約21%に相当する結晶水が含まれており、これが耐火性に大きく寄与している。近年、建築物の建て替えに伴い発生する廃石膏ボードが廃棄物処理場の地下水に生息する硫酸塩還元細菌に代謝されて硫化水素を発生し環境上の問題となっており、リサイクルなど廃棄物化させない処理方法が研究されている。


ラスボードとは、塗壁の下地に使用される孔あき石膏ボードのことである。左官材の付着をよくするために孔があけられている。施工性、耐火性、遮音性に優れている。



石膏プラスター


水硬性で、凝縮も速く、乾燥における収縮が少ないため亀裂が生じにくく、仕上がりが白く美しいと言う特徴がある。居室の湿度をコントロールする優れた調湿性能があり、結露防止効果、シックハウス症候群の原因となっているホルムアルデヒド濃度を低減(吸収分解)する効果もある[5] 。単にプラスターといったときは石膏プラスターを指し、焼セッコウ(硫酸カルシウム0.5水和物)に硬化を遅らせるための凝結遅延剤として、フノリ、ゼラチン、デンプン、ホウ砂などを添加したもので、上塗り用として使われ、砂を混合して下塗り用ともする[6]。さらに無水セッコウ(硫酸カルシウム)に硬化を速めるための凝結促進剤として、石灰、ミョウバン、ポルトランドセメントなどを添加しても用いられる[6]


プラスターとは、鉱物質の粉末と水を練り合わせた塗装原料で、建築の壁面塗装(プラスター塗壁)や装飾物の仕上げに用いられる。最も古い建築技術の一つで,エジプトのピラミッド、ギリシアの建築などにも用いられた[7]。石膏を主材にした「石膏プラスター」と、白雲母を焼いて水和熟成させた「ドロマイトプラスター」、消石灰(水酸化カルシウム)にフノリ、ツノマタなどを添加し、繊維質を混合した「石灰プラスター(漆喰)」がある。



生薬




生薬として用いられる石膏


天然の二水石膏は、日本薬局方に医薬品名「石膏」として記載されている生薬である。天然物であるから純粋の硫酸カルシウム・2水和物ではなくケイ素、アルミニウム、鉄などの化合物が少量含まれる。


生薬としての石膏は、解熱作用や止渇作用などがあるとされる。石膏を含む漢方方剤は竹葉石膏湯、防風通聖散、麻杏甘石湯、桔梗石膏など多数ある。



無水石膏(硬石膏)




硬石膏



無水硫酸カルシウム(CaSO4)を無水石膏または硬石膏(anhydrite)という。



参考文献


  • 松原聰 『日本の鉱物』 学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年、113-115頁。ISBN 4-05-402013-5。

  • 国立天文台編 『理科年表 平成20年』 丸善、2007年、642頁。ISBN 978-4-621-07902-7。


脚注


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  1. ^ “中央アジアの彩色に利用される彩色材料一覧”. 国立歴史民俗博物館. 2018年1月8日閲覧。


  2. ^ Bassanite(mindat.org)


  3. ^ Bassanite Mineral Data(webmineral.com)


  4. ^ “最大で長さ12m、超巨大結晶が埋め尽くす「クリスタルの洞窟」 古代微生物の発見も”. 産経新聞. (2014年9月6日). http://sankei.jp.msn.com/wired/news/140906/wir14090613110001-n1.htm 2014年9月6日閲覧。 


  5. ^ 壁材(塗り壁材)- 仕上げ材(ケンコート) - 吉野石膏

  6. ^ ab世界大百科事典 第2版


  7. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


関連項目



  • 鉱物 - 硫酸塩鉱物

  • 鉱物の一覧


  • 岩石 - 堆積岩 - 蒸発岩

  • 岩石の一覧

  • 砂漠のバラ


外部リンク





  • Gypsum(mindat.org)(英語)


  • Gypsum Mineral Data(webmineral.com)(英語)

  • 廃棄物最終処分場における硫化水素対策検討会報告書骨子(厚生労働省)


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