知事
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知事(ちじ、英語: Governor)は、地方行政区画を統轄する官庁の長のことである。英語では governor というが、古代ローマの属州や、イギリスの海外領土の governor は、「知事」ではなく「総督」と訳されることもある。
目次
1 語源
2 各国の知事
2.1 日本
2.2 アメリカ合衆国
2.3 中国
2.4 インド
2.5 アラビア
2.6 韓国
3 副知事
4 関連項目
語源
「知事」とは、(寺院の)物事を治め司るという意味のサンスクリット「カルマ・ダーナ」を漢訳した言葉に由来する。中国では隋の時代より、主に寺院での住職の名称として用いられている。その後宋代に地方の府、州、県の長官を「知某州事」「知某県事」などと呼ぶようになり、短縮されて「知県事」「知府事」などと呼ばれるようになった。宋代には正式な中央官制に組み入れられており、中央の官職を持たない県の長官は「県令」と呼ばれた。ちなみにこの「知」と同じ用法としては、知行がある。
各国の知事
日本
日本では、広域自治体である都道府県の首長を都道府県知事(都知事、道知事、府知事、県知事)という。一方、基礎自治体である市町村の首長は市町村長(市長、町長、村長)という。戦前は知事は内務省管轄であり、勅任官であったが、現在は選挙により選出される。知事のもとに置かれる部局を知事部局という。
明治維新直後、府藩県三治制が布かれた時期には、知藩事(藩知事)が各地の藩に置かれた。これは江戸時代以来それらの藩を治めた大名(藩主)がほぼそのまま任命されたが、廃藩置県により県令、のち県知事に置き換えられた。
日本統治時代の台湾では、台湾総督府の下の地方行政区画5州に首長として州知事が配置された。同じく日本統治時代の朝鮮では、朝鮮総督府の下に地方行政区画13道があり、当初は道長官が配置されたが、1919年からは首長として道知事が配置された。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国の州 (state) の首長 (governor) は、州知事と訳される。州により多少の差異はあるが、おおむね合衆国政府において大統領が持つ権限と同等の権限を州政府において持つ。ただし、主に法務執行や選挙管理を中心とする一部の行政権の最高決定権が、知事の部下である州務長官に属する州が多い。
中国
中国では、府(唐から清まで)・州(清まで)・県の長官を知府、知州、知県という。
現在では各省の省長が知事にあたる。
インド
州知事 (インド)参照
大統領が州知事を任命し、州知事は首相を任命する。行政における実質的な権限は州首相が持っている。各州にある地方裁判所は知事が任命するが、高等裁判所は大統領が任命する。
アラビア
バーレーン・エジプト・イラク・ヨルダン・クウェート・レバノン・オマーン・シリア・イエメンの県の長のmohafaziは、知事と訳す。
韓国
韓国では、日本の都道府県に相当する道と、首都のソウル特別市、政令指定都市に相当する広域市が「広域自治団体」とされ(ソウル特別市と広域市は道の所属から独立)、このうち道の首長を「道知事(トジサ、도지사)」と呼ぶ。特別市・広域市の首長は「市長(シジャン、시장)」である。一方、「基礎自治団体」には一般市と郡があり、市の首長は「市長」、郡の首長は「郡守(クンス、군수)」である。いずれも以前は政府が任命していたが、1990年代以降は選挙により選出される。
副知事
副知事(ふくちじ)は、一般に知事を補佐あるいは代行する役職である。
- 日本の都道府県には知事に対し副知事が置かれる。
英語圏(旧イギリス植民地、イギリス海外領土)の lieutenant governor は、これに対応する governor の訳に応じて「副知事」もしくは「副総督」と訳される。
オランダ王国の小アンティル諸島の自治領に置かれる gezaghebber も、「副知事」もしくは「副総督」と訳される。
関連項目
- 県令
- 総督
- 太守