毛 (動物)
生物学においての 毛 (け)とは、生物の構造の一つであり、生物体表面から突出した突起状構造のうち非常に細いものをさす。非常に広い範囲の生物において、様々なものがある。 ほ乳類はケモノ(=毛物)の通称どおり、体表に体毛を生やしている種類が多い。ヒトも例外では無いが、頭頂部から後頭部にかけての頭髪以外は薄くなっており、産毛の状態で生まれてくる。成熟にするにしたがって、ある程度濃くなるが、一般の哺乳類ほど濃くはならない。 目次 1 ほ乳類の毛 1.1 季節による変化 1.2 構造 2 服の材料としての毛 2.1 虫の害 3 動物一般における毛 3.1 節足動物の場合 3.2 環形動物の場合 4 植物の場合 5 細胞に関わるもの 6 人体の毛 7 関連項目 8 脚注 ほ乳類の毛 ほ乳類の毛は皮膚の角質化によって生じた構造に由来するもので、爬虫類の鱗、鳥類の羽毛と相同であるとされ、時にまとめて羽毛と呼ばれる。一般に体温の保持と体表面の保護の役割を担うものと考えられる。特に、ほ乳類は恒温動物であり、寒冷な環境では体温を保つために長い毛を密に持つものが多い。毛穴の奥で形成され、そこから伸び出してくる。ヤマアラシなどの皮膚にある針状のものも毛の一種である。馬、ライオンなどに見られる頭部や頸部など特定の部位に生えている毛をとくに「たてがみ」という。 季節による変化 全身の毛は主として防寒の役割を果たすが、四季のはっきりした地域では、季節による気候の差に対応するように、毛の生え方が変わる。夏のそれを 夏毛 (なつげ)と言い、冬のそれを 冬毛 (ふゆげ)という。一般に冬毛の方が細かい毛が密生している。毛皮の用途には冬毛が喜ばれる。この2つの毛は、見かけの色も大きく変化する例があり、オコジョやエチゴウサギでは、冬は真っ白の体毛になる。これは雪の多い地方での保護色として働く。この中間の季節には短い時期にこのような毛が入れ替わる時期があり、毛変わりと呼ばれる。 なお、このような変化は鳥でもみられ、やはり夏毛、冬毛と呼ぶ。 構造 200倍に拡大した髪の毛 髪の毛の構造 羊毛は一つの層のキューティクルから、他の動物の毛はさらに多くの層のキューティクルから構成される。 毛は生物学的重合体である。乾燥重量の90%以上はケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されている。通常の状態で