ベッコウハゴロモ
ベッコウハゴロモ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ベッコウハゴロモ | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Ricania japonica Melichar | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ベッコウハゴロモ |
ベッコウハゴロモ Ricania japonica Melichar はハゴロモ科の昆虫の1つ。褐色の前翅には2列の無色の帯状斑紋がある。日本ではこの類でもっとも普通な種である。
目次
1 特徴
2 習性など
3 分布など
4 類似種など
5 利害
6 出典
7 参考文献
特徴
体長6-8mm、翅の後端までなら9-11mm、全紙を開いた時の横幅は20-24mm[1]。全体に地色は暗褐色。
頭部は前後にはごく短く、横には幅広く、正中線に縦の隆起線がある。全体に暗褐色から暗黄褐色、複眼は暗褐色で単眼は淡紅色、触角は黄褐色。小楯板は大きくて暗褐色、中央に3本の縦に伸びる隆起線があり、左右の2本は前端で正中線のそれと繋がる。腹部背面は暗褐色。前翅は幅広く、全体に暗褐色から黄褐色で、表面に暗緑色の粉を装う場合がある。また後端の縁に平行する形で内側に2列、無色の帯状斑紋がある。この斑紋の外側のものは中央付近で翅の基部側に少し突き出た形になっている。また内側のものは翅の側面側少し手前で区切れ、縁に独立した無色斑がある形になっている。またこの2列の無色斑に挟まれた部分の縁近くに周囲より暗い色になった斑紋がある。ただしこの斑紋には若干の変異があり、全体に淡い色になった個体や、無色斑に褐色を帯び、斑紋が不明瞭になる例も知られている。後翅は透明で、縁沿いと中央付近が少し褐色を帯びている。
幼虫は体型は成虫に似ており、全体に淡褐色。腹部の第7、第8節に小さな突起があり、その先端に茶褐色の長い毛束を持つ[2]。これを反転させ、傘状に開いて体を覆う[3]。
習性など
産卵はごく細い枯れ枝に行われるとされる[4]。卵は楕円形で長さ0.9mm、先端が少し尖っており、乳白色を呈する[5]。卵で越冬し、幼虫の孵化は5月中旬頃で、新梢や枝の上半部などで吸汁しながら成長し、この時ロウ物質を分泌する。成虫は7月下旬から8月上旬に出現する。雌は羽化の後2週間頃から産卵を始める。細い枯れ枝の先端付近に産卵管を差し込み、10数個の卵を1列に、やや斜めに並べて産み付ける[6]。
分布など
本州、四国、九州、対馬、沖縄、石垣島から知られ、国外では台湾から知られる[7]。この類ではもっとも普通に見られるものである[8]。
類似種など
同属のものとしてはヒメベッコウハゴロモ R. taeniata がある。この種は体長4mmと本種よりずっと小型であり、また前翅は全体に褐色で濃淡の違う帯模様になっているので区別は容易である。この種は本州以南、台湾、フィリピン、マレーも分布し、日本では個体数は多くないが、時にイネの害虫になる[9]。
別属だがスケバハゴロモ、アミガサハゴロモは同程度の大きさで、しかし斑紋がはっきりと異なる。
利害
クワ、茶、ウド、リンゴなどの作物から吸汁することがあり、農業害虫とされるがさほどの問題にはならない[10]。クワからも吸汁するが、こちらの場合、スケバハゴロモと同様に幼虫、成虫が分泌するロウ物質や脱皮殻が多量に付着するとカイコの飼料として使用出来なくなり、この被害の方が重要である[11]。
出典
^ 以下、主として石井他編(1950),p.323
^ 梅谷・岡田編(2003),p.607
^ 梅谷・岡田編(2003),p.442
^ 梅谷・岡田編(2003),p.442
^ 梅谷・岡田編(2003),p.607
^ 梅谷・岡田編(2003),p.607
^ 伊藤他編著(1977),p.160
^ 石井他編(1950),p.323
^ 安松他(1965)p.129
^ 梅谷・岡田編(2003),p.442
^ 梅谷・岡田編(2003),p.607
参考文献
- 石井悌他編、『日本昆蟲圖鑑』、(1950)、北隆館
- 伊藤修四郎他編著、『全改訂版 原色日本昆虫図鑑(下)』、(1977)、保育社
- 安松京三他、『原色昆虫大圖鑑 〔第3巻〕』、(1965)、北隆館
- 梅谷献二、岡田利益承編、『日本農業害虫大事典』、(2003)、全国農村教育協会