触肢


触肢(しょくし、pedipalp)とは、節足動物の中で鋏角類に特有の関節肢、鋏角と第一歩脚の間に付く前体(頭胸部)の第二付属肢である。触鬚(しょくしゅ)とも呼ばれる。




目次





  • 1 大顎類との対応関係


  • 2 概要

    • 2.1 節口類の触肢


    • 2.2 クモガタ類の触肢


    • 2.3 ウミグモ類の触肢



  • 3 脚注


  • 4 関連項目




大顎類との対応関係



古典的な知見において、鋏角類の触肢は大顎類(多足類・甲殻類・六脚類)の大顎に相同の付属肢(第3体節由来)であると考えられた。しかし発生学的証拠と遺伝子発現によると、むしろ甲殻類の第二触角(第2体節由来、多足類と六脚類の場合は退化)に相同である方が有力視される[1]



概要


触肢は6節によって構成され、カブトガニ類の場合は歩脚と一致で、クモガタ類の場合は7節の歩脚より一節少ない(蹠節を欠く)。節口類などの基盤的な真鋏角類の触肢は特殊化せず、歩脚として用いられることが多いが、クモガタ類の触肢は顕著に歩脚から分化し、ほとんど歩行に用いず、感覚や捕食器官としての役割を果たすのが一般的である。


また、複雑な口器を持つ大顎類とは異なり、鋏角類の口器となる付属肢は1対の鋏角しかなく、口は鋏角と触肢の間にあるため、触肢の基部(基節)は摂食を補助する突起を持つことが多い。クモは触肢基節には下顎という突起を持ち、ザトウムシ・カブトガニ・ウミサソリは更に特殊化しており、後の歩脚の基節まで加えて顎基(gnathobase)という餌を咀嚼できる構造となる。



節口類の触肢


カブトガニ類とウミサソリ類からなる節口類(節口綱、腿口綱、カブトガニ綱)の触肢は特殊化せず、歩脚として用いられる場合がほとんどである。そのため、節口類の触肢は形態学的に第一脚と扱いされ、付属肢の構成については「鋏角1対・歩脚5対」として記述されることもある(通常およびクモガタ類の場合は「鋏角1対・触肢1対・歩脚4対」となる)。



  • カブトガニ類の触肢は歩脚から分化せず、歩脚とはほぼ一致な外見を持つ。しかし雄のカブトガニ類の場合、触肢は次の1対の歩脚と共に、先端が鉤状に特殊化しており(アメリカカブトガニは触肢のみ)、雌の後体を把握することに用いられる。


  • ウミサソリ類の触肢も歩脚として用いられる。ミクソプテルスなどのような、触肢が隣接した歩脚と共に捕脚状となる種類もある。


クモガタ類の触肢


コヨリムシを除き、クモガタ類(クモガタ綱、蛛形鋼、クモ綱)の触肢は主に捕食や感覚など歩行以外の用途に用いられる。



  • クモの触肢は短い歩脚状の感覚器官である。雄の場合は同時に交接用の器官でもあり、先端に精液を蓄える移精器官という複雑な構造体を持つ。


  • サソリとカニムシの場合、触肢は捕食器官であり、立派な鋏状となる。ウデムシとヤイトムシのは同じ役割で鎌状となり、サソリモドキのは鋏状と鎌状を合わせた形をとる。


  • ヒヨケムシの触肢は発達した歩脚状であり、先端は吸盤を持つ。感覚器官であると同時に捕食にも用いられ、平滑な表面に登るなど多くの用途を持つ[2]


  • ザトウムシの触肢は主に歩脚状で、鎌状の捕食器官となる種もある。イトグチザトウムシ科(Nemastomatidae)に属するMitostoma chrysomelas は、長い歩脚状の触肢の表面はモウセンゴケのような粘毛に覆われ、トビムシを獲ることに用いられる[3]


  • コヨリムシの触肢は他のクモガタ類とは異なり、歩脚のように歩行に用いられる。


ウミグモ類の触肢





ウミグモの触肢(3)


ウミグモ類(ウミグモ綱、皆脚綱)の触肢は単純な歩脚状であり、触肢が完全に退化した種類もある。


英語などの場合、ウミグモ類の触肢は「palp」と呼ばれ、他の鋏角類(真鋏角類)の触肢「pedipalp」とは区別される。



脚注




  1. ^ Telford, Maximilian J.; Thomas, Richard H. (1998年9月1日). “Expression of homeobox genes shows chelicerate arthropods retain their deutocerebral segment” (英語). Proceedings of the National Academy of Sciences 95 (18): 10671–10675. ISSN 0027-8424. PMID 9724762. http://www.pnas.org/content/95/18/10671. 


  2. ^ Holm, Erik; Dippenaar-Schoeman, Ansie (2010). Goggo Guide: The arthropods of southern Africa. Pretoria: LAPA Publishers. ISBN 0799346896.


  3. ^ Wolff, Jonas O.; Schönhofer, Axel L.; Schaber, Clemens F.; Gorb, Stanislav N. (2014年10月1日). “Gluing the ‘unwettable’: soil-dwelling harvestmen use viscoelastic fluids for capturing springtails” (英語). Journal of Experimental Biology 217 (19): 3535–3544. doi:10.1242/jeb.108852. ISSN 0022-0949. PMID 25274325. http://jeb.biologists.org/content/217/19/3535. 



関連項目


  • 鋏角類

  • 鋏角

  • 触角


Popular posts from this blog

Top Tejano songwriter Luis Silva dead of heart attack at 64

ReactJS Fetched API data displays live - need Data displayed static

政党