銃砲身
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銃砲身(じゅうほうしん)は、銃砲の主要部品の1つ。細長い円筒形で、その中を弾丸が通過する。
銃(小口径の銃砲)のものは銃身、砲(大口径の銃砲)のものは砲身という。英語からバレル(barrel)、ガンバレル(gun barrel)とも。
目次
1 語源
2 役割
3 各部名称
4 構造
4.1 素材
4.2 方式
4.3 ライフリング
5 寸法の表現
語源
バレルは、本来は樽の意味で、樽の製造技術を応用して砲身を作ったことに由来する。金属板を円筒形に並べ箍をはめ、隙間を溶かした金属で埋めて作っていた。
それ以前は、鐘の製造技術を使って、青銅を鋳造して作っていたので、非常にコストがかかっていた。
役割
銃砲身は、発射薬(火薬など)の燃焼ガスを拡散させずに弾丸に伝える役目を持つ。
弾丸は銃砲身内でガスの圧力により加速する。したがって、他の条件が同じなら、銃砲身が長いほど弾丸の初速は速くなり、射程は長くなる。
各部名称
- 薬室
- 銃砲身の根元の、発射薬が詰められる部分。
- 銃砲腔(銃腔・砲腔)
弾丸が通過する内部空間。- 銃砲口(銃口・砲口、マズル)
- 弾丸が射出される箇所。
- 銃砲身長(銃身長・砲身長)
- 銃砲身の長さ。
- 口径
- 銃砲口の内径。
構造
素材
基本的に、金属で作られる。初期は青銅・黄銅なども使われたが、近代ではほとんど鋼鉄である。高温高圧の燃焼ガスが通過するため、高耐熱性・高強度・高靭性を備えた、高価な特殊鋼が使われる。
方式
銃砲身には、発射時に燃焼ガスの内圧による多大な応力がかかるので、それに拮抗するためのさまざまな工夫がある。これにより、素材や肉厚への要求が軽減され、コストや重量が下がる。
- 自己緊縮式(オートフレッタージ法)
- 砲身内径を最終的な口径よりやや細く作ったのち、砲身内に高圧をかけて内径を膨張させる。こうすると砲身には、内径を元どおり収縮させようとする応力が残留する。現代の口径15cm以下の銃砲身では、ほとんどがこの方式を採用している。
- 焼嵌式
- 内筒と外筒の2層構造からなる砲身。外筒を加熱して熱膨張させた中に内筒を挿入し急冷すると、外筒が収縮し内筒を締め付けた応力状態で固定される。構造が複雑になるため、現在はほとんど自己緊縮式に取って代わられている。
- 鋼線式
- 複数層構造の砲身で、一番内側の円筒の上から、高張力をかけた鋼線(ガンワイヤー)を巻きつけ、さらに外筒を被せる。主に大口径砲で用いられたが、現在では大口径砲自体が廃れたため、ほとんど使われない。日本海軍の14cm以上の艦載砲では、焼嵌式と鋼線式を併用した砲身を主に使っていた。
ライフリング
現代の銃砲身は、ライフリング(施条・腔綫)したものが主で、施条銃砲身(施条銃身・施条砲身)という。それに対し、ライフリングのない砲身を滑腔銃砲身(滑腔銃身・滑腔砲身)といい、散弾銃、迫撃砲、一部の戦車砲などに使われる。
寸法の表現
口径をミリメートル、センチメートル、インチなどで、「20ミリ砲」のように表す。かつて弾丸が球形だったころには、また、その後しばらくも慣習的に、使用する弾丸の質量から「6ポンド砲」のような口径表現もあった。
単位のない「~口径」は、銃砲身長が口径の何倍であるかを表す。「50口径」は、銃砲身長が口径の50倍ということである。ただし、拳銃など小型の銃では1/100インチを単位とした口径を表す。「50口径」は、口径0.5インチということである。