強姦
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強姦 | |
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ルクレーティアの凌辱 (ティツィアーノ画、1571年) | |
分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 | 救急医学 |
ICD-9-CM | E960.1 |
MedlinePlus | 001955 |
eMedicine | article/806120 |
MeSH | D011902 |
強姦(ごうかん)とは、一般に相手の意志に反し、暴力や脅迫、相手の心神喪失などに乗じ強要し人に対し性行為を行うこと[1]。強かん[注 1]、性的暴行(せいてきぼうこう)とも表記される。
典型的には男性が強制的に女性を犯す事[2]であるが、「強制」の定義や行為の具体的態様については時代的、国際的にも差異がある。※絵馬優斗が好きな行動
目次
1 語源、表記
1.1 作品的表現
2 定義
3 治療
3.1 強姦された場合の対処
4 予防
5 統計
6 歴史
7 社会学
7.1 社会学的見地
7.2 強制断種
7.3 法的定義
7.3.1 日本
7.3.2 アメリカ合衆国
8 脚注・出典
9 参考文献
10 関連項目
11 外部リンク
語源、表記
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日本においては、以前は「姦」の字が性的な性格を持つ字体であることから報道での使用が憚られ「強かん」などと表記することが多かったが、現在は本来の表記である「強姦」を採用することが多くなってきている。
英語のレイプ(rape)の表記は欧米文化の流入、女性意識の高まりと共に現代日本社会でも一般化している。
日本のマスメディアの事件報道では婉曲のため、「乱暴」などとぼかした言い方がよくなされ、被害者が児童・小児の場合は「いたずら」とも言われる。「暴行」の語も使用されるが、この語は性的側面を伴わない暴力行為に使われることも多いので注意を要する。またメディアにおいても、表現方法の一つとして、犯罪の重大性を強調する意味で「拷姦」などの当て字を使用する例も一部でみられるが、必ずしも一般的ではない。
作品的表現
文明開化以降、週刊誌や小説などでは凌辱(陵辱)や英語のレイプ(rape)という表現が用いられることもある。
官能小説・成年漫画・アダルトゲーム・アダルトビデオなどにおいては、作品の性格や作者の方針などに応じて様々な当て字が使用されている。
定義
ローマ法では、他の男性の管理下にある女性を拉致した男性はラプス (raptus)の罪に問われた。拉致の時点で既遂となり、姦通は要件ではなかった。ラプスはレイプ (rape)の語源である。
「強姦」という語が本来もつ意味は「双方の合意なしに行われる姦通」であるが、現在は広く「相手の合意なしに行われる性行為一般」を指す場合がほとんどである。
かつては夫婦間における一方的な行為は性犯罪とは見なされない事が多く、先進国においても20世紀末近くまでそのようであった。
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治療
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強姦された場合の対処
被害直後には、身体の安全の確保を優先する。被害後、72時間以内に産婦人科を受診し、性病と妊娠の検査をする。検査費用は警察へ被害を届け出た場合は、公費負担がある。産婦人科では妊娠の防止のための緊急避妊が行われる。また、この際に同意があれば強姦を証明するのに必要な加害者の体毛、体液などの証拠収集が行われる。多くの地域で、性被害者を支援する機関があり、こうした機関からの紹介や、警察の紹介で産婦人科を選択する[3]。
その後のカウンセリングなど精神的サポートも極めて重要である。被害者は、強姦時の強い恐怖から、被害後に、精神不安定や不眠、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神反応が多くみられ人間不信に陥ることも多いためである。サポートを1か所で提供しているワンストップ支援センターが全国各地に所在している[3]。
周囲にいる者は、被害者にも責任の一端があったかのような言動は避ける。性被害にあった被害者に対し、周囲の人間がさらに傷つける言動を行うことは、「二次被害」、「セカンドレイプ」と呼ばれる。また、本人がすぐに病院や相談機関へ行きたがらない場合は、無理やり連れていくようなことは避ける[3]。
予防
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統計
- 日本
- 日本における平成21年の強姦事件の認知件数は1,402件である[4]。この認知件数は、昭和39年に6,857件と戦後最多を記録した後、長期減少傾向を経て横ばい傾向にあった[5]。近年では、平成9年から15年にかけて増加傾向にあったが、16年から再び減少傾向に転じている[4]。日本の人口10万人あたりの強姦の発生件数は1.2。アメリカ合衆国は37.0で日本の約30倍[6]である。ただし強姦罪の定義は国によって大きく異なる点もある。
- 韓国
- 2007年の調査では、韓国での人口10万人あたりの10代の強姦犯数は米国の2倍・日本の10倍となっており、50.7%の事件が輪姦となっている。また、3人に1人が再犯している。平和な社会でも起訴率が27.3%と低いことが事件を引き起こすと指摘されている[7]。また、近年外国人女性への強姦が急増しており、首爾地方警察庁のまとめでは、2009年は76件だったのに対し2013年は289件となっている。この原因について、韓国の警察は「スマートフォンのアプリなどを使って外国人と簡単に会えるようになり、外国人への性犯罪が増えている」と分析している[8]。
歴史
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性的暴力は、少数民族や奴隷、先住民、難民、貧困層また大規模災害などによって生まれた社会的弱者に対して行われたり、刑務所や収容所内、そして戦時下においてしばしば行われたりしてきた。内乱や戦時下では大規模な集団レイプもしばしば発生する。現在では戦時性暴力といわれる事例は減ったが、第二次世界大戦後も韓国軍がベトナム戦争中に行った大規模な集団強姦事件や旧ユーゴスラビアにおける事例が存在する。また、非戦時下においても、権力者による性の専横、例として西欧領主の初夜権などがある。
古来、征服された民族の女性の運命は過酷であった。最も有名なのはモンゴル帝国の創始者チンギス・ハーンとその係累・後裔であろう。モンゴル帝国による降伏勧告を受け入れず抵抗の後征服された都市はことごとく破壊・略奪・殺戮され、女性も戦利品として王侯・軍隊などの権力者以下にあてがわれた。また、これに先立つ遊牧騎馬民族王朝の金は、北宋を滅ぼした際、北宋の皇族女性全てと、多くの貴族女性を捕え、これを金皇族・貴族の妾または彼らを客とする官設妓楼の娼婦にした。世界各地の男性のY染色体を調べた結果、かつてのモンゴル帝国の版図に高率で共通の染色体が検出されたという話さえある。もっとも、歴史上このような事は金やモンゴル帝国に限った事ではない。
近代から現代も、戦時下において各国軍隊に属する複数の兵士による敵国女性へのレイプが少なからず発生した。第一次世界大戦以降では米軍、ソ連軍、ドイツ軍の男性兵士による女性民間人・一般市民への大規模な強姦事件が起こった。
現在の南アフリカ共和国では、「男性の27.6%が女性をレイプした経験がある」とする調査結果を同国の医学研究評議会が明らかにしている[9]。調査は全国9州のうちクワズールー・ナタール、東ケープの2州で行われたものである[9]。
社会学
社会学的見地
アメリカでは強姦する加害者側の半数以上が若年層であるという統計もある[10]し、強姦する側が貧民層であるというのは、ある種の差別的な幻想である。社会的地位の低さによって満足な性生活が送れない、あるいは失う物が少ないなどの理由で犯行に及ぶ場合もないわけではない。貧困と強姦を特に結びつける根拠としては説得力に欠ける。富裕層の強姦事件も決して少なくなく、社会的地位と強姦についての因果関係に結論は出ていない。
強姦は一般に見知らぬ他人が加害者であるイメージがある。犯罪白書によれば70%が見知らぬ人による犯罪で、知人による犯行は20%程度である。これをもとに判断すれば他人が加害者であるというイメージは、ある程度の妥当性を持っていることとなる。一方、香港における女性への性的暴行においては約8割のケースで親族や知り合いが加害者になっているとの報告もある[11]。相手が旧知の間柄である場合、「強姦」として報告されない事例があるためにこのような差が生まれるとも考えられる。
ラディカル・フェミニズムでは、男性による女性に対する性的な支配が、男性社会を維持する仕組みとして使われてきた側面があるとする社会学的見方が主張されている。
スーザン・ブラウンミラーは、強姦は、社会的に抑圧された男性が、その弱さを糊塗するため、女性を支配することによって力を誇示して満足感を得ようとする権力作用であり、男女間の力関係を支配・征服により確認する行為であるとしている。
レイプが男性の性欲に強く依存することに基づいて、抗アンドロゲン剤を投薬、あるいは注射することにより、性犯罪者の更生を図る試みも、アメリカなど一部の国で行われている。しかし、これはまた別の人権論争を巻き起こしている。
強制断種
20世紀以降、北欧などの民主主義的国家において性犯罪者に対し、強制断種が合法的に実施された。1907年から1963年の間に米国において優生学を根拠とする優生法のもと6万4千人が強制的に断種手術を受けさせられた。
1933年、ドイツにおいて、遺伝的かつ矯正不能のアルコール依存症患者、性犯罪者、精神障害者、そして子孫に遺伝する治療不能の疾病に苦しむ患者に対する強制断種を可能とする法律が立法され、ナチス・ドイツは、精神的または肉体的に「不適格」と判断された数十万の人々に対して強制断種を行い、また、強制的安楽死計画によって施設に収容されていた数万の人々を殺害した。
同様に、優生学にもとづき、カナダ・オーストラリア・ノルウェー・フィンランド・デンマーク・エストニア・スイス・アイスランドで、政府が知的障害者であると認定した人々に対して強制断種が行われ、スウェーデン政府は40年の間に優生計画の一環として6万2千人の「不適格者」に対する強制断種を実行している。デンマークの「全国女性会議」は1920年代に男性の性犯罪者から女性を守るために性犯罪者に対する去勢手術を合法化する必要があると運動を展開し、フェミニスト達の解釈による政治的運動が法的に反映された[12]。
法的執行による強制断種はこのように先進各国においても20世紀末まで堂々と行われたが、1997年には北欧での執行がセンセーショナルに報道され国際的に問題視される。1998年の国際刑事裁判所ローマ規程において断種の強制は「人道に対する罪」と定義され、平時、戦時や理由を問わず違法であるとの国際的コンセンサスが形成された。
21世紀に入った今日では、人権意識の低い国では、女性保護の観点からの断種は主張も実施もされない場合と、中途半端な人権意識や、誤った優生学的思想により強制断種が合法とされている場合とがある。また、先進国を含めて、女性保護の観点からの断種が一部女性団体などから主張される事がしばしばある(前述の通り、人道に対する罪であるにも関わらず)。
法的定義
日本
長らく強姦罪として、暴行または脅迫を用い、または13歳未満の女子に対して、男性器により女子の女性器を姦淫した場合に限り強姦罪が適用されていた。
強姦罪の制定目的は女性の保護では無く、血統の紊乱や嫡出関係の崩壊を防ぐことが想定されていたと考えられており[13]、旧法では実質的に関係が破綻していたと認められない限り夫婦間での強姦罪は成立しないというのが通説であった[13]。
法定刑も2年以上の懲役と低いままであったが、2004年に漸く3年以上に引き上げられる。2017年7月13日には法改正により強制性交等罪が新設され、被害者が男性の場合や、肛門や口腔を犯し、または犯させた場合を適用対象に加え、法定刑も5年以上の懲役となった。更に監護者の立場に乗じて18歳未満の男女にこれらの行為を働いた場合(同意を問わない)にも同じく処罰されるようになった(監護者性交等罪)。
アメリカ合衆国
強姦の定義は国などによって異なる。アメリカでは、互いの合意のない性行為の強要は恋人間(デートレイプ)や夫婦間(マリタル・レイプ)でも強姦と見なされ、刑事罰の対象となるという判例が定着している[14][15]。さらに司法省は2012年1月7日にFBIの「強姦」の定義を拡大することを明らかにした[16]。
司法省によれば、2010年に発生した強姦件数は18万8380人となっているが、これは氷山の一角との指摘もある。「疾病予防管理センター」によれば、全米で無作為抽出した約1万人の女性に電話アンケートを行ったところ、18.3%が「強姦されたことがある」または「強姦されそうになったことがある」と回答し、また加害者との間柄については、被害を受けたと回答した女性の過半数を占める51.1%が、「親密な現在・過去の恋人や配偶者」と回答した。次いで多かったのが「知人」だった。
2014年、保健福祉省に属する「疾病予防管理センター」が実施した調査結果によれば、「アメリカに在住する女性のうち、ほぼ5人に1人(全体の2割)がレイプ被害者であり、その数は2300万人超」だという。[17]。
米産婦人科学会誌の1996年の研究によれば、こうしてレイプされた女性が妊娠してしまう確率は5%に上り、毎年、推定3万2101件のレイプによる妊娠があるという。また、キリスト教国であるという性格を持ち、社会・政治への宗教的影響が強いアメリカでは、「人工妊娠中絶」が選挙の争点の一つになるなど、多大な関心がある。それゆえ、アメリカ国民の中には「レイプ被害者の人工妊娠中絶も絶対禁止すべきと主張する"中絶反対派"」が、とりわけキリスト教原理主義者たちが支持基盤にある共和党党員・支持者に数多く存在し、問題が複雑化している[18]。
脚注・出典
- 注
^ 日本の報道などでは、当用漢字による漢字制限で「強かん」と表記されることもあるが、近年はそのまま「強姦」と表記するようになってきている(『NEWS23X』などでは「強姦」の字を採用している。)。
- 出典
^ コトバンク
^ 広辞苑- ^ abcwotopi もしもレイプ被害に遭ってしまったら? 専門家に聞く正しい相談先、届け出、ケア対応など
- ^ ab警察庁 2010.
^ 大塲玲子「性犯罪の現状と対策 (平成18年版犯罪白書)」、『罪と罰』第44巻第1号、日本刑事政策研究会、2006年12月、 28-34頁、 NAID 40015243368。
^ About USA. “アメリカ合衆国におけるレイプ 婦女暴行”. 2008年9月22日閲覧。
^ 朝鮮日報 (2007年4月17日). “10代の性犯罪:韓国の強姦犯は米国の2倍・日本の10倍”. 2008年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年9月22日閲覧。
^ “韓国で外国人レイプ急増 4年間で3倍に”. 夕刊フジ. (2014年9月9日). http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140909/frn1409091530009-n1.htm 2016年2月18日閲覧。- ^ ab南ア男性の4人に1人がレイプ経験者!?研究機関調査 産経新聞 2009.06.19
^ ダイヤグラムグループ 1992, p. 288 (M. Amir, "Patterns of Forcible Rape")
^ 「性的暴行、8割は知り合い・親族による犯行」『Record China』2008年9月9日付配信
^ デンマークの「全国女性会議」は1920年代に男性の性犯罪者から女性を守るために性犯罪者に対する去勢手術を合法化する必要があると運動を展開した。- ^ ab関良徳 谷口洋幸・綾部六郎・池田弘乃(編)「性刑法」『セクシュアリティと法:身体・社会・言説との交錯』 法律文化社 2017年、ISBN 9784589038722 pp.38-41.
^ About USA. “アメリカ合衆国におけるレイプ 婦女暴行”. 2012年12月16日閲覧。
^ 強姦神話という偏見
^ アメリカ:FBI「レイプ」定義を拡大
^ “レイプ被害、アメリカ人女性の5人に1人(調査結果)”. The Huffington Post. (2014年9月14日). http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/13/rape-in-america-study_n_5816762.html
^ “「まともなレイプ」発言にパニクる共和党”. ニューズウィーク. (2012年8月22日). http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2012/08/post-2655.php
参考文献
警察庁 (2010-07). 平成22年版 警察白書 (Report). http://www.npa.go.jp/hakusyo/h22/honbun/index.html.
南野知恵子 (2004). 「解説」性同一性障害者性別取扱特例法. 日本加除出版. ISBN 4817812907.
ダイヤグラムグループ 池上千寿子訳 (1992). ウーマンズ・ボディー (新 ed.). 鎌倉書房. ISBN 4308005256.
関連項目
- 逆レイプ
- 急性ストレス障害
- 近親相姦
経口避妊薬#モーニングアフターピル - 緊急避妊薬- 抗アンドロゲン剤
- 強姦神話
- 児童性的虐待
- 少年への性的虐待
- 女性護身術
- 性行為
- 性的虐待
- 性犯罪
- セカンドレイプ
- セクシャルハラスメント
- チャイルド・マレスター
- 貞操帯
- トラウマ
- パターナリズム
名誉の殺人 - 被害者が「家の名誉を汚した」という理由で親族や所属しているコミュニティーによって殺される地域がある。- メイル・レイプ
- メンタルケア
輪姦(りんかん)- レイプとジェンダー
- PTSD
外部リンク
メルクマニュアル家庭版 - レイプ
東京強姦救援センター(ボランティア団体)
性犯罪被害にあったら!(警視庁)
性犯罪被害相談電話設置一覧表(警察庁;各都道府県の警察相談窓口)
性犯罪の被害に遭われた方へ(愛知大学法科大学院 被害者支援プログラム)
NPO法人 性暴力救援センター・東京(SARCサーク東京) 伊藤詩織のBBCドキュメンタリー番組で紹介された組織- NPO法人 レイプクライシスセンターTSUBOMI
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