澄江動物群




澄江動物群の生態復元図
  Yuyuanozoon ユユアノズーン
Heteromorphus ヘテロモルフス
Vetulicola ウェツリコラ
  Xidazoon シダズーン
Yunnanozoon ユンナノズーン


澄江動物群(チェンジャンどうぶつぐん、Maotianshan Shales)は、約5億2,500万- 約5億2,000万年前(古生代カンブリア紀前期中盤[カエルファイ世アドダバニアン])に生息していた動物群の呼称であり、それらの化石の発見地である中国雲南省の澄江の名を冠して表したものである。澄江生物群( - せいぶつぐん)ということも多い。


発見される化石は、バージェス動物群とよく似た、あるいはそれ以上に広い内容を含む。




目次





  • 1 概説


  • 2 内容


  • 3 代表的な生物


  • 4 脚注


  • 5 参考文献


  • 6 関連項目


  • 7 外部リンク




概説


澄江は中華人民共和国雲南省昆明南方に位置し、陽宗海(en)から撫仙湖(en)にかけての数か所から化石が発掘されている。古くは1911年に軟体性の動物化石が発見されていたが、1984年に帽天山(マオタンシャン、Maotianshan、cf.)で古生代カンブリア紀の豊富な化石群が発見されて以降、一躍注目を浴びることとなった。現在も中国の西北大学(en)のチームなどを中心に研究が進められている。


また、ここでは先カンブリア時代最末期(エディアカラ紀)からカンブリア紀前期にかけての地層が化石を伴って連続している。そのために、他地域でのこの時代の地層の年代を決定する際の標準とされている。


いわゆる「澄江動物群」と呼ばれるのはその中でカンブリア紀前期に属するものであり、バージェス動物群より1,500万年ほど古いとされている。その特徴は、バージェス動物群によく似たものを産出していることに加えて、他の多くのものが、やはり細部に至るまで良好な保存状態で見つかっていることにある。このことは、その時代の動物相(生物相)についてさらに多くの情報をもたらすと同時に、それらが当時の地球でかなり普遍的であったことをも証明する。


おそらくは、当時この地域は水深100から150メートル程度の海底であり、大陸棚斜面の下に位置していたと考えられる。そういった場所では間欠的に乱泥流による堆積が発生するのであり、斜面を滑り落ちる大量の泥と砂が海底に流入することによって堆積層が造られていく。澄江動物群は、このような自然災害に巻き込まれて急速に埋没させられた当時の生き物が、化石群となって今日見られるものであろう。



内容


この生物群は約100種ほどの生物を含み、多様な生物を含んでいる。ここで新たに発見された動物で特に重要と考えられるものには以下のようなものがある。



ミロクンミンギアとハイコウイクティス(英語版)

原始的な脊索動物。始原的無顎類と考えられ、「広義の魚類」としては既知のもので最古とされる。

ユンナノゾーン

不明な部分もあるが、半索動物と考えられる。当初は脊索動物と考えられたほど現在の半索動物とは似ていない。後口動物の系統を考える上で重要である。


ウェツリコラなど

魚類のような頭に節足動物のような尾を持つ。新たに「古虫動物門(en)」を設ける説もあるが、その後は脊索動物門の1亜門(古虫動物亜門)と見なす知見があった[1]

また、バージェス動物群との関連では以下のような発見がある。


葉足動物


ハルキゲニアが発見され、ここでの化石を元に、バージェス動物群の研究からの復元は上下と前後を間違えたものであることが指摘された。また、爪の構造によってこの動物が有爪動物に近いであると考えられるようになった。さらに、多くの葉足動物化石も発見されている。中でも、ミクロディクティオンは、その背面に小さな骨板が並んでいるが、この骨板が微小硬骨格化石群(SSF)と呼ばれているものの1つであることが判明した。

アノマロカリス類

バージェス動物群と同じものも発見されたが、近縁と思われる別種がいくつか発見されている。しかし、バージェス動物群のものとは対照的で、澄江動物群におけるアノマロカリス類の歯の化石は非常に稀であり、あっても往々にして保存状態が乏しいという現象がある[2]。かつて本群とされたパラペユトイアは、大付属肢が指の多い鋏状になるという風変わりなもので、しかも鰭とされた部分の下面に節足動物の関節肢を備えていることが確認され、この類の系統の問題上で重視されていたが、その後はこれらの特徴に従って別系統の節足動物Megacheira類の1種と見直された[2]


代表的な生物





  • 藻類

    • シノキリンドラ Sinocylindra


  • 海綿動物

    • クアドロラミニエラ Quadrolaminiella


    • クルミロスポンギア Crumillospongia


    • コイア(チョイア) Choia


    • ハゼリア Hazelia


    • ハリコンドリテス Halichondrites


    • レプトミテラ Leptomitella



  • 刺胞動物

    • シャンガンギア Xiangnguangia


  • 類線形動物

    • パラエオスコレクス Palaeoscolex


  • 腕足動物

    • ヘリオメドゥーサ Heliomedusa


    • リングレラ Lingulella



  • 鰓曳動物

    • クリココスミア Cricoccosmia


    • マオティアンシャニア Maotianshania :類線形動物ともされる。



  • 葉足動物

    • オニコディクティオン Onychodyction


    • カーディオディクチオン Cardiodictyon


    • パウキポディア Paucipodia


    • ハルキゲニア Hallucigenia


    • ミクロディクチオン Microdictyon


    • ルーリシャニア Loulishania



  • 節足動物

    • アノマロカリス類

      • アンプレクトベルア Amplectobelua


      • アノマロカリス Anomalocaris


      • ライララパクス Lyrarapax


      • ククメリクルス Cucumericrus :類縁の別類ともされる。



    • 三葉虫類

      • ウティンガスピス Wutingaspis


      • エオレドリキア Eoredlichia


      • クーニャンギア Kuanangia


      • ナラオイア Naraoia


      • ユンナノケファルス Yunnanocephalus



    • Megacheira類

      • イソキシス Isoxys


      • フォルフェクシカリス Forfexicaris


      • ジェンフェンギア Jiangfengia


      • パラペユトイア Parapeytoia :かつてアノマロカリス類として考えられた。


    • その他

      • アカントメリディオン Acanthomeridion


      • ウロコディア Urokodia


      • オッカカリス Occacaris


      • カナダスピス Canadaspis


      • クアマイア Kuamaia


      • クンミンゲラ Kunmingella


      • サペリオン Saperion


      • シノブリウス Sinoburius


      • シャンダレラ Xandarella


      • キンダレラ Cindarella


      • フキシャンフィア Fuxianhuia


      • レティファキス Retifacis


      • ワプティア Waptia




  • 古虫動物(en)

    • ウェツリコラ Vetulicola


    • ハイコウエラ Haikouella


    • スケーメラ Skeemella


    • バンフィア Banfia


    • ヘテロモルフス Heteromorphus



  • 半索動物、あるいは、古虫動物

    • ベイダズーン(ベイダゾーン) Beidazoon


    • ディダズーン(ディダゾーン) Didazoon


    • シダズーン(クシダゾーン) Xidazoon


    • ユンナノズーン(ユンナノゾーン) Yunnanozoon



  • 脊索動物

    • ミロクンミンギア Myllokunmingia


    • ハイコウイクチス Haikouichthys


    • カタイミルス Cathaymyrus


  • 所属不明

    • ディノミスクス Dinomischus


    • ファキウェルミス Facivermis


    • エルドニア Eldonia



脚注


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  1. ^ García-Bellido, Diego C; Paterson, John R (2014年). “A new vetulicolian from Australia and its bearing on the chordate affinities of an enigmatic Cambrian group”. BMC Evolutionary Biology 14: 214. doi:10.1186/s12862-014-0214-z. PMC 4203957. PMID 25273382. http://www.biomedcentral.com/1471-2148/14/214/abstract#. 

  2. ^ abThe functional head of the Cambrian radiodontan (stem-group Euarthropoda) Amplectobelua symbrachiata



参考文献





  • 福田芳生 『古生態図集・海の無脊椎動物』 川島書店、1996年。ISBN 4-7610-0596-3。


  • 大森昌衛 『進化の大爆発 - 動物のルーツを探る』 新日本出版社、2000年。ISBN 4-406-02756-4。


  • 白山義久編 『無脊椎動物の多様性と系統 - 節足動物を除く』 岩槻邦男・馬渡峻輔監修、裳華房〈バイオディバーシティ・シリーズ〉、2000年。ISBN 4-7853-5828-9。

  • 「進化のビッグバン」『Newton』2007年05月号、ニュートンプレス。


関連項目


  • バージェス動物群

  • ラーゲルシュテッテン


外部リンク


  • http://xidazoon.com/chengjiang/index2.html

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