ローマ教皇庁




ローマ教皇庁(ローマきょうこうちょう、Curia Romana)は、使徒ペトロに由来するとされる使徒継承教会の首長としての地位の継承者として存続するカトリック教会の使徒座のこと。また、ローマ教皇の下に全世界のカトリック教会を統率する組織でもある。現在の所在地はローマのバチカンであり、バチカン市国という世界最小の主権国家の中に置かれている。カトリック教会内や国際連合などでは、聖庁聖座(Holy See, Sancta Sedes)という呼称も用いられる。


かつて教皇は世俗の領主のように自らの領地(教皇領)を持っており、事実上国家と同様に独立した行政権を領地内で行使していたが、19世紀末のイタリア統一運動の中で失っている。ラテラノ条約によって成立したバチカンは、教皇庁が支配する国際法上の主権国家であるが、かつての教皇領のような世俗的支配を行う領地ではなく、国民は教会関係者のみである。


なお、14世紀のいわゆる「アヴィニョン捕囚」の時代、教皇庁は南フランスのアヴィニョンに遷座された(アヴィニョン教皇庁)。




目次





  • 1 日本語での呼称について


  • 2 組織概要


  • 3 脚注

    • 3.1 注釈


    • 3.2 出典



  • 4 関連項目


  • 5 外部リンク




日本語での呼称について



日本において教皇庁の呼び方として「教皇庁」と「法王庁」が混用されている。


日本のカトリック教会の中央団体であるカトリック中央協議会では、1981年のヨハネ・パウロ2世の来日時に、それまで混用されてきた「教皇」と「法王」の呼び方を統一しようと、世俗的な君主を思わせる「王」の字が入る「法王」でなく、「教皇」という呼び方への統一を定めた。
教会や歴史関係では、それ以前にも「教皇」の方が多く用いられていたようである。


現在、カトリック中央協議会は、マスメディア等の一般に「教皇」の名称を使用するよう呼びかけている。カトリック中央協議会は、東京の大使館においても「法王庁」から「教皇庁」への名称の変更を行おうとしたが、日本政府から「日本における各国公館の名称変更はクーデターなどによる国名変更時など特別な場合以外認められない」との理由からほとんど即答に近い形で却下され、「ローマ法王庁大使館」の名称が残ったとしている[1]。このため日本のカトリック教会が「教皇」という名称に統一している現在においても、マスメディアでは日本の外交界における公式名称である「ローマ法王庁」が用いられることが多いとしている[1]


2018年には、山内康一衆議院議員が衆議院予算委員会において「教皇」に変更するべきではないかと質問を行っている。これを受けて外務省はバチカンとローマ法王庁大使館に問い合わせを行ったが、いずれも変更を求めていないという回答を得ている。河野太郎外務大臣はグルジアからジョージアへ変更を行った事例のように、変更の要求があった場合にはしっかりと対応していくと答弁している[2]



組織概要


2018年8月現在の教皇庁組織は以下のような構成になっている[3]



  • 国務省(英語版) - 教皇職のバックアップを行い、バチカンの諸組織を統合運営[注 1]。現在の国務省長官(英語版)ピエトロ・パロリン(英語版)枢機卿。
    • 総務局

    • 外務局

    • 外交官人事局

  • 事務局
    • 財務事務局

    • 広報のための部署
      • 2015年に「広報事務局」(Secretariat for Communications)として設立された。バチカンの広報関連の組織を整理統合するために設置された部署で、バチカン放送やオッセルヴァトーレ・ロマーノなども集約され、いずれも現在は本部署の一部門となっている。2018年6月より現名称に改められた。


  • (英語版) - 省庁というより会議としての意味合いが強い。長官は枢機卿が任命される(大司教が任命される場合もあるが、程なく枢機卿にあげられる)。

    • 教理省(英語版) - 教会の教義についての業務。
      • 聖書委員会(英語版)

      • エクレジア・デイ委員会 (英語版)

      • 国際神学委員会(英語版)



    • 東方教会省(英語版) - 東方典礼を行うカトリック教会を管轄。


    • 典礼秘跡省 - 典礼と秘跡に関する業務。


    • 列聖省(英語版) - 列聖調査の運営・実施。


    • 司教省(英語版) - 司教人事、教区に関する業務(福音宣教省の所管地域を除く)。
      • ラテン・アメリカ委員会(英語版)


    • 福音宣教省 - 東方教会省所管地域以外の世界の福音化に関する業務を担う。所管地域の司教人事や教区に関する業務も司る。日本もここの管轄である。
      • 教皇庁宣教援助事業
        • 信仰弘布会

        • 宣教地司祭育成会

        • 児童福祉会



    • 聖職者省(英語版) - 教区司祭、教会財産を管轄。


    • 奉献・使徒的生活会省(英語版) - 修道会や使徒的生活者に関する業務。


    • 教育省(英語版) - 司祭養成およびカトリック教育に関する業務。

  • 裁判所
    • 内赦院(英語版)

    • 使徒座署名院最高裁判所(英語版)

    • ローマ控訴院(英語版)


  • 評議会(英語版)

    • 信徒評議会(英語版)[注 2]


    • キリスト教一致推進評議会(英語版)
      • ユダヤ人との宗教関係委員会


    • 家庭評議会(英語版)[注 2]


    • 正義と平和協議会(英語版)[注 3]


    • 開発援助促進評議会(英語版)[注 3]


    • 移住・移動者司牧評議会(英語版)[注 3]


    • 保健従事者評議会(英語版)[注 3]

    • 法文評議会(英語版)


    • 諸宗教対話評議会(英語版)
      • ムスリムとの宗教関係委員会

    • 文化評議会(英語版)

    • 広報評議会(英語版)

    • 新福音化推進評議会(英語版)

  • 部局
    • 教皇空位期間管理局(英語版)

    • 財務評議会

    • 聖座財産管理局(英語版)

    • 聖座財務部(英語版)

  • 関連機関
    • 教皇慈善活動室

    • 聖座財務情報監視局(英語版)

  • その他の機関
    • 教皇公邸管理部(英語版)

    • 教皇儀典室(英語版)


脚注


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注釈




  1. ^ 国務省というとアメリカに見られるように外務省のイメージが強いが、バチカンでは日本の内閣府相当である。ただし外務省相当の職務も担当している。

  2. ^ ab2016年9月1日付けで再編され、信徒・家庭・いのちの部署(英語版)となった(邦訳は暫定である)。

  3. ^ abcd2017年1月1日付けで再編され、人間開発のための部署(英語版)となった(邦訳は暫定である)。



出典



  1. ^ ab“ローマ法王」「ローマ教皇」という二つの呼称について”. カトリック中央協議会. 2018年4月23日閲覧。


  2. ^ 第196回国会 予算委員会 第9号


  3. ^ “バチカンの組織”. カトリック中央協議会. 2018年12月12日閲覧。



関連項目


  • カトリック教会

  • アヴィニョン教皇庁


外部リンク


  • カトリック中央協議会 バチカンの組織







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