氾濫原
氾濫原(はんらんげん、flood plain)とは、河川の流水が洪水時に河道から氾濫する範囲にある平野部分をいう。谷底平野や扇状地、沖積平野、三角州などで洪水時に浸水する範囲も同様に氾濫原といえる。河川の下流部によく発達する。
形成と地質
氾濫原は、河川流水が洪水時に河道から溢れた溢流水および河道内部における堆積作用によって形成される。平常時、氾濫原は河川水面よりやや高いところにあり、多くの場合、河道は氾濫原の中で蛇行している。
また、氾濫原の構成物質は、礫をはじめ、砂・シルト・粘土からなり、その分布は堆積時の状況に応じ、一様とは限らない。更に、氾濫の度に上流から粘土や植物の種などが流れ着き(漂着)、植物が繁茂しやすい。
平地で水の入手が容易であるため、湿地帯を除き、農業には適している。氾濫原中には、河道の跡である三日月湖や後背湿地、微高地の自然堤防などが発達する。
生物的環境として
氾濫原は、平坦で、水の供給がよく、植物の生育には好適な条件が多い。他方で、洪水のたびに洗い流される環境なので、安定的な植物群落は成立しにくい。地下の水位が高いのも、森林の成立には向かない。そのために、樹木の生育は限られ、ヤナギ類など特定の樹木のみが出現する。
関連項目
- 湿地
- 洪水
- 曽根
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