タントラ




ヒンドゥー教のシュリー・ヤントラの図像




アティーシャ


タントラतन्त्र Tantra)とは、織物を意味するサンスクリットで[1]、インドに 800年前後(ある種のタントラは7世紀にはすでに作られていた)から伝わるヒンドゥー教シャクティ派の聖典(経典)でシバ神妃の性力 (śakti)を崇拝する。64種あるいは 192種あるとされる[2]。さらには実践行法に関する規則、神を祀る次第や具体的方法も含む[3]。タントラの考えはヒンドゥー教、ボン教、仏教、ジャイナ教に共通して存在する。タントラはさまざまな形で南アジア、チベット、モンゴル、中国、韓国、日本、カンボジア、ミャンマー、インドネシアに伝わった[4]




目次





  • 1 インド密教


  • 2 チベット密教


  • 3 脚注


  • 4 参考文献


  • 5 関連項目




インド密教


8世紀、ブッダグヒヤは『大日経』の解説書である『大日経広釈』の中で、タントラを所作、行、ヨーガの3種に分類している。また、10世紀に成立したと考えられる『智金剛集タントラ』においては大ヨーガ、両、行、所作、儀軌の5つに分類している[5]


また、11世紀には後にチベットに訪れたアティーシャが所作、行、儀軌、両、ヨーガ、大ヨーガ、無上ヨーガ(無上瑜伽タントラ)の7種に分類している。この分類はインドの経典においては最も一般的なものであるが、他にもさまざまな分類が乱立しており、学者の間で統一された分類というものはない[5]



チベット密教


チベット密教では、タントラを所作(bya bakriyā)、行(spyod pacaryā)、ヨーガ(rnal 'byoryoga)、無上ヨーガ(rnal 'byor bla medanuttarayoga)の4種に分けている。これは歴史の中で少しずつ作られていったもので、なぜこの4種なのか、という点に関しては宗派により説明が異なる[5]


12世紀のサキャ派の学者ソナムツェモは、タントラを4つに分類した理由の解説を試みている。ソナムツェモは、インド宗教への信仰、顕教の教え、人の執着を満足させる方法のそれぞれが4種に分類可能であり、タントラ4種はそれぞれに対応するためにあるのだと説く[5]


13世紀、チベットの大学者プトゥンは、4種タントラが、断じるべき執着、インドの社会カースト、断じるべき煩悩、修行者の能力、一時的な薫習、時代を考慮して分類されていると述べている[5]


14世紀、ゲルク派の祖であるツォンカパは、『真言道次第大論』の中で顕教と密教を比較解説し、ソナムツェモの解説に対する批判を試みている。ツォンカパは『サンプタ・タントラ』に「笑う、見る、手と手を繋ぐ、抱く」の4種の煩悩があるとされていることを根拠に、これらの煩悩を菩提への道として転用するためにタントラが存在するのだと説く[5]



脚注


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  1. ^ Norbu, p. 49


  2. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 - タントラ


  3. ^ 『チベット密教の本』 p.168


  4. ^ White (2000), p. 7

  5. ^ abcdef立川(1999) p.110



参考文献


  • Norbu, Chögyal Namkhai (1999). The Crystal and The Way of Light: Sutra, Tantra and Dzogchen. Snow Lion Publications. ISBN 1559391359 (ナムカイ・ノルブ 『虹と水晶 チベット密教の瞑想修行』 永沢哲訳、法蔵館、1992年)

  • White, David Gordon (ed.) (2000). Tantra in Practice. Princeton University Press. ISBN 0-691-05779-6

  • 『チベット密教の本』 学研、1994年、ISBN 4-05-600715-2


  • 立川武蔵・頼富本宏 『チベット密教』 春秋社、1999年、ISBN 4-393-11212-1

  • L・A・ゴヴィンダ 『チベット密教の真理--その象徴体系の研究』(新装版) 工作舎 ISBN 978-4-87502-424-8


関連項目


  • タントラ教

  • ネオタントラ

  • 密教

  • チベット仏教




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