ツツジ
ツツジ | |||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Rhododendron L. | |||||||||||||||||||||
タイプ種 | |||||||||||||||||||||
Rhododendron ferrugineum L. [1] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ツツジ(躑躅) - ツツジ属(躑躅属) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Azalea | |||||||||||||||||||||
亜属 | |||||||||||||||||||||
本文参照 |
ツツジ(躑躅)とはツツジ科の植物であり、学術的にはツツジ属(ツツジ属参照)の植物の総称である。ただしドウダンツツジのようにツツジ属に属さないツツジ科の植物にもツツジと呼ばれるものがあるので注意が必要である。
主にアジアに広く分布し、ネパールでは国花となっている。日本ではツツジ属の中に含まれるツツジやサツキ、シャクナゲを分けて呼ぶ慣習があるが、学術的な分類とは異なる。最も樹齢の古い古木は、800年を超え1,000年に及ぶと推定される。
目次
1 特徴
2 ツツジ属(Rhododendron)
2.1 セイシカ亜属
2.1.1 オバーツム節
2.1.2 セイシカ節
2.2 ヒカゲツツジ亜属(有鱗片シャクナゲ亜属)
2.2.1 有鱗片シャクナゲ節
2.2.2 イソツツジ節(元は別属イソツツジ属Ledumとされていた)
2.2.3 ビレア節
2.3 無鱗片シャクナゲ亜属
2.3.1 無鱗片シャクナゲ節
2.3.2 レンゲツツジ節
2.4 ツツジ亜属
2.4.1 ツツジ節
2.4.1.1 コメツツジ列
2.4.1.2 モチツツジ列
2.4.1.3 サツキ列
2.4.1.4 ウンゼンツツジ列
2.4.1.5 ヤマツツジ列
2.4.2 ハコネコメツツジ節
2.4.3 サクラツツジ節
2.4.4 オオバツツジ節
2.4.5 バイカツツジ節
2.4.6 ミツバツツジ節
2.4.6.1 ミツバツツジ列
2.4.6.2 タカクマミツバツツジ列
2.4.6.3 サイゴクミツバツツジ列
2.4.6.4 コバノミツバツツジ列
2.4.6.5 オンツツジ列
2.4.7 シロヤシオ節
2.4.8 交雑種
2.5 エゾツツジ亜属
3 自治体指定の木と花
3.1 県
3.2 市(市の木)
3.3 市町村(花)
4 関連文化
4.1 俳句・短歌(和歌)
4.2 書物
4.3 音楽
5 出典・脚注
6 関連項目
7 外部リンク
特徴
ツツジ属の植物は低木から高木で、葉は常緑または落葉性で互生、果実は蒴果である。4月から5月の春先にかけて漏斗型の特徴的な形の花(先端が五裂している)を数個、枝先につける。また花を上手に採ると花片の下から蜜を吸うことができ第二次世界大戦中は当時の子供たちの数少ない甘みとなっていたが、多くの種に致死性になりうる毒成分のグラヤノトキシンが含まれ、特に多く含むレンゲツツジは庭木として利用されることもあるので事故を避けるために注意しなければならない。また合弁花類である。
ツツジ属(Rhododendron)
ツツジ属(Rhododendron)は大きくヒカゲツツジ亜属(有鱗片シャクナゲ亜属)とツツジ亜属、無鱗片シャクナゲ亜属、セイシカ亜属、エゾツツジ亜属に分類されるが、便宜上常緑性のものの一部がシャクナゲと呼ばれている。すなわち、日本で「シャクナゲ」と呼ばれるものはホンシャクナゲの仲間(無鱗片シャクナゲ節)に限られ、常緑であってもそれ以外の殆どは「シャクナゲ」とは呼ばない。
ツツジは日本では古くから園芸品種として交配され美しい品種がたくさん生まれた。中でもサタツツジとヤマツツジやミヤマキリシマなどをかけ合わせて生まれたクルメツツジはその代表で種類も多く色とりどりの花が咲き、満開の時期はまさに圧巻である。ヒラドツツジも日本全国でよく見られる大型のツツジで、花も大きく街路樹としてもたくさん植栽されていて、ケラマツツジやモチツツジ、キシツツジなどを親としている。
サツキとマルバサツキおよびその交配種は特にサツキと呼ばれているが、クルメツツジなどと同じく常緑ツツジの仲間である。
西洋ではアジアからヨーロッパに常緑のツツジが持ち込まれて園芸化され、ベルジアン・アザレアと呼ばれ現在鉢花として大量に生産されている。トウヤマツツジを主に、ケラマツツジやサツキの品種などもその育種に用いられている。また日本のレンゲツツジや北アメリカの落葉性の原種が園芸化されてエクスバリー・アザレアあるいは匂いツツジなどと呼ばれている。
以下にツツジ属の日本産の種を挙げる。種名の横に併記した斜体文字は学名を示す。属名「Rhododendron」とは、rhodon(バラ)+dendron(樹木)の意味である。複数の種が環境省と都道府県によりレッドリストの指定を受けている[2]。
セイシカ亜属
オバーツム節
トキワバイカツツジ Rhododendron uwaense
セイシカ節
セイシカ Rhododendron latoucheae
アマミセイシカ Rhododendron amamiense
ヒカゲツツジ亜属(有鱗片シャクナゲ亜属)
有鱗片シャクナゲ節
エゾムラサキツツジ Rhododendron dauricum
カラムラサキツツジ Rhododendron mucronulatum var. mucronulatum
ゲンカイツツジ Rhododendron mucronulatum var. ciliatum
ヒカゲツツジ Rhododendron keiskei
サカイツツジ Rhododendron parvifolium
イソツツジ節(元は別属イソツツジ属Ledumとされていた)
イソツツジ Rhododendron tomentosum
カラフトイソツツジ Rhododendron diversipilosum
ビレア節
- 東南アジアやニューギニアなどの熱帯地方に産するもので、マレーシア・シャクナゲとも言われる。日本産のものは知られていない。
無鱗片シャクナゲ亜属
無鱗片シャクナゲ節
アズマシャクナゲ Rhododendron degronianum
ツクシシャクナゲ Rhododendron japonoheptamerum var. japonoheptamerum
ホンシャクナゲ Rhododendron japonoheptamerum var. hondoense
キョウマルシャクナゲ Rhododendron japonoheptamerum var. kyomaruense
オキシャクナゲ Rhododendron japonoheptamerum var. okiense
ヤクシマシャクナゲ Rhododendron yakusimanum
ホソバシャクナゲ Rhododendron makinoi
ハクサンシャクナゲ Rhododendron brachycarpum
キバナシャクナゲ Rhododendron aureum
レンゲツツジ節
ムラサキヤシオツツジ Rhododendron albrechtii
アカヤシオ Rhododendron pentaphyllum var. nikoense
アケボノツツジ Rhododendron pentaphyllum var. shikokianum
レンゲツツジ Rhododendron japonicum
ツツジ亜属
ツツジ節
コメツツジ列
コメツツジ Rhododendron tschonoskii
オオコメツツジ Rhododendron trinerve
モチツツジ列
モチツツジ Rhododendron macrosepalum
キシツツジ Rhododendron ripense
チョウセンヤマツツジ Rhododendron yedoense
ケラマツツジ Rhododendron scabrum
ヤクシマヤマツツジ Rhododendron yakuinsulare
サキシマツツジ Rhododendron amanoi
ムニンツツジ Rhododendron boniense
サツキ列
サツキ(サツキツツジ) Rhododendron indicum
マルバサツキ Rhododendron eriocarpum
センカクツツジ Rhododendron tawadae
ウンゼンツツジ列
ウンゼンツツジ Rhododendron serpyllifolium
ヤマツツジ列
ヤマツツジ Rhododendron kaempferi
サタツツジ Rhododendron sataense
オオヤマツツジ Rhododendron transiens
フジツツジ Rhododendron tosaense
トウヤマツツジ Rhododendron simsii
ミヤマキリシマ Rhododendron kiusianum
アシタカツツジ Rhododendron komiyamae
テリハヤマツツジ Rhododendron lusidusculum
ハコネコメツツジ節
ハコネコメツツジ Rhododendron tsusiophyllum
サクラツツジ節
サクラツツジ Rhododendron tashiroi
オオバツツジ節
オオバツツジ Rhododendron nipponicum
バイカツツジ節
バイカツツジ Rhododendron semibarbatum
ミツバツツジ節
ミツバツツジ列
ミツバツツジ Rhododendron dilatatum
ヒダカミツバツツジ Rhododendron dilatatum var. boreale
トサノミツバツツジ Rhododendron decandrum
ハヤトミツバツツジ Rhododendron satsumense
ウラジロミツバツツジ Rhododendron osuzuyamense
タカクマミツバツツジ列
タカクマミツバツツジ Rhododendron viscistylum
ヒュウガミツバツツジ Rhododendron hyugaense
アマクサミツバツツジ Rhododendron amakusaense
サイゴクミツバツツジ列
サイゴクミツバツツジ Rhododendron nudipes
ヒメミツバツツジ Rhododendron nagasakianum
トウゴクミツバツツジ Rhododendron wadanum
ダイセンミツバツツジ Rhododendron lagopus var. lagopus
ユキグニミツバツツジ Rhododendron lagopus var. niphophilum
ヤクシマミツバツツジ Rhododendron yakumontanum
コバノミツバツツジ列
コバノミツバツツジ Rhododendron reticulatum
ナンゴクミツバツツジ Rhododendron mayebarae
キヨスミミツバツツジ Rhododendron kiyosumense
オンツツジ列
オンツツジ Rhododendron weyrichii
アマギツツジ Rhododendron amagianum
ジングウツツジ Rhododendron sanctum
シロヤシオ節
シロヤシオ(ゴヨウツツジ) Rhododendron quinquefolium
クロフネツツジ Rhododendron schlippenbachii
交雑種
コウヅシマヤマツツジ Rhododendron × koudzumontanum
キリシマツツジ Rhododendron × obtusum var. obtusum
クルメツツジ Rhododendron × obtusum var. sakamotoi
リュウキュウツツジ Rhododendron × mucronatum
ヒラドツツジ Rhododendron × pulchrum- ケラマツツジにモチツツジ、キシツツジ、リュウキュウツツジが交雑してできた。オオムラサキが多く見られる。
エゾツツジ亜属
独立したエゾツツジ属に分類される場合が多い。
エゾツツジ Rhododendron camtschaticum
分子系統学的には、ヨウラクツツジ属もツツジ属のツツジ亜属に含まれる。
自治体指定の木と花
日本では県、市町村で自治体の木や花の指定を受けている。以下にその一覧を示す。
県
福岡県 - 県の木[3]
静岡県 - 県の花[4]
群馬県 - 県の花(レンゲツツジ)
市(市の木)
山形県 - 長井市
千葉県 - 八千代市、茂原市
富山県 - 氷見市
福井県 - 鯖江市
滋賀県 - 近江八幡市
市町村(花)
北海道 - 函館市、小樽市、旭川市、留萌市、室蘭市、夕張市、千歳市、滝川市、歌志内市、伊達市、北広島市、木古内町、鹿部町、八雲町、厚沢部町、南幌町、奈井江町、浦臼町、新十津川町、東神楽町、占冠村、美深町、中川町、小平町、羽幌町、初山別村、遠別町、洞爺湖町、むかわ町、新冠町、初山別村、広尾町、沼田町、妹背牛町
青森県 - 十和田市、大鰐町、七戸町、階上町
岩手県 - 久慈市、九戸村、洋野町
宮城県 - 気仙沼市、岩沼市、大和町、大郷町、南三陸町
山形県 - 寒河江市、天童市、尾花沢市、高畠町
福島県 - いわき市、田村市、棚倉町、矢祭町、小野町、葛尾村
茨城県 - 取手市、大洗町
栃木県 - 足利市、矢板市
群馬県 - 前橋市、伊勢崎市、太田市、館林市、昭和村
埼玉県 - 飯能市、狭山市、桶川市、吉川市、滑川町、嵐山町、鳩山町、東秩父村、上尾市、朝霞市、志木市
千葉県 - 松戸市、野田市、流山市、我孫子市、富津市、浦安市、東庄町
東京都 - 新宿区、墨田区、中野区、練馬区、豊島区、北区、荒川区、武蔵野市、福生市、昭島市、小平市、東村山市、東大和市、東久留米市、西東京市、狛江市、瑞穂町
神奈川県 - 川崎市、葉山町、愛川町
新潟県 - 長岡市
富山県 - 氷見市、朝日町
石川県 - 津幡町
福井県 - 小浜市
山梨県 - 山梨市
長野県 - 上田市、岡谷市、長和町、下諏訪町、根羽村、生坂村
岐阜県 - 各務原市、大野町
静岡県 - 磐田市、裾野市
愛知県 - 豊橋市、蒲郡市、小牧市、知多市、岩倉市、北名古屋市、美浜町
三重県 - 津市
滋賀県 - 近江八幡市、米原市、豊郷町
京都府 - 京都市、舞鶴市、亀岡市、向日市
大阪府 - 堺市、富田林市、柏原市、摂津市、交野市、大阪狭山市、岬町
兵庫県 - 芦屋市、伊丹市、加古川市、養父市、猪名川町
奈良県 - 御所市、曽爾村、高取町
和歌山県 - 和歌山市、那智勝浦町
鳥取県 - 米子市、倉吉市
島根県 - 江津市、浜田市
岡山県 - 玉野市、新見市、勝央町、久米南町
広島県 - 庄原市、東広島市
山口県 - 宇部市、長門市、柳井市、平生町
香川県 - 高松市、土庄町
愛媛県 - 今治市、新居浜市、西条市、大洲市、鬼北町
高知県 - 安芸市、芸西村、三原村(キシツツジ)
福岡県 - 北九州市、久留米市、田川市、須恵町、岡垣町
佐賀県 - 伊万里市、武雄市、基山町、白石町
長崎県 - 松浦市、波佐見町
熊本県 - 水俣市、山鹿市、南関町、大津町、湯前町、山江村
大分県 - 宇佐市
宮崎県 - 日之影町
鹿児島県 - 出水市、垂水市、曽於市、姶良市、天城町
沖縄県 - 東村、宜野座村、渡嘉敷村、伊平屋村
関連文化
日本で言うところのツツジやサツキは、公園や道路の分離帯などの植え込みにしばしば見られる。日本では長い栽培の歴史を持ち、早くから育種も進んだ。例えば林昌寺(泉南市)や塩船観音寺(青梅市)の庭園は、美しいツツジで有名である。ツツジ類の材はとても緻密であり、細工物などにも利用される。
「ツツジ色」(アザレア)という色もある。これはツツジの花ような鮮やかな赤紫色(「躑躅燃ゆ」と形容される)をさす。赤紫は次に挙げるような色である。
色 | 名前 | 漢字・英語 | 同色・混同色 |
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#CD4187 | アザレア | azalea | 躑躅色 |
#FF3399 | アザレアピンク | azalea pink | 躑躅色 |
俳句・短歌(和歌)
「ツツジ」は俳句における春の季語でもある。また「躑躅花」(つつじばな)は、短歌(和歌)における枕詞としても使用される。この場合は「花のように美しい君」という意味から「にほふ」や「にほえをとめ」にかかる。
- 躑躅いけて 其陰に干鱈(ひだら) さく女 - 松尾芭蕉[5]
- …つつじ花 にほえ娘子(をとめご) 桜花 栄え娘子… - 柿本人麻呂[6]
書物
元禄5年(1692年)に伊藤伊兵衛により刊行された『錦繍枕』は世界最古のツツジ、サツキ専門書である。
音楽
- 『躑躅(つつじ)』 地歌(箏曲) - 佐山検校作曲(元禄の頃、世界で初めてツツジの専門書『錦繍枕』を刊行(元禄5年(1692年))した伊藤伊兵衛と同時代に江戸で活躍した音楽家・佐山検校(元禄7年(1694年)没)による長歌もの地歌曲で、歌詞中にツツジが22品種詠み込まれている)
出典・脚注
^ Rhododendron Tropicos
^ “日本のレッドデータ検索システム「Rhododendron」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年4月21日閲覧。
^ “福岡県のシンボル”. 福岡県 (1966年9月5日). 2013年4月21日閲覧。
^ “静岡県の花「ツツジ」制定経緯”. 静岡県 (1965年9月21日). 2013年4月21日閲覧。
^ 『泊船集』より
^ 『万葉集』より
関連項目
- 花の一覧
- サツキ
- シャクナゲ
- アザレア
田束山 - 山頂一帯につつじが群生しているため毎年五月頃開花に合わせてつつじ祭りが行われている。
つつじが岡公園 - 50余種約1万株のツツジが植えられた国指定名勝
こまっきー - 愛知県小牧市のマスコットキャラクター。姿形が"市の花"であるツツジをモチーフにしている。
躑躅ヶ崎館 - 甲府市の居館。
外部リンク
- ツツジの色々(図鑑)