ワイパー

Multi tool use

自動車のワイパー
ワイパー(英: Wiper)とは、汚れや不純物を拭き取る機構である。
自動車等の輸送機器に装備されるもの、住宅の窓ガラスや床を拭くもの、精密部品など工業製品用のものなどがあり、ウエスや紙製のものもある。毎年6月6日はワイパーの日である[1]。
目次
1 輸送機器のワイパー
1.1 歴史
1.2 構造
1.3 種類
1.3.1 形状
1.3.2 装備箇所
1.3.2.1 リアウインドーワイパー
1.3.2.2 ヘッドランプワイパー
1.3.2.3 ウインターブレード
1.4 ワイパーの取り替え
1.5 ワイパー以外の除去装置
2 家庭用品
3 脚注
4 関連項目
輸送機器のワイパー
輸送機器に装備されるワイパー(Wiper)は、降雨・降雪時および時化た海、泥濘地などでの運行において、主にフロントガラスに付着した水・氷、海水や泥水などを払拭し運行者の視界を確保する装置である。
日本での法令用語は「窓ふき器」と称され、アメリカではWindshield wiper、イギリスではWindscreen wiper と称される。プジョーが世界で初めて自動車にワイパーを装備している。
歴史
安全上重要な装置で、メアリー・アンダーソン(1866-1953) の発明である。類似の考案は従前から存在するも、彼女の考案によるゴムブレードとバネ式アームを使用した装置は曲面のガラスにも密着して効果的に払拭できることが画期的で、1903年11月に特許が成立した。1920年の特許切れ以降、大半の自動車に標準装備されている。
世界で初めて雨滴感知式間欠オートワイパーを装備したのは、1983年に発売された6代目日産・セドリックである[2]。
構造
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電動機の連続回転運動をリンクにより往復回転運動に変換し、ガラス表面に長い嶺を当てたゴムで一定領域を扇状に払拭する。カウルトップ内に内蔵された電動機とリンク、それらにより往復回転させられるピボット、カウルトップ外に露出したピボットの頭に嵌合するアームと、その先端に取り付けられたブレードで構成されている。ブレードは払拭ゴムをガラス曲面に隙間なく追従させるため複雑なリンクを成している。これら基本構造は発明されて以来100年以上ほとんど変わっていない。
- ウインドウウォッシャー
ウインドウウォッシャーと呼ばれる洗浄剤噴射装置も装備され、ワイパーと共に使用して付着した砂塵や軽い水垢などの汚れ、軽度の霜などを溶かして除去することができる。レシプロエンジンを操縦席の前に装備する航空機には、フロントガラスに付着したオイル飛沫やグリースをガソリンで溶解洗浄するウインドウォッシャーのみ備えるものもある。
- 払拭ゴム

自動車用ワイパーの払拭ゴム
フロントガラス等の払拭面に直接接触するのはワイパーブレードに取り付けられたゴムで、完全に水を拭き取るものではなく、定期的な動作によりガラス面に付着した水滴を拭いながらガラス表面に薄く均一な水の膜を作り、水滴による屈折を抑えて車内からの視界を確保[3]している。
払拭ゴムは消耗や経年劣化により払拭機能が低下するため定期的に交換する必要がある。ブレード本体も度重なるガラス面との往復によりリンクがガタつき払拭機能が低下するので、アームから外して交換することができるようになっている。
- スポイラー

ワイパーのスポイラー
フロントガラスのワイパーは、ボディの形状によっては高速走行時の気流がガラス面と払拭ゴムの間に入り込んでブレードが浮き上がり、払拭能力が不十分になることがある。この対策として、ブレードまたはアームにへら状のスポイラーを設け、気流を利用してブレードをガラス面に押し付ける作用を持たせたものもある。
- 操作について

自動車のワイパーのスイッチ
電動化された自動車のワイパーは、ハンドル直近の位置にすべての機能を集中したスイッチを配し、運転中でも支障なく操作できるようになっている。
発明当初は電動ではなく、フロントガラスあるいはその付近の車体を貫通したワイパーピボットに取っ手がついており、車内から手動でワイパーを操作していた。
種類
形状
装備箇所
リアウインドーワイパー

バンのリアウインドーワイパー
リアウインドーワイパーはリアウインドーに装備され運行者の後方視界を確保するワイパーである。ステーションワゴンやミニバン、軽自動車を除く2ボックスハッチバック車に装備される場合が多い。これら車種は後部にトランクがなく、リアウインドーはリアエンドパネルから連続して上部にありリアタイヤが巻き上げる汚れた水滴が付着[4]しやすいことによる。
ヘッドランプワイパー

乗用車サーブ・900のヘッドランプワイパー
前照灯に装備されるワイパーである。降雪時には特に効果が高く、過去にボルボ、メルセデス・ベンツ、サーブ、日産・サファリなどに装備されていたが、レンズがガラスから合成樹脂に主流が遷移するのに従い、払拭がレンズ表面を傷めることから、洗浄液の高圧噴射で付着物を取り除くヘッドランプウォッシャーに代替されていった。
なお世界で初めて搭載されたボルボのヘッドランプワイパーは、丸形ヘッドライト中央部を軸に回転するものであった。
欧州諸国を中心に、日本、韓国、オーストラリアなども加盟する国際連合欧州経済委員会 (UNECE) による自動車基準調和世界フォーラムでは、2000ルーメン以上の光束を持つヘッドランプに洗浄装置の装備を義務付けている。
ウインターブレード
乗用車のウインターブレード
ワイパーシステムの構成部位であるブレードに降雪対策を施した特殊部品である。
降雪の程度によってはブレードの複雑なリンク部が雪詰まりによる凍結で払拭ゴムを正しくガラス面に当てられなくなり、ワイパー機能を十分に発揮しなくなる。これを防ぐためリンク部全体が薄い合成ゴムで袋状に被覆され雪付しないようにされている。また払拭ゴムは通常型の2倍程度に高さを持たせており、流動性のない雪を払い落としやすくされている。
高速走行時において、構造上風抜けが悪いためフロントガラスではモーターの負担が大きいことや、ブレードが長い場合は高さのある払拭ゴムの端が風下へ捲れやすくなる。このためウインターブレードは標準装備の通常型ブレードより1サイズ短いものを選択するのが一般的である。
フロントガラスおよびリアウインドーの通常型ブレードを環境に応じ適宜付け替えて使用する。
ワイパーの取り替え
ワイパーのゴムは使用年月と共に劣化するので、1、2年毎にワイパーを取り換える必要があり、普通乗用車では自分でも替えられる。アメリカでは、大型スーパーやハードウェアストアにITW、ボッシュなどのワイパー・ブレードが低価格品約$5、中程度品約$10、高価格品約$20が売っていて、取り付けも「J-Hook」(U字フック)[5]などで取り付けやすいものになっているので、自分で取り替える人が多い。日本では、ワイパーのゴムのみを取り換える人も多い。[6] 左右のワイパーの長さが違う場合があるので、要注意。
ワイパー以外の除去装置
- ワイパー以外に、ドアミラーに付着した水滴を超音波で除去する装置や、冬季のワイパー氷結を緩める熱線プリントによるデアイサーの装備が設定されている自動車もある。
船舶や寒冷地における鉄道車両では、透明な円盤を回転させその遠心力で雨滴や雪を吹き飛ばす「旋回窓」も使用されている。
ダグラス DC-8は操縦席のウインドシールドにワイパーを装備せず、エンジンコンプレッサーから抽出された圧縮空気を利用して雨などを吹き飛ばす『レインリムーバル』を搭載している。
家庭用品
クイックルワイパー - 化学ぞうきんに柄を付けた掃除用品。
脚注
^ 6月6日はワイパーの日
^ NISSAN HERITAGE COLLECTION
^ 日本ワイパブレード株式会社 ワイパーの基礎知識
^ テレビ朝日『今すぐ使える豆知識 クイズ雑学王』→おさらい→バックナンバー2009年5月20日放送「自動車の後ろのワイパーがワゴン車に多く付いている理由は?」
^ ワイパーの取り付け方の注意
^ 車のワイパー交換 値段はいくら?交換時期の目安となるサインってある?
関連項目
ロバート・カーンズ - 間欠式ワイパーの発明者として知られ、アメリカ合衆国で複数の大手自動車メーカーを相手に特許を巡って長く争った。
旋回窓 - 一部の船舶や鉄道車両に設けられた、ガラス面の水滴などを除去する装置。
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