テキストエディタ




テキストエディタ(英語: text editor)とはコンピュータで文字情報(テキスト)のみのファイル、すなわちテキストファイルを作成、編集、保存するためのソフトウェア(プログラム)である。一般的に、文字情報の入力、削除、コピー、貼り付け、検索、置換、整形などの機能を備えている。Windowsのメモ帳や、macOSのテキストエディット、UNIXのvi、Emacsなど、多くのオペレーティングシステム (OS) やデスクトップ環境に最初から装備されている。




目次





  • 1 特徴


  • 2 様々なテキストエディタ

    • 2.1 編集形態


    • 2.2 GUIへの対応


    • 2.3 テキストの種類


    • 2.4 スクリプト


    • 2.5 その他の種類



  • 3 テキストエディタの利用目的

    • 3.1 日常的な文書編集


    • 3.2 プログラミング


    • 3.3 データ編集



  • 4 ワープロソフトとの比較


  • 5 関連項目




特徴


ソースコードの記述のためプログラマに愛用されるが、ワープロソフトの代わりに著述業の人々に愛用される場合もある。ワープロソフトは高機能な反面、起動や終了に時間がかかり、動作が鈍重で、出力されるファイルが大きくなる傾向がある。その点、テキストエディタは小回りが利く、素早く動けるなどのメリットがある。禁則処理など日本語編集に特化した機能を搭載したテキストエディタもある。



様々なテキストエディタ



編集形態


現在は、画面上に編集するテキストを表示し、その上でカーソルを移動させて編集を行なうテキストエディタが主流である。そのようなエディタはスクリーンエディタと呼ばれる。しかし、それ以前のテキストエディタは、CUIを用いて編集を行なう、ラインエディタと呼ばれるものが広く用いられていた。また、入力されたテキストを、正規表現等の一定の規則に従って変換して出力するストリームエディタもある。



GUIへの対応


GUIではOSによるが、表示形態の違いでSDIとMDIの二種類がある。SDIの場合は、ひとつのウィンドウ内にひとつのデータのみを表示する。複数のデータを処理する場合は、複数のウィンドウを開くことになる。複数のデータを他のアプリケーションと見比べながら作業するには都合がいいが、その分、ウィンドウ管理が繁雑になる。MDIの場合は、ひとつのウィンドウ内に複数のデータを表示することができ、ウィンドウの代わりにタブなどの機能を通してデータを利用する。また他にも、EmacsやgVimの様に、ひとつのウィンドウ内に複数のデータを保持し、コマンドまたはタブを通じてアクセスするものもある。



テキストの種類


大抵のテキストエディタは文字情報だけを持つプレーンテキストという文章を扱うのに対し、ソフトウェアによっては文字情報に加えて、個々の文字に色や書体、スタイルなどを持たせることができる場合がある。そのようなスタイル情報も含んだ文章のことをマルチスタイルテキストまたはリッチテキストと呼ぶ。



スクリプト


テキストエディタの中にはスクリプト、またはマクロと呼ばれる、編集作業の自動化、機能拡張、さらにはテキストエディタのインタフェースそのものの変更を行える機能を持っているものもある。スクリプトには、言語インタプリタなどの他のアプリケーションの機能を利用するもの、独自に開発されたもの、作業手順の自動記録などの機能を通じて利用するものなどの種類がある。代表的なスクリプトには、Emacsのelisp、秀丸エディタの秀丸マクロなどがある。スクリプトを利用することにより、ファイル管理や、ネットワーク通信まで行えるテキストエディタ以上の総合的な利用を行なうことが出来る場合もある。



その他の種類


テキストエディタの中には、打鍵時に音がなったり、入力画面の背景に壁紙を挿入したりするような、アクセサリ的要素の強い機能を持つものもある。また、日本向けでは、縦書用のインターフェイスを持ち、普通の縦書文書を書くのと同じように利用することのできるものもある。


基本的な機能だけを持つテキストエディタは比較的作成しやすいため、プログラミングの入門として適当であるとの見方もあり、パソコン上で動作するものがオンラインソフトウェアとして数多く出回っている。



テキストエディタの利用目的



日常的な文書編集


テキストエディタの利用目的のひとつに、日常的な文書の編集がある。業務用文書に付いては、リッチテキストやオフィスアプリケーションによる文書が主体だが、メールを書いたり、メモを取る場合などには、負担の軽いテキストエディタが利用されることが多い。アプリケーションによっては、一般のテキストエディタ相当のものが組み込まれている場合や、テキストエディタそのものを呼び出す機能の付いている場合もある。


また、Windowsにおけるメモ帳などのように標準で搭載されているテキストエディタがあるため、外部のコンピュータで開くときに対応しないといった問題が減る。



プログラミング



テキストエディタの古くからの利用目的のひとつに、プログラミングがある。プログラミングには多様な文字列の高速な編集機能を必要とするため、プログラミング向けの機能を持っている特殊なエディタが多々ある。具体的には、プログラム言語の種類による予約語の色分け(シンタックスハイライト)、入力の補完、コンパイラや外部アプリケーションとの連携、自動インデントなどの機能である。これらにより、プログラミングの負担を大幅に減らし、大きなプログラムを作る際の補助となることができる。



データ編集


テキストエディタを通じてログファイルなどの固定長、可変長のデータを編集する場合もある。この際に、一部のエディタは矩形コピー、矩形貼り付け(「箱型」、「ボックス」など、エディタによって呼称に揺れがある)などの機能を通じて、作業負担を大幅に減らすことができる。また、業務用の場合、何万行、何十メガバイトといった巨大なデータを扱う必要もあり、こうしたデータの扱いにすぐれたテキストエディタが求められることもある。



ワープロソフトとの比較


テキストエディタの用途の多くはプログラミングであり、本来からワープロで作成するようなリッチな文書作成用に作られたものではない。一太郎やMicrosoft WordやOpenOffice.orgなどのワープロソフトでは、文書中に画像を挿入したり、見やすく書式を設定したりすることができるが、テキストエディタは文字しか扱わないために、画像などのデータは挿入できない。しかし、テキストエディタは、ワープロソフトに比べて起動や編集作業が軽快であり、始めにテキストエディタで文書を作成してから、最後にワープロに流し込むなどの使用法もある。


テキストエディタにはアウトラインという概念が本来ない。またテキストエディタには日本語の文章校正機能を持つものがない。文章校正機能の使用には賛否があるものの、社内文書や技術文書など、表記の統一が必要な場合には有効である。誤変換、誤用、誤記を指摘する日本語校正支援機能を備えたテキストエディタは存在しない。テキストエディタではなく適切にワープロや校正支援ツールを使うことで、単純な誤変換、誤用、誤記を減らすことができる。



関連項目


  • テキストエディタの一覧

  • エディタ戦争

  • 統合開発環境

  • オーサリングツール


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