うつ病
うつ病 | |
---|---|
フィンセント・ファン・ゴッホ作 「悲しむ老人」 1890年5月 | |
分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 | 精神科、心療内科 |
ICD-10 | F32, F33 |
ICD-9-CM | 296 |
OMIM | 608516 |
DiseasesDB | 3589 |
MedlinePlus | 003213 |
eMedicine | med/532 |
Patient UK | うつ病 |
疾患 | DALY (100万) | 割合 (%) | |
---|---|---|---|
1 | 下気道感染症 | 94.5 | 6.2% |
2 | 下痢性疾患 | 72.8 | 4.8% |
3 | 大うつ病 | 65.5 | 4.3% |
4 | 虚血性心疾患 | 62.6 | 4.1% |
5 | HIV / AIDS | 58.5 | 3.8% |
6 | 脳血管疾患 | 46.6 | 3.1% |
7 | 未熟児、低出生体重 | 44.3 | 2.9% |
8 | 出生時仮死出生外傷 | 41.7 | 2.7% |
9 | 交通事故 | 41.2 | 2.7% |
10 | 新生児の感染症など | 40.4 | 2.7% |
11 | 結核 | 34.2 | 2.2% |
12 | マラリア | 34.0 | 2.2% |
13 | COPD | 30.2 | 2.0% |
14 | 屈折異常 | 27.7 | 1.8% |
15 | 成人発症性の難聴 | 27.4 | 1.8% |
16 | 先天異常 | 25.3 | 1.7% |
17 | アルコール使用障害 | 23.7 | 1.6% |
18 | 他傷による怪我 | 21.7 | 1.4% |
19 | 糖尿病 | 19.7 | 1.3% |
20 | 自傷行為怪我 | 19.6 | 1.3% |
うつ病(うつびょう、鬱病、欝病、英語: Clinical Depression)は、気分障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥(しょうそう)、食欲低下、不眠、持続する悲しみ・不安などを特徴とした精神障害である[2]。
『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版 (DSM-5) には、うつ病の診断名と大うつ病性障害(だいうつびょうせいしょうがい、英語: Major depressive disorder)が併記されており、この記事では主にこれらについて取り上げる[3]。これは1日のほとんどや、ほぼ毎日、2、3週間は抑うつであり、さらに著しい機能の障害を引き起こすほど重症である場合である[4]。1 - 2年続く死別の反応、経済破綻、重い病気への反応は理解可能な正常な反応である場合がある[3]。
有病者数は世界で3.5億人ほどで一般的であり、世界の障害調整生命年(DALY)において第3位(4.3%)に位置づけられる[5][6]。しかし多くの国にて治療につながっておらず、先進国であろうと適切にうつ病と診断されていない事が多く、その一方ではうつ病と誤診されたために間違った抗うつ薬投与がなされている[5]。WHOはうつ病の未治療率を56.3%と推定し(2004年)[7]、mhGAPプログラムにて診療ガイドラインおよびクリニカルパスを公開している[2][5]。
目次
1 定義
1.1 下位分類
1.2 診断名のうつ病と抑うつ状態
2 病態
3 分類
3.1 古典的分類
3.1.1 メランコリー型
3.1.2 メランコリー親和型性格
3.2 操作的診断基準による分類
3.2.1 病相の回数による分類
3.2.2 重症度による分類
3.3 治療反応性による分類
4 原因
4.1 生物学的仮説
4.1.1 モノアミン仮説
4.1.2 脳の海馬領域における神経損傷仮説
4.2 心理学的仮説
4.2.1 病前性格論
4.2.2 認知心理学
4.2.3 ストレス脆弱性モデル
4.3 薬物やアルコールによる影響
4.4 社会的要因
5 予防
6 診断
6.1 臨床評価
6.2 DSM-IV-TRとICD-10の診断基準
6.2.1 大うつ病エピソード(DSM-IV-TR)
6.3 鑑別診断
6.3.1 身体疾患による抑うつとの鑑別
6.3.2 双極性障害との鑑別
6.3.3 他の精神障害
7 診療科・医療機関
8 治療
8.1 援助の方針
8.2 心理療法
8.2.1 認知行動療法
8.2.2 読書療法
8.2.3 対人関係療法
8.2.4 環境調整
8.2.5 問題解決法
8.2.6 オープンダイアローグ
8.3 薬物療法
8.3.1 抗うつ薬による治療
8.3.2 その他の薬物療法
8.3.3 薬物療法と自殺
8.4 運動療法
8.5 その他の治療法
8.6 日本におけるうつ病治療の現状
9 予後
9.1 回復率
9.2 再発率
10 疫学・統計
10.1 健常者との差異
10.2 性差
10.3 患者数とその推移
10.4 子どものうつ病
10.5 自殺企図者とうつ病の統計
10.6 喫煙との関連
10.7 うつ病によりリスクの高まる身体疾患
11 診断検査の研究事例
11.1 光トポグラフィー検査
11.2 MRI
11.3 血液検査
11.4 脳画像
12 新型うつ病(現代型うつ病)
13 脚注
13.1 注釈
13.2 出典
14 参考文献
15 関連項目
16 外部リンク
定義
うつ病は他の精神障害と同様、原因は特定されていないため、原因によってうつ病を分類したり定義したりすることは現時点では困難である[5]。
診断と医学用語とを共通化する目的で操作的診断基準が開発されてきた。それはアメリカ精神医学会 (APA) の『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM) や、世界保健機関 (WHO) の『ICD-10 精神と行動の障害』といったものである。
日本のうつ病の診療ガイドラインは、うつ病と、DSM-IVの大うつ病性障害、また単極型(短極性)うつ病はほぼ同じ意味であるとしている[8]。第5版のDSM-5の邦訳書では、うつ病の用語は、大うつ病性障害の診断名と、うつ病エピソード(定義されたうつ状態、後述)とを指すために用いることが記されている[3]。以上の範囲を本記事の主な対象とする。なお訳語では、major depressive disorderの major が日本語で大と訳されているが、本来これは「主要な」あるいは「中心的な」という意味で用いられているものであり、誤訳であるとする意見もある[9]。
うつ病という用語は、狭い意味ではDSM-IVにおける大うつ病性障害に相当するものを指しているが、広い意味でのうつ病は、一般的には抑うつ症状が前景にたっている精神医学的障害を含める。そのなかには気分変調性障害をはじめとする様々なカテゴリーが含まれている[10]。
操作的診断基準による「大うつ病性障害」などの概念と、従来の分類による「内因性うつ病」(後述)などは同じ「うつ病」であっても異なる概念であるが、このことが専門家の間でさえもあまり意識されずに使用されている場合があり、時にはそれを混交して使用しているものも多い。そのため一般社会でも、精神医学会においても、うつ病に対する大きな混乱が生まれている[11]。つまり、うつ病という言葉の意味が異なっている場合がある。
下位分類
従来は、心因が強く関与している心因性うつ病と、そうではない内因性うつ病を区別し論じられることが一般的であった。
1980年にアメリカ精神医学会 (APA) が出版した『精神障害の診断と統計マニュアル』第3版 (DSM-III) は、内因性というカテゴリーを削除した[12]。
現在では、DSMのような操作的診断基準によって分類することが一般的であるが、様々な経験則によってそうした下位分類も用いられる。細かくは#分類の項に示す。
診断名のうつ病と抑うつ状態
抑うつの症状を呈し、うつ状態であるからといって、うつ病であるとは限らない[13]。抑うつ状態は、精神医療において最も頻繁に見られる状態像であり、診療においては「熱が38度ある」程度の情報でしかない[13]。状態像と診断名は1対1で対応するものではなく、抑うつ状態は、うつ病以外にも様々な原因によって引き起こされる[13]。
『精神障害の診断と統計マニュアル』において、うつ病(大うつ病性障害)として扱われるのは、1日のほとんどや、ほぼ毎日、2、3週間は抑うつであり、さらに著しい機能の障害を引き起こすほど重症である場合である[4]。また、死別、経済破綻、重い病気への反応は理解可能な正常な反応である場合がある[3]。
病態
うつ病は、単一の疾患ではなく症候群であり、さまざまな病因による亜型を含むと考えられる[14]。
『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版 (DSM-5) の診断基準Aによれば、「ほとんど1日中、ほとんど毎日の」の抑うつ気分、あるいは興味、喜びの著しい減退のほか、「ほとんど毎日の」不眠あるいは過眠、易疲労性、精神の焦燥や制止、無価値観や罪の意識、思考力や集中力の減退、体重の減少や増加、反復的な自殺念慮などがみられ、診断基準Bが重症であることを要求している。
うつ病と不安障害は併発し易い。アメリカでの調査では、大うつ病者の51%に、不安障害が伴う[15]。
うつ病の約8割から9割に不眠が見られる[16][17][18]。
分類
前史として、1899年にエミール・クレペリンは、統合失調症と躁うつ病とに大きく分け、うつ病は躁うつ病に含まれた[19]。
古典的分類
古典的な精神病理学は、内因、外因、心因という原因についての考察から分類がなされていた[20]。内因性うつ病とは、身体である体調の変化から気分が巻き込まれており、典型的には自生的に出現すると考えられた[20]。心因性うつ病とは、葛藤に苦しんでいるなど、環境との相互作用から起こるものである[20]。
内因性うつ病という分類は、抗うつ薬というものが登場したばかりの1958年に、抗うつ作用を発見したローランド・クーンが、イミプラミンの適応は内因性うつ病であり、効果が目覚ましいのは重いうつ病であると述べたことから大きく始まる[12]。この説をキールホルツが支持し、DSM-IIIの登場する1980年代まで定説となる[12]。
メランコリー型
1980年にアメリカ精神医学会 (APA) が出版した『精神障害の診断と統計マニュアル』第3版 (DSM-III) は、DSM-IIの内因性うつ病というカテゴリーを削除し、うつ病のサブタイプにメランコリー型という分類を追加した[12]。このメランコリーの特徴は、最も重篤な抑うつでまったく何も楽しめず、感じないといった特徴を持ち、最低限の栄養補給を誘導しなくてはならない[21]。そして、1987年のDSM-III-Rのメランコリー型の診断基準には、身体的な抗うつ療法によく反応したことという一文が加えられ、それを実証した研究がないため議論が起こった[12]。そのため実験が行われ、メランコリー型はそうでないものに比べて、身体的な抗うつ療法に良好な反応をするという知見は得られず、DSM-IVではこの基準は削除された[12]。当時は、反応の違いの原因は重症度であり、中等症のうつ病に抗うつ薬が奏功すると考えられた[12]。(現在の知見と異なる)なおDSM-IVではメランコリー型、DSM-5メランコリーと邦訳されている。
諸外国においても、操作的診断によるうつ病概念の混乱が生じており、ハゴップ・アキスカルやジャーマン・ベリオス、ヒーリーをはじめとした英米圏を代表する学者13名は連名で、DSMを発行している『アメリカ精神医学会誌』において、大うつ病性障害からメランコリーを切り離し、1つの臨床単位として独立させる必要性を提言している[22]。食欲と体重が減少し、SSRI系抗うつ薬よりも三環系抗うつ薬によく反応し、内因性うつ病とか典型的なうつ病と呼ばれてきたものである[22]。
メランコリー親和型性格
メランコリー親和型は内因性うつ病を誘発する病前性格であり、テレンバッハが提唱した学説である[20]。几帳面、良心的、配慮できるといった特徴を持つうつ病の病前性格であり、自分の所属する「社会や集団での役割」に応えようとする中で、不調が生じうつ病を発症する[20]。そのため、笠原は1978年にメランコリー親和型の患者への基本方針として、治ると説明し、休息させ、服薬の重要性を説明し、「患者という役割」に同一化させるという原則を提唱した[20]。内因性うつ病の語は現在では用いられないが、病像としては今なお考慮されている[23]。
うつ病の典型は、内因性のうつ病であり、メランコリー親和型が病前性格であると、以前の日本では捉えられていた[20]。そうして、日本では内因性うつ病と、神経症性うつ病との鑑別が重視された[24]。内因性うつ病は、身体疾患の影響や薬物など明らかな外部の影響が不明で、かといって性格も環境も原因ではなく、食欲と体重は低下し、朝に落ち込み、抗うつ薬が有効である[24]。神経症性うつ病は、そうした特徴がなく不安感を持ち、性格や環境に原因があり、抗うつ薬が効きにくいため環境調整や精神療法が必要である[24]。
1980年代にはこうした性質が顕著ではなくなっているということが議論されており、現代型うつ病の議論が起こっている[19]。役割への同一化を示さない[20]。
操作的診断基準による分類
1980年にアメリカ精神医学会 (APA) が『精神障害の診断と統計マニュアル』第3版 (DSM-III) を発表し、「うつ病性障害」を、ある程度症状の重い「大うつ病 (Major Depressive Disorder)」と、軽いうつ状態が長期間にわたって続く「気分変調症 (Dysthymia)」に二分した。原因による分類・定義が現時点では困難であるため、1994年に発表された第4版のDSM-IVと、『ICD-10 精神および行動の障害』でも、基本的にはDSM-IIIの構成が継承されている[10]。
ICD-10 (F30-39) | DSM-5 抑うつ障害群 |
---|---|
|
|
病相の回数による分類
ICDでは、うつ病相が1回のみの単一エピソードうつ病に対して、うつ病を繰り返すものを反復性うつ病 (Recurrent depressive disorder) という[25]。DSMでも同様に、296.2x:単一エピソード、296.3x:反復エピソードである。
重症度による分類
DSM-5(5だけでなく以前からも)においては、大うつ病性障害の診断を満たすものについて、296.2x、296.3xの診断コードの末尾x部分に、さらに状態を細分する。
1:軽症(いくつかの愁訴が最低限の基準に該当する)、2:中等症、3:重症(社会的や職業的能力を著しく妨げている)に分類される。エピソード全体の15%を占め、妄想・幻覚など「4:精神病性の特徴を伴うもの」(一般に「精神病性うつ病」とも呼ばれる)。症状が改善して診断基準を満たさなくなったものの、一部の症状が残存している「部分寛解」や、完全寛解などである。
治療反応性による分類
DSM-IVなど操作的診断基準では定義されておらず、基準は一定したものではないが、研究などでは「少なくとも2つ以上の抗うつ薬を十分な量・長期にわたり投与しても症状が改善しないケース」を治療抵抗性うつ病あるいは難治性うつ病ということが多い。
原因
うつ病の発病メカニズムは未だ不明であり、社会的相互作用、心理社会的、生物学的らの複雑な要素によるとされている[5]。様々な仮説が提唱されている。現在、動物実験によって、抑うつ状態に特有の神経回路機構が徐々に明らかとなりつつある。
生物学的仮説
生物学的仮説としては、薬物の有効性から考え出されたモノアミン仮説、死後脳の解剖結果に基づく仮説[26]、低コレステロールがうつおよび自殺のリスクを高めるとの調査結果、MRIなどの画像診断所見に基づく仮説などがあり、現在も活発に研究が行われている。
モノアミン仮説のうち、近年はSSRIとよばれるセロトニンの代謝に関係した抗うつ薬の売り上げ増加に伴い、セロトニン仮説がよく語られる。また、海馬の神経損傷も論じられている。しかしながら、臨床的治療場面を大きく変えるほどの影響力のある生物学的な基礎研究はなく、決定的な結論は得られていない。
モノアミン仮説
1956年、抗結核薬であるイプロニアジド、統合失調症薬として開発中であったイミプラミンが、クラインやクーンにより抗うつ作用も有することが発見された。発見当初は作用機序は明らかにされておらず、他の治療に使われる薬物の薬効が偶然発見されたものであった。その後イプロニアジドからモノアミン酸化酵素 (MAO) 阻害作用、イミプラミンにモノアミン類であるノルアドレナリン・セロトニンの再取り込み阻害作用があることが発見された。その後これらの薬物に類似の作用機序を持つ薬物が多く開発され、抗うつ作用を有することが臨床試験の結果明らかなった。よってモノアミン仮説とは、大うつ病性障害などのうつ状態は、モノアミン類であるノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質の低下によって起こるとした仮説である。
抗うつ薬の販売者は自社製品を宣伝するために、セロトニンの欠乏によってうつ病が引き起こされており、選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI) が、この欠乏を正常化するとして宣伝しているが、これは監督庁による製品情報や査読論文によって裏付けられていない比喩的な説明である[27]。
脳の海馬領域における神経損傷仮説
- 神経損傷仮説
- 近年MRIなどの画像診断の進歩に伴い、うつ病において、脳の海馬領域での神経損傷があるのではないかという仮説が唱えられている[28]。そして、このような海馬の神経損傷には、遺伝子レベルでの基礎が存在するとも言われている[29]。
心的外傷体験が海馬神経損傷の原因となるという仮説- また、海馬の神経損傷は幼少期の心的外傷体験を持つ症例に認められるとの研究結果から、神経損傷が幼少期の体験によってもたらされ、それがうつ病発病の基礎となっているとの仮説もある。コルチゾール(cortisol) は副腎皮質ホルモンであり、ストレスによっても発散される。分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。また、このコルチゾールは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させることが、近年心的外傷後ストレス障害 (PTSD) 患者の脳のMRIなどを例として観察されている[28]。心理的ストレスを長期間受け続けるとコルチゾールの分泌により、海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮する。心的外傷後ストレス障害 (PTSD)・うつ病の患者にはその萎縮が確認される。
心理学的仮説
病前性格論
#古典的分類に示したように、日本では1980年代まで、うつ病の患者に几帳面な人が多いという定説があり、これは病前性格論におけるメランコリー親和型性格や循環性格を指したものであった[19]。
フーベルトゥス・テレンバッハの唱えたメランコリー親和型性格は、几帳面・生真面目・小心な性格を示すメランコリー親和型性格を持つ人が、職場での昇進などをきっかけに仕事の範囲が広がると、責任感から無理を重ね、うつ病を発症するという仮説である。
従来は、メランコリー親和型性格がうつ病の特徴とされ、薬に反応しやすく、休養と服薬で軽快しやすいものであった[30]。
しかし、近年ではうつ病概念の拡大や社会状況の変化に伴い、これらの性格に該当しないディスチミア親和型と呼ばれる一群の患者が増加しているとされる[31]。ディスチミア親和型は、メランコリー親和型とは異なり、薬への反応は部分的であり休養と服薬のみでは、しばしば慢性化する[32]。そのため、メランコリー親和型に準じた治療では改善がみられない[30]。
ディスチミア親和型は、2004年に樽味伸が提唱したもので[30]、以下のような特徴がある[32]。若年層に見られ、社会的役割への同一化よりも、自己自身への愛着が優先する。また成熟した役割意識から生まれる自責的感覚を持ちにくい。ストレスに対しては他責的・他罰的に対処し、抱えきれない課題に対し、時には自傷や大量服薬を行う。幼い頃から競争原理が働いた社会で成長した世代が多く、現実で思い通りにならない事態に直面した際に個の尊厳は破れ、自己愛は先鋭化する。回避的な傾向が目立つ。
ディスチミア親和型 | メランコリー親和型 | |
---|---|---|
年齢層 | 青年層 | 中高年層 |
関連する気質 | スチューデント・アパシー 退却傾向と無気力 | 執着気質 メランコリー性格 |
病前性格 | 「自己自身(役割ぬき)への愛着 規範に対して『ストレス』であると抵抗する 秩序への否定的感情と万能感 もともと仕事熱心ではない | 社会的役割・規範への愛着 規範に対して好意的で同一化 秩序を愛し、配慮的で几帳面 基本的に仕事熱心 |
症候学的特徴 | 不全感と倦怠 回避と他罰的感情(他者への非難) 衝動的な自傷、一方で「軽やかな」自殺企図 | 焦燥と抑制 疲弊と罪業感(申し訳なさの表明) 完遂しかねない「熟慮した」自殺企図 |
薬物への反応 | 多くは部分的効果に留まる(病み終えない) | 多くは良好(病み終える) |
認知と行動特性 | どこまでが「生き方」でどこからが「症状経過」か不分明 | 疾病による行動変化が明らか |
予後と環境変化 | 休養と服薬のみではしばしば慢性化する 置かれた場・環境の変化で急速に改善することがある | 休養と服薬で全般に軽快しやすい 場・環境の変化は両価的である(時に自責的となる) |
認知心理学
認知心理学は、人間の思考など認知過程を対象とした学問で1960年代より発展してきた。この認知心理学の学習モデルによれば、人間には思考が反復的に起こっているとされ、偏った思考と気分が関連付けされた場合に、問題が生じるとしている。その心理療法である認知行動療法は、有効性が科学的に確認されている。
ストレス脆弱性モデル
ストレス脆弱性モデルとは、ストレス自体の強さと、個人にはストレスに対する脆弱性があるという発症を説明する理論である。同様のストレスを受けた場合でも、ストレスに対して脆弱な場合に症状が生じるということである。
薬物やアルコールによる影響
DSM-IVでは、その原因が「物質の直接的な精神的作用」に起因すると判断される場合は、気分障害の診断を下すことはできないとしている。うつ病に似た症状が物質乱用や薬物有害反応によって起こされていると判断される場合、それは物質誘発性気分障害と診断される。
アルコール依存症または過度のアルコール消費は、うつ病の発症リスクを大幅に増加させる[33][34][35][36]。また、逆にうつ病が原因となってアルコール依存症になる場合もある(誤った自己治療)[37]。
ベンゾジアゼピンは不安障害や不眠症の人が服用する薬である[38]。アルコールと同様に、ベンゾジアゼピンは大うつ病発症リスクを増加させる。この種類の薬は不眠・不安・筋肉痙攣に広く使用されている[39][40]。このリスク増加はセロトニンとノルアドレナリンの減少など、薬物の神経化学への効果が一因である可能性がある。ベンゾジアゼピン系の慢性使用も抑うつを悪化させ[38][41][42]、うつ症状は遷延性離脱症候群の1つである可能性がある[39][43][44][45]。2010年の厚生労働科学研究によれば、実際には睡眠薬、抗不安薬としてベンゾジアゼピン系などが多く処方されているが、長期の安全性については疑問符があるため適正使用ガイドライン等が検討課題であると述べられている[46]。
メタンフェタミン乱用も抑うつを引き起こすとして広く知られている[47]。
社会的要因
貧困と社会的孤立は、一般的に精神的健康の問題のリスク増加と関連している。児童虐待(身体的、感情的、性的、またはネグレクト)も、後年になってうつ病を発症するリスクの増加に関連付けられている。
成人では、ストレスの多い生活上の出来事が強く大うつ病エピソードの発症に関連付けられている。生活上のストレスがうつ病につながる可能性が増加したり、社会的支援の欠如がうつ病につながる可能性がある。
予防
対人関係療法や認知行動療法などの行動療法は、うつ病の新規発症を予防する効果があるとされる[48][49][50]。これらのセラピーは個人や小人数グループにて施した場合に最も効果があるとされるため、インターネットを用いて多くの対象者にリーチすれば効果があるだろうと提案されている[51]。
睡眠時は寝室を暗くする(「睡眠衛生」も参照)[52][注 1]。- うつ病のリスク要因となる抑うつを予防するために、抑うつを発症しやすい青年期・思春期・児童期に位置する学生(大学生など)や児童生徒(小・中・高校生など)に向けて、抑うつ予防プログラムをカリキュラムの中に位置づけて実施することが有効である[53][54][55][56][57][58][59][60][61]。
- うつ病の一因となるストレスに対処する方法を教えるストレス管理教育(「ストレス管理」も参照)と、問題を抱えたときや心身の不調時に各種専門機関への援助要請を積極的に行えるようにするための知識を提供することも重要である[62]。
診断
臨床評価
診断評価は、適切な訓練を受けた総合診療医、精神科医、心理士によって、現在の状況、生活歴、現在の症状、家族歴を記録したうえで下される[64]。広い臨床的な目的は、患者の気分に影響がおよぶ関連する生物学的、心理的、社会的要因を系統立てて診るためである。評価の際には、アルコールや薬物の使用など(健康な方法も含めて)気分転換の方法を尋ねる場合もある。評価はまた、現在の気分や思考の内容についての心理検査を行うことがあり、それは特に絶望感や悲観、自傷や自殺、肯定的な考えや計画がない場合である[64]。農村部では精神医療の専門家は少ないため、診断と管理はプライマリケア医によってなされることが多く[65]、特に発展途上国では顕著である[66]。
プライマリケア医や非精神科医は、身体的な症状の診断と治療に訓練されているため、時にはうつ病の診断を下すのが難しいこともある。うつ病は、様々な身体的(心身的)症状を引き起こすことがあり、彼らは身体的症状だと判断してその治療をしてしまうからである。非精神科医は三分の二のケースで不必要な加療を行ってしまうという[67][68]。
うつ病の診断を行う前に、一般的に医師によって医学的検査と調査が、他が原因となっている症状を除外するために行われる。血液の甲状腺刺激ホルモン(TSH)とチロキシン測定によって甲状腺機能低下症を除外したり、基礎電解質と血中カルシウム測定で代謝障害の除外、全血球算定(赤血球沈降速度ESRを含む)により全身性疾患や慢性疾患の除外など[69]。薬物の副作用やアルコール乱用も同様に除外される。男性の抑うつの場合、テストステロンのレベル測定によって性腺機能低下症も除外される[70]。
自覚的な認知についての訴えが、老人の抑うつに現れることがあるが、それはアルツハイマー病などの認知症の徴候の可能性がある[71][72]。認知検査と脳画像イメージは認知症とうつ病を区別する助けとなる[73]。CTスキャンは、精神病症状や、急な発症、または異常な症状を伴う脳病変を除外することができる[74]。生物的テストでは大うつ病の診断を行う方法はない[75]。一般的に、医学的な兆候がない限りその後検査を繰り返す必要はない。
DSM-IV-TRとICD-10の診断基準
抑うつ状態について最も広く用いられる診断基準は、アメリカ精神医学会による『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版改訂版(DSM-IV-TR)と、世界保健機関の『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版(ICD-10)である。前者は米国および非ヨーロッパ諸国で多く用いられ、後者はヨーロッパで多く用いられる[76]。2つの著作はお互いを反映するように作業されている[77]。
DSM-IV-TRとICD-10は典型的なうつ病の症状を選定している。ICD-10では3つの典型的なうつ病の症状(気分の落ち込み、喜びの喪失、気力の低下)を示し、うち2つがうつ病の診断の確定に必要である[25]。DSM-IV-TRでは2つの主なうつ病の症状、気分の落ち込みと、喜びの喪失のうち、ひとつが大うつ病エピソードの診断に必要である[78]。しかし、これらは診断基準の一部であり、すべてではない。
DSM-IV-TRでは大うつ病性障害は気分障害に分類される[79]。診断は単発か繰り返される大うつ病エピソードに基づく[80]。追加の情報はその他の障害と区別するために用いられている。特定不能のうつ病性障害は、抑うつ症状のエピソードが、大うつ病エピソードの基準を満たしていない場合に診断される。
ICD-10は、大うつ病性障害という用語を使用していないが、(軽症・中等症・重症)うつ病エピソードの診断のために、非常によく似た基準を一覧にしている。複数のうつ病エピソードが存在し、躁病のないものには反復性うつ病性障害 (recurrent depressive disorder) の診断名が用いられる[25]。
DSMの診断基準は、うつ病を引き起こした個人の他の側面と社会的な状況を考慮していないという点について、批判の対象となっている[81]。
大うつ病エピソード(DSM-IV-TR)
大うつ病エピソードは、2週間以上の重症の抑うつ気分の存在を特徴とする[80][82]。もし躁病や軽躁病のエピソードが存在すれば、診断は代わりに双極性障害となる[83]。
大うつ病エピソードの確定には、「気分の落ち込み」と「興味・喜びの喪失」の2つの主要な症状のうちどちらかが必要である。「気分の落ち込み」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどである。「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態である。またこれは大うつ病エピソードの診断基準Aの片方であり、もう片方は5つ以上の症状の存在である。
抑うつ気分
- 患者は抑うつを訴えたり、周囲から見て抑うつ状態にある[84]。ほとんど1日中、ほとんど毎日である[85]。
- 興味・喜びの喪失
- 最近のほぼ全ての活動において、興味や喜びを喪失している(患者本人や周囲の訴えによる) [84]。ほとんど1日中、ほとんど毎日の著しい減退である[85]。
- 食事や体重の変化
食事制限を行っていないにもかかわらず体重が著しく増減する(月に5%以上程度)、または最近の食欲が著しく増大または減衰している。ほとんど毎日である[85]。
- 睡眠
- 最近の睡眠が著しく過眠、もしくは不眠となる [84]。ほとんど毎日[85]。
- 活動状態
- 周囲から見て、患者の最近の活動状態には不安を感じたり、のろくなったように思われる[84]。ほとんど毎日[85]。
- 疲労感
- 最近、著しく疲労感を感じる[84]。ほとんど毎日[85]。
- 罪悪感
- 最近、患者は根拠のない心配や不適切な罪悪感を感じており、それらは単に抑うつであって、非現実的である[84]。ほとんど毎日[85]。
- 「どうせ自分なんか価値の無い存在だ」と考えるようになるなど、自尊心が低下する。
- 集中力
- 患者本人や周囲の人によれば、最近の日常活動において意思決定がおっくうであり、集中力を欠いている[84]。ほとんど毎日[85]。
- 自殺念慮・希死念慮
— 大うつ病エピソード
- 患者は、希死念慮(死への恐れとは異なる)、自殺(もしくは自殺計画)、自殺未遂を訴えている[84]。
DSM-IVでは大うつ病エピソードの診断基準Eが死別反応ではないことを要求している。
DSM-5においては、死別反応といった強いストレスに伴う抑うつは、治療なく回復する可能性があるため、死別反応に関する注釈が加えられた[86]。DSM-5では「精神障害の定義」において、よくあるストレスや喪失による、愛する人との死別といった、予測可能な反応は精神障害ではないとされ、診断基準の注釈においては、死別や経済破綻、災害や重篤な病気などへの反応は、理解可能な、正常な反応である場合もあることが記述され、また死別による抑うつ症状も1-2年続くことがあるため、以前のDSM-IVによる2か月以上続いていればうつ病の可能性があるという基準をなくした[87]。以前のDSM-IV-TRでは、症状が死別によるものである場合はうつ病から除外しているが、しかしその気分が長期化し大うつ病エピソードに特徴付けられる要素がある場合は、死別を原因として抑うつエピソードに入る可能性があるとされていた[88]。
DSM-IVの特定不能のうつ病性障害の項には、抑うつ性の特徴を伴うものが紹介され、関連する診断に、気分変調症(慢性的だが軽度の気分変調が長く持続する)[89]、抑うつを伴う適応障害(特定可能な出来事やストレッサーによって落ち込みが起きている)があり除外する必要がある[90]。それ以外の場合に特定不能のうつ病性障害が考慮され、大うつ病エピソードが身体疾患や薬物あるいは原因がないのか判別できない場合にこの診断名を用いたり、また共に研究用診断基準案である小うつ病性障害(大うつ病エピソードの症状の幾つかのみが存在する)[91]と反復性短期うつ病性障害(英語: recurrent brief depression)(12か月にわたり毎月起きている2週間までのうつ病性のエピソード)が[92][93]、紹介されている[90]。
鑑別診断
抑うつ状態は、次のような原因によって引き起こされる。
正常な落ち込みは生活上の正常な苦痛や苦悩であり、対して、うつ病ではそれが1日のうちほとんど、ほとんど毎日であり「濃く」、機能の障害を起こし重症である[94]。失業、離婚、他の人生の深刻な問題の後に落ち込みが起きていれば、特に軽症の場合には一時的なストレス反応であるかを検討すべきであり、4週間以上観察してもよい[94]。
DSM-IVでは大うつ病性障害の診断基準Bが他の精神障害ではないことを要求し、診断基準Cが躁病エピソード、軽躁病エピソード、混合エピソードが存在したことがないことを要求している。
- 特定できるストレスが原因となっている適応障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害 (PTSD) など。
パニック障害など、他の障害の症状としてのもの。
統合失調症では、気分が正常な時に妄想が生じている[94]。
双極性障害は後述。
DSM-IVでは大うつ病エピソードの診断基準Dが、物質あるいは、身体疾患による症状ではないことを要求している。物質の例には、薬物乱用、アルコール乱用、投薬による直接的な生理学的作用としての抑うつが挙げられる[95]。
子どもや思春期では、診断を下すには注意を払い、物質の使用やストレス要因を考慮する[94]。高齢者のような発症が遅い場合には、身体疾患や医薬品の副作用が考慮される[21]。
DSM-5の物質・医薬品誘発性抑うつ障害では、アルコール、精神刺激薬、ステロイド、L-ドーパ、抗生物質、化学療法などが抑うつを誘発しうるとし、一部は症例報告などが根拠であり因果関係の判定が困難なものがある。
身体疾患による抑うつとの鑑別
身体疾患は、抑うつ症状を呈すものがある。
- 中枢神経系(認知症、脳血管障害、パーキンソン病、慢性疲労症候群、脳腫瘍など)
- 内分泌系(副腎疾患(アジソン病など)、甲状腺疾患 (橋本病など)、副甲状腺疾患など)
- 炎症性疾患(関節リウマチ、線維筋痛症、全身性エリテマトーデスなど)
- 歯科治療用重金属中毒[注 2]
DSM-5の他の医学的疾患による抑うつ障害では、脳卒中、ハンチントン病、パーキンソン病、外傷性脳傷害では明確な関連があり、解剖学的相関もあるとされ、クッシング病、甲状腺機能低下症、多発性硬化症があげられている。
双極性障害との鑑別
うつ病の診断においては、軽躁とうつを繰り返す双極II型障害を単極性・反復性と誤診するなど、双極性障害と見分けがつきにくいケースが多い。患者側も、睡眠時間が短くてもすんでしまうなど現代の過酷な社会環境にむしろ適応的であり、ばりばりと働けたなどの充実感などのため、軽躁状態を異常と認識せず、主治医に申告しないこともある。
WHOのガイドラインでは、大うつ病性障害など「うつ病として」受診に来た患者を診断する場合、躁病エピソードの既往症(軽躁エピソードは特に)を確認し、双極性障害でないかどうか明確に鑑別しておくことが重要であるとしている[5][95]。これは、大うつ病性障害などの単極性の気分障害と双極性障害は、治療法が根本的に異なるためである[5][95][96]。
また長期経過の中で、うつ状態に加えて躁状態も生じる場合にも、双極性障害の可能性がある。そのため、躁状態に転じることを常に注意し、素早く対応することが必要であるとも指摘されている[97]。
とくに若年者は、双極性障害のうつ病相や統合失調症の好発年齢であり留意が必要である[98]。
うつ病を繰り返し生じる場合には、反復性うつ病と呼ばれており、これも、遺伝研究などによって、躁うつ病と根本的には同一の障害であるとされている。一方、再発のないうつ病は、単一エピソードうつ病と呼ばれ、躁うつ病とは異なった障害であると考えられている。
他の精神障害
パーソナリティ障害や不安障害、不眠症、精神病の合併の有無を確認する[99]。大うつ病障害に対して、約15%に依存性パーソナリティ障害、約10%に境界性パーソナリティ障害、約9%に強迫性パーソナリティ障害が確認されるとの研究報告がある[100]。
診療科・医療機関
米国『メルクマニュアル第18版』によれば、プライマリケアの現場(総合診療科)で抑うつを訴える人々の割合は30%だが、大うつ病を有する人々の割合は10%未満である[101]。また、抑うつは、甲状腺機能亢進症、脳腫瘍等の身体疾患でも見られる症状である[101]。
精神障害の治療は、OECD諸国では主に総合診療医が担っている[102]。ある調査によれば、日欧米の一般の人々には精神科受診に対する抵抗感があるという[103]。日本では、うつ状態になった人々の最初の受診先は内科が約60%で、精神科は10%未満という報告もある[103]。日本精神神経学会は、かかりつけの内科医について、患者をよく知っており、的確に治療していることが多いと述べている[104]。一方、症状によっては精神科への紹介を検討すべきと述べている[104]。
日本では、精神障害を適切に診断・治療する診療科は精神科、精神神経科、心療内科である[105]。なお、神経内科は神経専門の診療科なのでうつ病は扱わない[105]。各自治体の保健所や精神保健福祉センターでは、無料かつ匿名で「心の変調」やメンタルヘルスの相談に応じ、医療機関も紹介してもらえる[105]。意外に思われるかもしれないが、保健所の業務の6割は精神保健に関するものである。
精神障害は早期発見が重要なファクターだが、「心の変調」に自分(または周囲)が気づいた場合でも、どの医療機関を受診すれば良いのか分からず、近所の内科などにかかることも少なくなく、症状を進行させてしまう場合がある。2014年にOECDは日本に対し、日本のプライマリケア制度の整備は発展途上であるため、地域医療を担う医療関係者がすべからく精神保健の技能を身につけるよう勧告している[102]。
治療
英国国立医療技術評価機構 (NICE) の2009年ガイドラインでは以下のような評価と手順を持つ。
NICEは、うつ病サブタイプや患者の個性に基づいて治療を変えることへの根拠は乏しいため、様々な治療戦略を取っ換え引っ換えし続けることのないよう述べている[106]。
継続する軽症から中等症の症状:治療介入なしに回復しそうであるか、介入を拒否する場合には、積極的に観察する[107]。
- 治療介入としては弱い心理的介入であり、認知行動療法に基づくセルフヘルプ、コンピュータによる認知行動療法 (CBT)、構造化されたグループでの運動療法、この中から患者好みのものを選択[108]。危険性が利益を上回るため抗うつ薬は使用してはならないが、セント・ジョーンズ・ワートには利益があるか可能性があるという証拠が存在する[109]。
- 上の初期治療が効果を示さない場合:抗うつ薬、もしくは認知行動療法 (CBT)、対人関係療法(IPT)、行動活性化、行動カップル療法などの強い心理的介入[110]。
中等症から重症の症状:抗うつ薬および、強い心理的介入(CBTもしくはIPT)との併用[111]。
なお患者が不安障害を併発している場合、まずうつ病の治療を第一に行わなければならない[112]。
世界保健機関は、妊娠期および周産期のうつに対して、第一選択は心理療法でなければらず、抗うつ薬は可能な限り避けなけばならないとし、根拠に基づいた心理療法の手引き書The Thinking Healthyを公開している[113]。
援助の方針
NICE (2009) でも示されているように、治療の前提として、治療者は、患者と信頼関係を結び、治療の基本的原則についてしっかりと説明を行い、患者が納得して治療に取り組むことが必要である[114]。患者も、分からないことは質問していくことが必要である(患者教育)。こうした医師と患者のコミュニケーションが治療の成功には不可欠である[114]。治療の基本的原則の説明の例としては、以下のようなものがある。
- うつ病の症状の一つに、将来を悲観してしまうことがある[115]。それは症状であり、軽快するにつれ希望が持てるようになる。
- 以前に興味を持っていた事項については、おっくうであっても、それを放棄せず可能な限り継続すべきである[115]。
- 可能な限り、定期的な運動を継続すべきである[115]。
- 地域活動への参加などについて、通常の範囲で可能な限り続けるべきである[115]。
- 患者には利用可能な自助グループ、支援グループ、行政サービスなどの情報を伝えるべきである[116][114]。
- 辛い自動思考はうつの症状であり、決してその人自身でもなければ事実でもない。治療は、そのような自動思考からの解放をもサポートすることができる[117]。
日本では、#古典的分類節に書いたように、かつての分類である内因性うつ病に対しての、うつ病は治る、薬が効き、励ましてはいけないという説明を一般化した弊害が言われている[19]。これについては宮岡等が『うつ病医療の危機』にて取り上げている。
心理療法
心理療法(精神療法)は、精神福祉の専門家が、個人やグループ・家族に対して行い、作業療法士、理学療法士、精神科医、公認心理師、ソーシャルワーカー、カウンセラー、訓練を受けた精神保健福祉士が実施する[118][119]。
貧困、失業、大切な人との離別などがうつを引き起こすこともあるが、社会的、状況的原因を薬で解決することはできない[120]。この場合、心理療法の認知行動療法 (CBT) や読書療法などが有効である[120]。また、心理療法は薬物療法に比べてうつが再発する可能性が低い[121][122]。
NICEのガイドラインは心理療法の重要性を認めており、6 - 8回の認知行動療法 (CBT)、または他の根拠に基づいた心理療法を推奨している[123]。英国政府は臨床試験で効果が証明された認知行動療法をはじめとする根拠に基づいた心理療法の拡充を開始し成果を上げているとOECDは述べている[124](心理療法アクセス改善)。
1998年、世界精神医学会の「WPA/PTD うつ病性障害教育プログラム[注 3]」は、高齢者への精神療法の適用について、「精神療法のみ」「精神療法と抗うつ薬の併用」の二つを挙げている。「多様な治療法がある」「再発を予防するために、投薬は継続しなければならない。治療の成功は社会心理的支援がかかせない」としている[127][126]。
2009年、プラセボ効果を研究するハル大学のアービング・カーシュ博士は「心理療法のみの場合と、心理療法と抗うつ薬を併用する場合の効果の大きさは同じなのだから、なぜ、わざわざ抗うつ薬を持ち込む必要があるのだろうか[注 4]」と述べている[128]。両方を併用すれば、抗うつ薬だけを服用するより効果があるが、心理療法を単独で行う以上の効果はない[128]。
2012年、DSM-IVのアレン・フランセス編纂委員長は「精神科の軽度、中度の症状には、精神療法が少なくとも薬物療法と同じくらい効果があり、精神療法のほうが持続効果は長く、副作用は少ないのです。非常に多くの人が必要のない薬物療法を受け、回復に大きく役立つであろう精神療法を受けていないというのは、理不尽であり、経済的動機がそうさせているのだと思います」と述べている[122]。
2015年、OECDはうつ病や不安障害については、会話療法(心理療法)は薬物療法と同じぐらい効果があり、また患者にも好まれるとしており[129]、またコストの面からも、うつ病治療の第一選択肢としては書籍ベースまたはコンピュータによるセルフヘルプとするよう提案している[129]。
認知行動療法
認知行動療法 (CBT) とは、外界の認識の仕方で、感情や気分をコントロールしようという治療法。抑うつの背後にある認知のゆがみを自覚させ、合理的で自己擁護的な認知へと導くことを目的とする。考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていく(「ストレス#対処」・「ストレス管理」も参照)[130]。さらに、薬物療法が併用されることで、より治療効果が高まる[131]。
心理療法の中では、CBTには、子供と青年のうつ病に対する有効性の証拠が多く存在する。CBTと対人関係療法 (IPT) は思春期のうつ病に対して勧められる。NICEでは、18歳未満に対して薬物治療を行う場合はCBT、ICT、家族療法などといった心理療法を併用しなければならないとしている[132]。
- NICEは、CBTを実施する場合、16-20セッションの治療を3-4ヶ月かけて行ない、また重症では最初の2-3週間は週2回セッションで検討するとしている[133]。
アメリカ精神医学会のガイドラインでは、認知行動療法など心理療法は患者の初期治療の選択肢として推奨されている[134]。
日本うつ病学会のガイドラインでは、認知行動療法の有効性は中等症以上に証拠があるとしているが、軽症の場合に選択肢に入れている[135]。
認知行動療法は、心理職が国家資格化されている国々では、精神科(精神科医、薬物療法中心)、心理療法科(心理士、心理療法中心)に分かれることがあり、薬物療法と同時並行的に行われるとは限らない[136]。
日本では2010年に診療報酬が点数化され、外来患者について、認知療法・認知行動療法に習熟した医師が一連の治療に関する計画を作成し患者に説明を行った上で、1回あたり30分以上の認知療法・認知行動療法を行った場合について、16回を上限として算定できる[137]。
以上のように、認知行動療法では、認知と行動の両面に働きかけることで、認知の変容(認知の歪みを修正し、合理的で自己擁護的・自己肯定的な認知へと導くことなど)と行動の変容(日常生活の中で楽しみや達成感を感じる活動を増やしていくことを通じて、活動性を取り戻すことなど)を図る[138][139]。
なお、認知的技法には、
- 認知再構成法(否定的なとらえ方と異なる事実や根拠を見出したり、否定的な考え方を反証する事実や根拠を紹介したりした後、新たなとらえ方・肯定的な考え方を治療者が提示したり患者と一緒に模索したりすることにより、新たな考え方を形成すること)
認知の歪みの修正(拡大視・縮小視:自分自身や状況を評価する際に悪い面を大きくとらえて良い面を軽視する、破局視:様々な可能性を考慮せず否定的な未来を予想する、全か無か思考:状況を完璧か最悪かという2つのカテゴリーでとらえる、個人化:否定的な事柄を自分のせいだと思い込む、「べき」思考:厳密な要求を自らに課しそれができないことを責める、など様々な種類の認知の歪みがある[140]。それらを把握した後、患者自身を否定せず、認知そのものを扱い治療者が新たな考え方を提示し、患者が新たな認知を身につけられるようサポートする)- 自己教示法(習得したい考え方や行動を自分自身に言い聞かせること。具体的なイメージとともに言い聞かせることや、実際に考え方や行動に変化が生じたらすぐに報酬や賞賛を与えて、考え方や行動の変化への動機づけをさらに高めることが推奨される)
- ロールプレイ
などがある[130]。
一方、行動的技法には、
行動活性化(日々の生活の中で楽しい活動や達成感を少しでも感じる活動を増やしていくことなどを通じて、行動を活性化させていくことをサポートする技法。このような活動には気分を改善する脳内物質を増やす働きがあるほか、繰り返し生じる否定的な思考に気を取られにくくする効果、気晴らし効果もある[141]。活動記録表を用いて、日々の活動と気分を記録し、活動と気分との関係を把握したり気分がよくなる活動を増やしたりすることもできる[141]。)- 行動実験(行動実験にもさまざまな種類があるが、うつ病の治療に用いられる行動実験は、実際に新たな考え方に基づいて行動しそのメリットを体感することで、新たな行動の定着とその行動への動機づけの向上を図るものである)
- リラクゼーション
- ソーシャルスキルトレーニング
- 運動
などがある[130]。
また、否定的な側面への注目により抑うつ的な自動思考が生じている場合があることから、あまり気づくことのなかった自分自身の良い側面に注意を向けることができるよう患者をサポートする注意変容の技法も有効である[142]。さらに、活動を通じて否定的思考の循環を止めるため、生活の中で楽しめる活動や気分転換を徐々に増やしていけるようサポートすることも重要である[143]。
読書療法
プラセボ効果を研究するアービング・カーシュ博士は、認知行動療法 (CBT) を受けなくても、そのメリットの多くを得ることができる方法として認知行動療法の読書療法を薦めており、臨床試験で良い結果が得られたものの中から2冊を紹介している[144]。『うつのセルフ・コントロール』(熊谷久代訳、創元社、1993年)、『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』(デビッド・D・バーンズ、星和書店、2004年)はいずれも認知行動テクニックに関する本である[144][145]。『いやな気分よ、さようなら』の臨床試験では、短期的には、標準的なCBTを実際に受けた人のほうが改善の度合いが高かったが、3ヶ月後には同等になった[144]。3年間の追跡調査から効果が持続的であることも示唆されている[144][146]。注意点は、読書療法の臨床試験は中程度のうつ病のみを対象として行われたことである[144]。軽症から中等症のうつ病であれば、代替法として妥当だが、重度のうつ病にはどのような効果を発揮するのか分かっていない[144]。
対人関係療法
対人関係療法 (IPT) は、良好な人間関係の形成に向けた介入・良い人間関係を築くためのスキル習得のサポートなどを通じて、人間関係を強化する心理療法である。特にNICEはIPTを実施する場合、IPTを実施する場合は16-20セッションの治療を3-4ヶ月かけて行わなければならない、また重度の場合は最初の2-3週間を週2回セッションで検討するとしている[147]。アメリカ精神医学会の治療ガイドラインでも治療の有効性が確認されている。
環境調整
患者が所属する環境(状況、対人関係)の変更や患者が所属している環境(状況、対人関係)の改善を行うことも有用である[138]。たとえば、ストレスの強い環境から離れたり、良質なソーシャルサポート(人からのサポート)を増やしたりといった、環境調整の工夫も有効である[148]。
問題解決法
ある問題が患者を苦しめ、うつ病の一因となっている場合、その問題を解決し症状の緩和を図るため、患者の問題解決を治療者がサポートする問題解決法が用いられる[149]。問題解決法は、次の5段階から構成され、全ての段階で治療者がサポートを行う[149]。
- 問題の明確化:真の問題・具体的な問題を見つける
- 解決方法の案出:見つけた問題への解決方法を、できるだけ多く提案する
- 解決方法の選択:それぞれの解決方法の長所と短所を列挙し、最も実行しやすく、かつ問題解決につながりやすい解決方法を選択する
- 解決方法の実行:事前に準備をし、選択した解決方法を実行する
- フィードバック:問題を解決できたらその解決方法を続け、解決できなければほかの解決方法を実行する
これらを通じて、直面している問題をひとつでも解決することができれば、うつ病の一因を取り除くとともに患者が無力感から立ち直るきっかけを作ることもできる[149]。
オープンダイアローグ
薬物治療や入院治療を極力避け、対話による回復を目指す治療法。日本への導入が進められている[150]。
薬物療法
NICEのガイドラインでは、抗うつ薬は、軽症から中等症では初期治療が効果を示さない場合において選択肢の一つであり、中等症から重症では、抗うつ薬および心理療法(CBTまたはIPT)の併用を推奨している[注 5]。
2012年の日本うつ病学会のうつ病の治療ガイドラインによれば、軽症うつ病の場合、安易な薬物療法は避けるべきであり、中程症以上のうつ病では薬物療法は軽症に比べてより積極的に行う[151]。希死念慮の強い急性期、重症患者には薬物療法と精神療法、とりわけ薬物療法が重要である。薬物療法では効果がない場合、mECTを検討する[152]。
WHOのうつ病ガイドラインでは、12歳以下では抗うつ薬の投与は禁止であり、また12歳以上の青年では抗うつ薬の投与は第一選択肢としては禁止であり、まず心理療法を行うべきだとしている[95]。NIHは、高齢者の場合、再発防止のため薬物療法の併用が有効であるとしている[153]。
抗うつ薬による治療
抗うつ薬の効果は必ずしも即効的ではなく、効果が明確に現れるには1週間ないし3週間の継続的服用が必要である[154]。NICEは処方に際し、患者と離脱症状(SSRI離脱症候群など)も含めて副作用について話し合わなければならないとしている[154]。
抗うつ薬のうち、従来より用いられてきた三環系抗うつ薬あるいは四環系抗うつ薬は、口渇・便秘・尿閉などの抗コリン作用や眠気などの抗ヒスタミン作用といった副作用が比較的多い。これに対して近年開発された、セロトニン系に選択的に作用する薬剤SSRIや、セロトニンとノルアドレナリンに選択的に作用する薬剤SNRI、NaSSA等は副作用は比較的少ないとされるが、臨床的効果は三環系抗うつ薬より弱いとされる[注 6]。
NICEは薬剤の選択について、他の抗うつ薬より危険性と利益の比率が良好であるため、一般的にSSRIを選ばなければならない (should normally be) としている[154]。さらにNICEは、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンは他のSSRIより薬物相互作用が起きやすく、またパロキセチンは他のSSRIより離脱症状の報告率が高く、三環系抗うつ薬はロフェプラミンを除いて過剰摂取のリスクが高率 (greatest risk) であるとしている[154]。
服薬から4週間後に患者の抑うつ症状が改善されていれば、さらに2-4週間の投与を続ける[154]。効果を示さないとか、副作用が生じる、あるいは患者の申出があれば、他の薬に切り替える[154]。
抗うつ薬の有効性および安全性については議論がある。うつ病は、治療を行わなくても長期的には自然回復することが多く[155][156][157][158]、数ヶ月以内の自然回復率が50%を越えるため、各種治療法の有効性の判断は難しい[156][158]。アメリカ国立精神衛生研究所 (NIMH) の専門家たちは、抗うつ薬が回復までの時間短縮に役立つ可能性はあっても、長期回復率の上昇には役立たないと考えている[155][156][158]。SSRIはプラセボ程度の効果しかないとの見解もある[159]。
- NICEの2009年のガイドラインは、軽症以下の抑うつでは、危険性/利益の比率が悪いため抗うつ薬を継続的に使用してはいけないとしている[注 7]。初期治療が効果を示さない場合、軽症から中等症では選択肢の一つであり[123]、重症では心理療法と組み合わせて使用するとされる[154]。
- 日本うつ病学会のガイドラインによれば、中等症・重症うつ病に対しては、1種類の抗うつ薬の使用を基本とし、十分な量の抗うつ薬を十分な期間に渡って投与すべきである[160]、また寛解維持期には十分な継続・維持療法を行い、抗うつ薬の投与の終結を急ぐべきではないとしている[160]。一方で軽症うつ病に対しては、薬物療法もしくは体系化された精神療法を、単独もしくは組み合わせて用いることを推奨しており、軽症うつ病への薬物療法の是非は議論が分かれるとしている[161]。
抗うつ薬の投与は、抑うつ症状が見られなくなってから9-12ヶ月経過し、かつ日常生活を行うことができる状態であれば、投与中断を検討する[162]。減薬に際しては離脱症状が起こりえるため、4週間以上の時間をかけて行う[162]。重度の離脱症状の場合は投与を再開し、さらに時間をかけて減薬する[162]。
その他の薬物療法
抗うつ薬の治療反応に乏しい場合、別の種類の抗うつ薬への変薬や追加(併用)のほか、炭酸リチウム、甲状腺ホルモン、抗てんかん薬、非定型抗精神病薬の追加(増強療法)、(米国などでは)アンフェタミン、メチルフェニデートなどが試みられる。
米国や日本ではアリピプラゾールも既存治療で十分な効果が認められない場合に限って認可されている[163]。抗うつ薬の多剤投与、抗不安薬の多剤投与を合理性なく行ってはならない[164]。
不安障害を併発している場合などは抗不安薬を、不眠が強い場合は睡眠薬を併用することも多い[38]。抗不安薬・睡眠薬としてベンゾジアゼピン系がしばしば用いられるが、これらはベンゾジアゼピン依存症・ベンゾジアゼピン離脱症候群をまねき、うつ病を悪化させる[38]。
- 各国政府はベンゾジアゼピンの処方を最大でも数週間に限るよう勧告している。
- NICEでは、ベンゾジアゼピン系の使用は、慢性的な不安症状がある場合を除き、依存の形成を防止するために2週間以上の投与はすべきではないとしている[165]。
- うつ病の予防・治療日本委員会 (JCPTD) によると、薬物治療急性期には抗うつ効果発現までのベンゾジアゼピン系薬物処方は有用であるが、依存性のため長期投与は推奨していない[166]。
日本うつ病学会ガイドラインでは、中等症・重症のエピソード急性期において、ベンゾジアゼピン単剤、スルピリド単剤、非定型抗精神病薬単剤による治療は推奨していない[164]。
中枢神経刺激薬、バルビツール酸系の使用は推奨されない[164][167]。
薬物療法と自殺
抗うつ薬による治療開始直後には、年齢に関わりなく自殺企図の危険が増加する危険性があるとアメリカ食品医薬品局 (FDA) から警告が発せられ[168]、日本でもすべてのSSRIおよびSNRIの抗うつ薬の添付文書に自殺企図のリスク増加に関する注意書きが追加された[169]。
FDAは、子供・青年・18-24歳の若年者に対しては、SSRI治療は自殺念慮と自殺企図について高いリスクが存在すると報告している[170][171][172][173][174]。
成人についてはSSRIと自殺リスクの関係は明確ではない[174]。あるレビューでは関係性が認められておらず[175]、別のレビューではリスクが増加すると報告され[176]、第三のレビューでは25-65歳ではリスクはなく65歳以上では低リスクと報告している[177]。
疾病データ上では、新しいSSRI時代の抗うつ薬の普及により伝統的に自殺リスクの高い国で自殺率の大幅な低下をもたらしていると分かった[178]が、因果関係は確定されていない[179]。
米国では2007年に、SSRIとその他の抗うつ薬について24歳以下の若年者では自殺リスクを増加させる可能性があるという黒枠警告がなされた[180]。同様の警告は日本の厚生労働省からもされている[169]。米国ではFDAの警告以降に若年者の自殺死者数が増加している。FDA警告の結果、若年者の抗うつ薬治療が少なくなり、結果として自殺者が増えたとすれば問題である[181]。
- APAガイドラインでは、抗うつ薬は自殺リスクを減らすエビデンスは小さい、しかしうつ症状の軽減に必要だとしている[注 8]。
- NICEガイドラインによると、2005年4月にヨーロッパ医薬品評価委員会はSSRIとSNRIについて、子供と青年には処方すべきではない(承認適応症を除くがこれは通常の抑うつは含まない)としている[182]。
- 英国『モーズレイ処方ガイドライン第10版[注 9]』(2009年)では、うつ病の治療が希死念慮および自殺企図を防ぐ最も効果的な方法であり、ほとんどの場合、抗うつ薬による治療が最も効果的な方法であるとしている[152]。
運動療法
貧困、失業、大切な人との離別などが抑うつを引き起こすこともあるが、社会的、状況的原因を薬で解決することはできない[120]。この場合、運動などが有効である[120]。また、運動療法は薬物療法に比べてうつが再発する可能性が低い[184][185]。
WHOのガイドラインにおいては、提供可能な場合の補助療法として提案されている[95]。NICEのガイドラインでは、軽症から中等度のうつ病に対してはCBTと並んで、運動療法 (a structured group physical activity programme) を選択肢の一つとして推奨している[108]。患者が運動療法を選択した場合は、訓練を受けたコーチの下でグループ単位で行わなければならない、また1回あたり45分-1時間、週3回を10-14週間程度としなければならないとしている[186]。
2004年、英国国立医療技術評価機構 (NICE) は「抗うつ薬はリスク便益比の観点から、軽症のうつの初期治療には推奨できない[注 10]」としている。寧ろ、医師は薬物以外の代替法を試し、「軽症のうつ病患者には年齢を問わず、構造化された指導付き運動プログラムのメリット[注 11]」を推奨すべきだとしている[187]。
2007年のNICEのガイドラインでは、フィジカルトレーニングは軽症のうつ病治療に推奨された[188]。
2009年、イギリスの総合診療医 (GP) の20%以上(2004年の4倍)が抑うつ症状の患者にしばしば運動療法を「処方」している。短期的には、6週間以内に著しい改善があり、効果は大きく、抑うつ症状のある患者の70%が運動プログラムに反応したという研究報告がある。長期的にも多くの副効果(心臓血管機能・認知機能・性的機能・筋力・社会性の向上、高血圧・睡眠の改善)がある[189]。
2012年、日本うつ病学会のガイドラインは「本来軽症に限った治療法ではない」と断った上で、軽症のうつ病への適用について、「運動を行うことが可能な患者の場合、うつ病の運動療法に精通した担当者のもとで、実施マニュアルに基づいた運動療法が用いられることがある。一方で運動の効果については否定的な報告もあり、まだ確立された治療法とは言えない」と述べている[151]。
2013年、コクラン・ライブラリのシステマティック・レビューによれば、運動の効果は心理療法や薬物療法と同程度である[190]。
2012年のランダム化比較試験は、運動はうつ病の症状を改善させない、通常の治療と比較して抗うつ薬の使用を減少させない、身体活動を増加させることはうつ病からの回復の機会を増加させないとしている。多くの研究は身体活動のプラス効果を報告しているが、現在の証拠のほとんどは、医療現場で非実用的な介入をした、小さな非臨床サンプルに由来する[191]。多くの証拠を精査したガイドラインやシステマティックレビューではないことに注意が必要である。
その他の治療法
その他、限定的に行われる特殊な治療法や、実験的段階にあるものとして以下のようなものが挙げられる。
電気けいれん療法 (ECT)- 頭皮の上から電流を通電し、人工的にけいれんを起こすことで治療を行う。薬物療法が無効な場合や自殺の危険が切迫している場合などに行う。最近は全身麻酔を使用した苦痛のない方法がとられることがほとんどである(そのため入院も可能な大病院でしかできない)[192]。安全管理も慎重に行われるようになった[193]。前述の場合に有効性が高い治療法であると考える臨床家も多く[193]、保険診療でも認められている。
- NICEのガイドラインでは、重症のうつ病のみに用いられるべき (should only be used)、標準的なうつ病に対しては繰り返しECTを行ってはならないが複数の薬物治療と心理療法に効果を示さない場合は検討できる、予防目的のECTを行ってはならないとしている[194][195]。
経頭蓋磁気刺激法 (TMS)- 頭の外側から磁気パルスを当て、脳内に局所的な電流を生じさせることで脳機能の活性化を図るもの。日本では[196]保険は未承認。6週間治療での寛解率は27%程度、続く24週間治療での寛解率は50-60%程度。副作用としては、刺激部位の痛みや不快感、頭痛など[196]。
- 断眠療法
- うつ病患者が夜間眠らないことでうつ症状が急速に改善するという治療法である。薬物治療への効果が乏しく、うつ状態が長く続いているような場合に施行される。
- 効果が持続しにくく、その場合、薬物療法や光療法を併用する[197]。
- 光療法
- 強い光(太陽光あるいは人工光)を浴びる治療法。過食や過眠のあることが多い、冬型の「季節性うつ病」(高緯度地方に多い冬季にうつになるタイプ)に効果が認められている。最新ではない2002年のガイドラインでは、冬季うつ病の第一義的な治療法は光療法とされ、抗うつ薬よりも有効性が高いことが確認されている[198][199]。
- また、光療法が非季節性のうつ病の治療に有効であることが実証され[197]、光療法がうつ病に効果があるかどうかは古くから検討されてきたものの、有効、無効の両方の報告があり、有効であることの決定的な証拠はなかったが、2004年と2005年のメタアナリシスによりその有効性が報告されていると、論文にて報告されている[197]。(ガイドラインではない)
- 2012年の日本うつ病学会によるガイドラインは、季節性うつ病の場合は双極性障害の可能性を念頭に置かねばならないとしている[151]。
- ハーブの利用
ハーブとして利用されているセント・ジョーンズ・ワートは、ドイツをはじめいくつかの国では軽症のうつに対して従来の抗うつ薬より広く処方されている[200]。日本ではサプリメントとして市販されている。副作用があり、日本での治療エビデンスは希薄である[151]。臨床研究の結果は成否さまざまで、軽症から中等症のうつに対して有効でかつ従来の抗うつ薬よりも副作用が少ないとする研究がある一方で、プラセボ以上の効果は見られないとする研究もある。コクランレビューによる2008年の報告[201]によると、これまでのエビデンスからプラセボ群より優れた効果を示し、標準的な抗うつ薬と同等に効果があるが副作用は小さいことが示唆されるという。ただし重度の抑うつには効果が弱いとされるほか、同時に服用した他の薬の効果に干渉することがあるため注意が必要とされる[202]。- セント・ジョーンズ・ワートにおいてもセロトニン症候群の可能性があるので、注意が必要である[203]。
日本におけるうつ病治療の現状
2012年の日本うつ病学会のガイドラインには、薬を飲んで休んでいればいいというような説明では、患者側の積極的な治療への参加が放棄されることもあり、生活上の工夫やリハビリについての説明も必要であるとされる[204]。
心因が強く影響していると考えられるうつ病の場合、環境のストレスが大きい場合は調整可能かどうかを検討し、対応する[205]。
厚生労働省老人保健課の『介護予防マニュアル』の「うつ予防・支援マニュアル」には、「休んで、薬をうまく利用する」ことである[206]。
2010年の日本うつ病学会の提言では「薬物療法などの生物学的治療法と、精神療法などの心理学的治療法は車の両輪であり、両者がそろって初めて最適な治療となることは論を俟たない」と述べられている[14]。
上記提言によると、日本で心理療法が十分に行われていない理由としては、
認知行動療法ができる心理専門職の不足- 患者数の著しい増加により、一人の患者に十分な時間がかけにくい
- 薬物療法が進歩した結果、患者・医師双方にとって複雑、時に難解で時間のかかる精神療法を行わなくても、薬の服用のみで十分という風潮が生じている
- 薬物療法に比べて、精神療法の有効性についてのデータが相対的に少なく、積極的な精神療法への動機付けが乏しい
などが挙げられ、その対策として、人材不足の解消、心理職の国家資格化、保険診療化などを提唱している[14]。
2014年のOECDによる日本の医療の質についてのレビューでは、日本は「専門家及び地域社会双方による精神保健医療福祉サービスにおいて、不適切な薬剤使用(行き過ぎた多剤投与)を削減し、診療報酬を通じて代替的治療法が適切に評価されるようにするために、一層の努力が必要である」と勧告されている[129]。そのためOECDは日本に対し、軽中程度の患者に対しては心理療法(認知行動療法など)を中心とした治療を提供できるよう、根拠に基づいた治療プログラムの整備を進めるよう勧告し[129]、その参考例としてイギリスの心理療法アクセス改善 (IAPT) プログラムを挙げている[129]。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、リワーク支援(職業リハビリテーション)を実施している。ストレスへの対処法(認知行動療法の一部)、リハビリ出勤、会社との調整など実施している[207]。
予後
回復率
大うつ病は、治療の有無に関わらず時間が解決することが多い。うつの外来患者リストの10 - 15パーセントは数ヶ月以内に減少し、約20パーセントはもはやうつ病基準を完全には満たさない[208]。エピソードの中央値は23週と推定されており、最初の3ヶ月間で回復する率が最も高い[209]。
日本での研究では、6か月程度の治療で回復する症例が、50パーセント程度であるとされ[210]、多くの症例が、比較的短い治療期間で回復する。しかし、一方では20パーセント程度の症例では、1年以上うつ状態が続くとも言われ、必ずしもすべての症例で、簡単に治療が成功するわけではない。また、一旦回復した後にも、再発しない症例がある一方、うつ病を繰り返す症例もある。
非投薬時の予後は良い[211]。抗うつ薬は長期的な予後を悪化(再発率増大、慢性化)させるが、薬物療法を前提とし、投薬時の予後をうつ病の予後として説明することがある[211]。
再発率
研究では、初めて大うつ病を経験した人の80%が一生で1回以上の再発を経験し[212]、その平均は4回であった[213]。他の一般的な調査では、約半数が治療を行ったかどうかに関わらず回復しているが、残りの半数は最低1回は再発し、およそ15%は慢性的な再発を繰り返す[214]。
再発率は、うつを繰り返すたびに高くなる傾向にあり、初発の場合の次回再発率は50パーセント、2回目の場合75パーセント、3回目の場合は90パーセントにものぼる[166]。
疫学・統計
WHOは2004年、単極性うつ病は世界の障害調整生命年(DALY)の第3位(4.3%)を占め、これはさらに2030年にはDALYの第1位(6.2%)に成長すると推測している[6]
12カ月有病率(過去12カ月に経験した者の割合)は、世界では1 - 8%、オーストラリアでは4.1%(男性3.1%、女性5.1%、2007年)[216]、日本では1 - 2%(厚生労働省)[205]、3.1%(水野らによる)[217]とされている。
また生涯有病率は、世界では3-16%(川上による)[205]、日本では6.7%(川上[218][219])とされている。
これらの研究結果から、ある時点ではだいたい50人から35人に1人、生涯の間には15人から7人に1人がうつ病にかかると考えられている。
うつ病による経済損失は、米国では5兆円(生産性低下53%、医療費28%、自殺17%)[14]、日本では110億米ドル(うち69.1億米ドルは職場でのコスト)[102]とされている。
健常者との差異
日本の高齢者を対象とした調査ではうつ状態の患者は健常者とは身体的特徴や栄養摂取などに違いが見られる[220]。
性差
男性より女性のほうが2倍ほどうつ病になりやすいとされている[221]。
閉経や子どもの自立による喪失体験、PMSによるストレス、男性より寿命が長いことによる配偶者との死別などによる部分も少なくはないと思われ、社会生活によるストレスが多い男性にも普通に見られる。
女性の発症率の高さについては、妊娠・出産期・閉経期・月経前(PMS、PMDD、セロトニンの減少)の女性ホルモン、セロトニンの激減がマタニティブルーや産後うつに関与している可能性がある。産後うつは乳児の育児時の睡眠不足もある[222]。日本ではうつ病が増加傾向にあるが、女性の高齢化による自然増もある[14]。
患者数とその推移
日本の患者数の少なさについては、受診率の低さが原因としてあげられる。[166][223]
日本の患者数の年度ごとの増加傾向[14]には、高齢化やうつ病についての啓発活動による受診率の増加が原因としてあげられる[224]。
うつ病の患者数が20世紀になって増加していることについて、SSRIの導入後6年間で2倍に増えるという経験則があり、製薬会社のキャンペーンが影響している、とした説もある[225]。「副作用の少ない」抗うつ薬の普及に伴い、うつ病と診断される患者数が増加している側面がある[14]。
子どものうつ病
子どもでもうつになる場合があり、日本の子どもの大うつ病の時点有病率は児童期で0.1-2.6%、青年期で0.7-4.7%とされている[226]。カナダの12-19歳人口においては、おおよそ男性で5%、女性で12%が大うつ病エピソードを経験し、その経済的コストは3.2億加ドルとされている[227]。
自殺企図者とうつ病の統計
WHOの自殺予防マニュアルによれば、自殺既遂者の90%が精神障害を持ち、また60%がその際に抑うつ状態であったと推定している[228]。日本においては、重大な自殺を図った者の75%に精神障害があり、その46%はうつ病である[14]。
喫煙との関連
製薬会社のファイザーが2009年6月に10年以上の喫煙歴がある40 - 90歳の男女計600人を対象にインターネットで行った調査によると、ニコチン依存症の人の16.8パーセントにはうつ病やうつ状態の疑いがあり、ニコチン依存症でない人でのその割合は6.3パーセントのため、ニコチン依存症の人ほど、うつ病・うつ状態の可能性が高いと報告している[229]。また、典型的な抗うつ薬であるイミプラミンについて、喫煙者は効果が半減するとの指摘がなされている[230]。
ただし、喫煙者であって重症のうつ病の間の禁煙は医師との相談が必要である[231][232][233]。ニコチン離脱時にうつ病が再燃しやすいのである[231]。
うつ病によりリスクの高まる身体疾患
- 2型糖尿病[218]
- 糖尿病患者の死亡率[218]
- 動脈硬化[218]
- 冠動脈虚血性疾患[218]
- 心筋梗塞発症後1年間の心血管死,心筋梗塞再発など[218]
- 脳梗塞[218]
- 乳がん患者のがん死亡率[218]
診断検査の研究事例
研究レベルでは、うつ病等の精神障害を客観的に診断できる指標を探索するために、健常者および患者の血液を用いて、プロテオミクスあるいはメタボロミクスが積極的に行なわれると考えられる。社会的に普及するかどうかは医療保険適応か先進医療か等の費用の程度が大きな問題である。100%やそれに近い精度では診断できないため、慎重な運用が求められる[234]。
光トポグラフィー検査
光トポグラフィー検査 (NIRS) によって、抑うつ症状の鑑別診断の補助に用いる[235]。近赤外光によって、大脳皮質の血液量変化を推定することによって、約7 - 8割の精度で、その抑うつ症状が、うつ病のものか、双極性障害あるいは統合失調症のものかを判別するため、鑑別診断の補助検査として用いることができる[235]。2014年4月には、診療報酬として「抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するもの」が適用された。
MRI
国立精神・神経医療研究センター神経研究所は、核磁気共鳴画像法 (MRI) によって、50人の女性のうつ病と統合失調症患者とを約8割の精度で鑑別したことを報告した[236]。
血液検査
2011年には、山形県のヒューマン・メタボローム・テクノロジーズおよび東京の国立精神・神経医療研究センターが血液中のエタノールアミンリン酸 (EAP) で大うつ病を診断できると発表した。同年、広島大学などの研究グループは、血液中のBDNF遺伝子のメチル化を調べることで大うつ病を診断できる可能性があると発表[237]したが、臨床応用できる段階ではない。
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズが、うつ病の診断に役立つ生物学的指標を発見したことが報道され、それはエタノールアミンリン酸 (EAP) の含有量を調べる検査であり、2013年に特許を取得しており、2019年には保険適用で検査が行えるようにしたいとしている[238]。血液中のエタノールアミンリン酸 (EAP) の含有量を調べることで、うつ病を捕捉する感度は80%以上であり、うつ病ではない人がうつ病と診断されない特異度は95%を超えると報道された[239]。同社のホームページでは、その2013年時点の特許について、うつ病との鑑別が難しい適応障害や不安障害との判別にも利用できると、記載されている[240]。
脳画像
アメリカの医学博士のダニエル・エイメンによれば、脳画像の単一光子放射断層撮影 (SPECT) により、7タイプに分類でき、それぞれのタイプによる治療法、投薬すべき薬、緩和に効果のあるサプリメントが異なるとしており、精神障害は脳の疾患であり、脳画像を用いて診断を行うことでより正確な治療が行える[241]。
新型うつ病(現代型うつ病)
新型うつ病、あるいは、現代型うつ病とは、従前からの典型的なうつ病とは異なる特徴を持つものの総称であり、正式な用語でもないが意味が独り歩きし、専門家の間でも一致した見解が得られていない[242][243]。従来のメランコリー親和型の性格標識を持たない患者を指すことが多い[244]。
日本うつ病学会は、新型うつ病は専門用語ではないとし、現代型うつ病、ディスチミア親和型などの他に提唱されている名称に言及している[244]。また非定型うつ病は正式な医学用語であるが、医学用語としての本来の意味と離れて、日本のマスメディアなどによってここでいう新型うつ病と同義に用いられている[244]。
こうして様々に類型される、考察や仮説の段階にある若年者の軽症の抑うつ状態に対する研究から、マスメディアが一側面だけを切り取り、新型あるいは現代型うつ病などと呼ばれているが、医学的に明確な根拠なく広まりを見せ混乱が生じている[245]。そのため日本うつ病学会による診療ガイドラインにおいても、深い考察も治療の証拠もないためとりあげないとしている[246]。
脚注
注釈
^ 寝室が明るいと睡眠の質が下がり、うつのリスクが高まる[52]。
^ 「Solving the Puzzle of Mystert Syndromes」によると、181人のうつ病患者(含自殺願望の患者)の口中から水銀アマルガムの詰め物を取り除いた結果、全員が完治または改善を報告している。
^ 原題: “WPA/PTD Educational Program on Depressive Disorders” [125][126]
^ 原文: “the effect of psychotherapy alone is as great as the combined effect of psychotherapy and antidepressants, why bother with the drugs?” [128]
^ ”Step 3: persistent subthreshold depressive symptoms or mild to moderate depression with inadequate response to initial interventions, and moderate and severe depression - For people with moderate or severe depression, provide a combination of antidepressant medication and a high-intensity psychological intervention (CBT or IPT).” (英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.5.1.2)
^ なお、非定型うつ病については、欧米ではモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害剤)が第一選択として活用されているが、その激しい副作用と厳しい食事制限のため、2012年現在日本で認可されているものはない。NICEはMAOIの処方は精神医療専門家のみが行われなければならないしている。
^ ”Do not use antidepressants routinely to treat persistent subthreshold depressive symptoms or mild depression because the risk–benefit ratio is poor,”(英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.4.4)
^ "Surprisingly, there is limited evidence that antidepressants reduce suicide risk. Because depression is one of the most significant risk factors for suicide, however, antidepressants may be essential in the treatment of suicidal patients for depressive-symptom reduction." (アメリカ精神医学会 2004, pp. 378-379)
^ David Taylor(チーフ薬剤師、精神薬理学教授)、Carol Paton(チーフ薬剤師、名誉研究員)、Shitij Kapur(精神医学研究所学部長・教授)らによって著された向精神薬の処方マニュアルである[183]。
^ 原文: “antidepressants are not recommended for the initial treatment of mild depression, because the risk-benefits ratio is poor.” [187]
^ 原文: “patients of all ages with mild depression of the benefits of following a structured and supervised exercise programme.” [187]
出典
^ The global burden of disease: 2004 update (Report). 世界保健機関. Part.4 Table 12: Leading causes of burden of disease (DALYs), all ages, 2004. ISBN 9241563710. http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/2004_report_update/en/.- ^ ab世界保健機関 2010, p. 8.
- ^ abcdアメリカ精神医学会 2014, pp. 160-161.
- ^ abアレン・フランセス 2014, pp. 53-54.
- ^ abcdefg Factsheet - Depression (Report). WHO. (2015-08). http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs369/en/.
- ^ ab The global burden of disease: 2004 update (Report). 世界保健機関. p. 43,51. ISBN 9241563710. http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/2004_report_update/en/.
^ Kohn R, Saxena S, Levav I, Saraceno B (2004). “The treatment gap in mental health care”. Bull. World Health Organ. (世界保健機関) 82 (11): 858–66. PMC 2623050. PMID 15640922. http://www.who.int/bulletin/volumes/82/11/khon1104abstract/en/.
^ 日本うつ病学会 2012, p. 4.
^ 村上靖彦、永田俊彦、市橋秀夫、中安信夫 (2005) p.148- ^ ab大野豊「【特集 うつを治す】うつ病の定義」、『Pharma Medica』第15巻第10号、1997年、 129-136頁。
^ 村上靖彦、永田俊彦、市橋秀夫、中安信夫 (2005) pp.137-151- ^ abcdefg黒木俊秀、(編集)神庭重信、黒木俊英 「抗うつ薬時代の憂うつ」『現代うつ病の臨床』 創元社、2009年、187-211頁。ISBN 978-4-422-11423-1。
- ^ abc春日武彦 『病んだ家族、散乱した室内 : 援助者にとっての不全感と困惑について』 医学書院、2001年9月、113-119頁。ISBN 978-4-260-33154-8。
- ^ abcdefgh日本生物学的精神医学会、日本うつ病学会、日本心身医学会 2010.
^ Kessler RC, Nelson C, McGonagle KA (1996). “Comorbidity of DSM-III-R major depressive disorder in the general population: results from the US National Comorbidity Survey”. British Journal of Psychiatry 168 (suppl 30): 17–30. PMID 8864145.
^ “睡眠障害の個別解説”. 2016年4月4日閲覧。
^ “睡眠キャンペーンの良いところはどこですか?”. 2016年4月4日閲覧。
^ “健康づくりのための睡眠指針 2014”. 2016年4月19日閲覧。- ^ abcd西園昌久; (編集)神庭重信、黒木俊英、「うつ病の多様性と力動的理解」 『現代うつ病の臨床』 創元社、2009年、12-28頁。ISBN 978-4-422-11423-1。
- ^ abcdefgh堀有伸、野村総一郎・編集 「うつ病性障害」『抑うつの鑑別を究める』 医学書院〈精神科臨床エキスパート〉、2014年、68-77頁。ISBN 978-4-260-01970-5。
- ^ abアレン・フランセス 2014, p. 52.
- ^ abParker G, Fink M, Shorter E, Taylor MA, Akiskal H,Berrios G, Bolwig T, Brown WA, Carroll B, Healy D, Klein DF., Koukopoulos A, Michels R, Paris J, Rubin RT, Spitzer R, Swartz C (2010). “Issues for DSM-5: Whither Melancholia? The Case for its Classification as a Distinct Mood Disorder.”. American J Psychiatry 167 (7): 745-747. doi:10.1176/appi.ajp.2010.09101525. PMC 3733615. PMID 21131414. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3733615/.
^ 松浪克文、(編集)神庭重信、黒木俊英 「現代のうつ病論」『現代うつ病の臨床』 創元社、2009年、75-97頁。ISBN 978-4-422-11423-1。- ^ abc宮岡等 『うつ病医療の危機』 日本評論社、2014年、5、13、32。ISBN 978-4-535-98411-0。
- ^ abc The ICD-10 classification of mental and behavioral disorders. Clinical description and diagnostic guideline. Geneva, 世界保健機関, (1992), http://www.who.int/classifications/apps/icd/icd10online/?gf30.htm+f33 2008年11月8日閲覧。
^ うつ病の脳科学的研究 山脇成人 第129回日本医学会シンポジウム
^ Lacasse, Jeffrey R.; Leo, Jonathan (2006). “Questionable Advertising of Psychotropic Medications and Disease Mongering”. PLoS Medicine 3 (7): e321. doi:10.1371/journal.pmed.0030321. PMC 1518694. PMID 16848626. http://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.0030321.- ^ ab山脇成人 (2005-06-16). “うつ病の脳科学的研究:最近の話題”. In 日本医学会シンポジウム. p. 8-9. http://jams.med.or.jp/symposium/129.html 2006年10月12日閲覧。
^ 学習・記憶、情動に関わるエピジェネティック制御機構[リンク切れ]- ^ abc松尾信一郎、(編集)神庭重信、黒木俊英 「ディスチミア親和型うつ病を通してみる現代うつ病医療」『現代うつ病の臨床』 創元社、2009年、123-154頁。ISBN 978-4-422-11423-1。
- ^ ab樽味伸「現代社会が生む “ディスチミア親和型”」、『臨床精神医学』第34巻第5号、2005年5月、 687-694頁。
- ^ ab樽味伸、神庭重信「うつ病の社会文化的試論 —特に「ディスチミア親和型うつ病」について—」、『日本社会精神医学会雑誌』第13巻第3号、2005年2月、 129-136頁、 NAID 50000142189。 p.134
^ Fergusson DM, Boden JM, Horwood LJ (2009). “Tests of causal links between alcohol abuse or dependence and major depression”. Arch. Gen. Psychiatry 66 (3): 260-6. doi:10.1001/archgenpsychiatry.2008.543. PMID 19255375.
^ Falk DE, Yi HY, Hilton ME (2008). “Age of onset and temporal sequencing of lifetime DSM-IV alcohol use disorders relative to comorbid mood and anxiety disorders”. Drug Alcohol Depend 94 (1-3): 234-45. doi:10.1016/j.drugalcdep.2007.11.022. PMC 2386955. PMID 18215474. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2386955/.
^ Schuckit MA, Smith TL, Danko GP (2007). “A comparison of factors associated with substance-induced versus independent depressions”. J Stud Alcohol Drugs 68 (6): 805-12. PMID 17960298.
^ アルコール・薬物乱用と自殺に対する共同宣言案骨子 (Report). 日本アルコール・薬物医学会、日本アルコール精神医学会、日本アルコール関連問題学会. https://jssc.ncnp.go.jp/archive/old_csp/120423teigen/2_2.pdf.
^ アルコールと依存 厚生労働省- ^ abcdデビッド・D・バーンズ 2004, pp. 310-314.
- ^ abProfessor Heather Ashton (2002), Benzodiazepines: How They Work and How to Withdraw, http://www.benzo.org.uk/manual/bzcha03.htm
^ Berber MJ (1999). “Pharmacological treatment of depression. Consulting with Dr Oscar” (PDF). Can Fam Physician 45: 2663–8. PMC 2328680. PMID 10587774. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2328680/.
^ Riss, J.; Cloyd, J.; Gates, J.; Collins, S. (2008). “Benzodiazepines in epilepsy: pharmacology and pharmacokinetics”. Acta Neurol Scand 118 (2): 69-86. doi:10.1111/j.1600-0404.2008.01004.x. PMID 18384456.
^ Semple, David; Roger Smyth, Jonathan Burns, Rajan Darjee, Andrew McIntosh (2007) [2005]. “13”. Oxford Handbook of Psychiatry. United Kingdom: Oxford University Press. p. 540. ISBN 0-19-852783-7.
^ Collier, Judith; Longmore, Murray (2003). “4”. In Scally, Peter. Oxford Handbook of Clinical Specialties (6 ed.). Oxford University Press. p. 366. ISBN 978-0-19-852518-9.
^ Ashton CH (1995). “Protracted Withdrawal From Benzodiazepines: The Post-Withdrawal Syndrome”. Psychiatric Annals (benzo.org.uk) 25 (3): 174-179. http://www.benzo.org.uk/pha-1.htm.
^ Professor Heather Ashton (2004), Protracted Withdrawal Symptoms From Benzodiazepines, Comprehensive Handbook of Drug & Alcohol Addiction, http://www.benzo.org.uk/pws04.htm
^ 中川敦夫. 初診のうつ病患者における投与薬剤の実態調査研究(平成 22 年度 厚生労働科学研究費補助金 特別研究事業 ) (Report). 独立法人国立精神・神経医療研究センター. http://www.ncnp.go.jp/tmc/pdf/22_report05.pdf.
^ Marshall BD, Werb D (June 2010). “Health outcomes associated with methamphetamine use among young people: a systematic review”. Addiction 105 (6): 991–1002. doi:10.1111/j.1360-0443.2010.02932.x. PMID 20659059.
^ Muñoz RF, Beardslee WR, Leykin Y (May–June 2012). “Major depression can be prevented”. The American Psychologist 67 (4): 285–95. doi:10.1037/a0027666. PMID 22583342.
^ Cuijpers, P (2012-09-20). “Prevention and early treatment of mental ill-health”. PSYCHOLOGY FOR HEALTH: Contributions to Policy Making, Brussels. http://congres.efpa.eu/downloads/Pim-Cuijpers_Prevention-and-early-treatment-of-mental-ill-health-EFPASep%202012.pdf
^ Cuijpers P, van Straten A, Smit F, Mihalopoulos C, Beekman A (2008). “Preventing the onset of depressive disorders: a meta-analytic review of psychological interventions”. Am J Psychiatry 165 (10): 1272–80. doi:10.1176/appi.ajp.2008.07091422. PMID 18765483.
^ Griffiths, K.M.; Farrer, L.; Christensen, H. (2010). “The efficacy of internet interventions for depression and anxiety disorders: a review of randomised controlled trials”. Medical Journal of Australia 192 (11): 4–11. https://www.mja.com.au/system/files/issues/192_11_070610/gri10844_fm.pdf 2014年11月12日閲覧。.- ^ ab“明るい寝室、眠りの質低下でうつのリスク”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2017年8月21日). http://www.asahi.com/articles/ASK8P52PRK8PUBQU00K.html 2017年8月22日閲覧。
^ Werner-Seidler, A., Perry, Y., Calear, A. L., Newby, J. M., Christensen, H. (2017). School-based depression and anxiety prevention programs for young people: A systematic review and meta-analysis. Clinical Psychology Review, 51, 30-47.
^ 及川恵、西川正行、坂本真士 (2014). 大規模授業を活用した抑うつ予防のための心理教育プログラムの開発-女子大学生を対象とした実践-. 東京学芸大学紀要, 65, 153-160.
^ 伊藤拓、及川恵、西河正行 (2013). 英国,米国の学生相談機関による集団形式のプログラムの展望-日本における精神的不適応予防のための集団形式のプログラム実施のポイントの検討- 明治学院大学心理学紀要, 23, 123-136, hdl:10723/1742
^ 白石智子、松下健、田中乙菜 ほか (2013). 大学生を対象とした集団認知行動療法による抑うつ対処・予防プログラム-効果につながる要因の予備的検討-. 宇都宮大学教育学部紀要, 2013年, 63, 13-19, NAID 110009560256
^ 上田敏子、窪田辰政、大石哲夫 ほか (2014). 大学生を対象とした抑うつ予防プログラム -文献レビュー-. 静岡産業大学情報学部研究紀要, 16, 1-8.
^ 堀口美智子 (2008). 子供の不安症、抑うつの予防介入プログラム : "FRIENDS"導入の可能性の検討. 格差センシティブな人間発達科学の創成, 3, 47-55.
^ 曽賀愛未、境泉洋、戸ヶ﨑泰子 (2017). 小学3年生を対象とした抑うつ予防プログラムの効果 : ポジティブな自己陳述の表出促進に焦点をあてて. 徳島大学総合科学部人間科学研究, 25, 23-35, NAID 120006460922
^ 髙橋高人、松原耕平、中野聡之、佐藤正二 (2018). 【原著】中学生に対する認知行動的抑うつ予防プログラムの効果 -2年間のフォローアップ測定による標準群との比較- 教育心理学研究 2018年 66巻 1号 p.81-94, doi:10.5926/jjep.66.81
^ 堤亜美 (2015). 中学・高校生に対する抑うつ予防心理教育プログラムの効果の検討 教育心理学研究 2015年 63巻 3号 p.323-337, doi:10.5926/jjep.63.323
^ 中村菜々子 (2010). 大学教養授業での心理教育実践:ストレス,うつ病,援助要請スキルの知識増進に焦点をあてて.学校教育学研究, 22, 47-53.
^ OECD 2014, p. 63.- ^ ab (PDF) Depression. National Institute of Mental Health (NIMH). http://web.archive.org/web/20110727123744/http://www.nimh.nih.gov/health/publications/depression/nimhdepression.pdf 2008年9月7日閲覧。.
^ Kaufmann IM (1993-09-01). “Rural psychiatric services. A collaborative model”. Canadian Family Physician 39: 1957–61. PMC 2379905. PMID 8219844. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2379905/.
^ “Call for action over Third World depression”. BBC News (Health). British Broadcasting Corporation (BBC) (1999年11月1日). 2008年10月11日閲覧。
^ Cepoiu M, McCusker J, Cole MG, Sewitch M, Belzile E, Ciampi A (2008). “Recognition of depression by non-psychiatric physicians—a systematic literature review and meta-analysis”. J Gen Intern Med 23 (1): 25–36. doi:10.1007/s11606-007-0428-5. PMC 2173927. PMID 17968628. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2173927/.
^ Dale J, Sorour E, Milner G (2008). “Do psychiatrists perform appropriate physical investigations for their patients? A review of current practices in a general psychiatric inpatient and outpatient setting”. Journal of Mental Health 17 (3): 293–98. doi:10.1080/09638230701498325.
^ Dale J, Sorour E, Milner G (2008). “Do psychiatrists perform appropriate physical investigations for their patients? A review of current practices in a general psychiatric inpatient and outpatient setting”. Journal of Mental Health 17 (3): 293–98. doi:10.1080/09638230701498325.
^ Orengo C, Fullerton G, Tan R (2004). “Male depression: A review of gender concerns and testosterone therapy”. Geriatrics 59 (10): 24–30. PMID 15508552.
^ Reid LM, Maclullich AM (2006). “Subjective memory complaints and cognitive impairment in older people”. Dementia and geriatric cognitive disorders 22 (5–6): 471–85. doi:10.1159/000096295. PMID 17047326.
^ Katz IR (1998). “Diagnosis and treatment of depression in patients with Alzheimer's disease and other dementias”. The Journal of clinical psychiatry 59 Suppl 9: 38–44. PMID 9720486.
^ Wright SL, Persad C (2007). “Distinguishing between depression and dementia in older persons: Neuropsychological and neuropathological correlates”. Journal of geriatric psychiatry and neurology 20 (4): 189–98. doi:10.1177/0891988707308801. PMID 18004006.
^ Sadock 2002, p. 108.
^ Sadock 2002, p. 260.
^ Sadock 2002, p. 288.
^ アメリカ精神医学会 2000a, p. xxix.
^ アメリカ精神医学会 2000a.
^ アメリカ精神医学会 2000a, p. 345.- ^ abアメリカ精神医学会 2000a, p. 349.
^ Wakefield JC, Schmitz MF, First MB, Horwitz AV (2007). “Extending the bereavement exclusion for major depression to other losses: Evidence from the National Comorbidity Survey”. Archives of General Psychiatry 64 (4): 433–40. doi:10.1001/archpsyc.64.4.433. PMID 17404120. http://archpsyc.ama-assn.org/cgi/content/full/64/4/433. Lay summary – The Washington Post (2007-04-03).
^ 長田麻衣子、村岡香織、里宇明元、「脳卒中後うつ病(Poststroke depression) -その診断と治療-」The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine., Vol.44 (2007) No.3 P.177-188, doi:10.2490/jjrmc.44.177
^ アメリカ精神医学会 2000a, p. 372.- ^ abcdefgh“Criteria for Major Depressive Episode”. Winthrop University. faculty.winthrop.edu. 2005年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月20日閲覧。
- ^ abcdefghDSM-IV-TR §大うつ病エピソード
^ 大野裕 『精神医療・診断の手引き―DSM-IIIはなぜ作られ、DSM-5はなぜ批判されたか』 金剛出版、2014年、39-40頁。ISBN 978-4-7724-1386-2。
^ アメリカ精神医学会, 2014 & pp20、161、801.
^ アメリカ精神医学会 2000a, p. 352.
^ Sadock 2002, p. 552.- ^ abアメリカ精神医学会 2000a, p. 355.
^ Rapaport MH, Judd LL, Schettler PJ (2002). “A descriptive analysis of minor depression”. American Journal of Psychiatry 159 (4): 637–43. doi:10.1176/appi.ajp.159.4.637. PMID 11925303.
^ アメリカ精神医学会 2000a, p. 778.
^ Carta, MG; Altamura, AC; Hardoy, MC; Pinna, F; Medda, S; Dell'osso, L; Carpiniello, B; Angst, J (2003). “Is recurrent brief depression an expression of mood spectrum disorders in young people?”. European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience 253 (3): 149–53. doi:10.1007/s00406-003-0418-5. PMID 12904979.- ^ abcdアレン・フランセス 2014, pp. 52-55.
- ^ abcde世界保健機関 2010, DEP1.
^ 神庭重信 2008, pp. 71-72.
^ 神庭重信 2008, pp. 72,176-180.
^ 日本うつ病学会 2012, p. 12,38.
^ 日本うつ病学会 2012, Chapt.1.3.
^ 日本うつ病学会 2012, p. 10.- ^ ab「うつ病性障害」、『メルクマニュアル第18版 日本語オンライン版』、Merck & Co., Inc.、2005年11月。
- ^ abcOECD 2014, Country press releases - Japan.
- ^ ab高橋祥友 『書評: 精神科を専門としない医師が患者の悩みを救うために』 医学書院、2004年4月。http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=5583。
- ^ ab日本精神神経学会広報委員会編 『精神科医療機関受診についてQ&A』 日本精神神経学会。https://www.jspn.or.jp/forpublic/index.html。2015年1月17日閲覧。 [リンク切れ] (原典は 細田眞司「精神科医療機関の上手な利用の仕方」、『こころの科学』2010年7月号(通巻152号)、日本評論社、2010年6月25日、 ISBN 978-4-535-14052-3。)
- ^ abc こころの健康サポートガイド, 厚生労働省, http://www.mhlw.go.jp/kokoro/docs/supportguide.pdf
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.6.
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.4.1.3.- ^ ab英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.4.2.1.
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.4.4.
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.5.1.1.
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.5.1.2.
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.4.11.
^ 世界保健機関 2015, p. 10.- ^ abc英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.1.1.
- ^ abcd世界保健機関 2010, DEP2.
^ 世界保健機関 2010, GPC.
^ ウィリアムズ, M., ティーズディール, J., シーガル, G., & カバットジン, J. 越川 房子・黒澤 麻美(訳) (2012).うつのためのマインドフルネス実践――慢性的な不幸感からの解放―― 星和書店,221-226頁.
^ Thase, ME (1999). “When are psychotherapy and pharmacotherapy combinations the treatment of choice for major depressive disorder?”. Psychiatric Quarterly 70 (4): 333–46. doi:10.1023/A:1022042316895. PMID 10587988.
^ Cordes, J. (2013). “Encyclopedia of Sciences and Religions”. Encyclopedia of Sciences and Religions. pp. 610. doi:10.1007/978-1-4020-8265-8_301. ISBN 978-1-4020-8264-1.- ^ abcdIrving Kirsch 2009, p. 177 (翻訳書は アービング・カーシュ 2010, p. 240)
^ Irving Kirsch 2009, p. 160 (翻訳書は アービング・カーシュ 2010, p. 218)- ^ ab精神医学「DSM-5をめぐって─Dr. Allen Francesに聞く[リンク切れ]」医学書院2012年8月(54巻8号)
- ^ ab英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.5.1.
^ OECD 2014, Country press releases - UK.
^ 「WPA/PTD Educational Program on Depressive Disorders」世界精神医学会、2013年10月28日閲覧。- ^ ab「JCPTD30年の歴史」一般社団法人うつ病の予防・治療日本委員会 (JCPTD)、96頁、2013年10月28日閲覧。
^ 「WPA/PTD うつ病性障害教育プログラム」一般社団法人うつ病の予防・治療日本委員会 (JCPTD)、2013年10月28日閲覧。- ^ abcIrving Kirsch 2009, pp. 162-163 (翻訳書は アービング・カーシュ 2010, p. 220)
- ^ abcde OECD Series on Health Care Quality Reviews - Japan (Report). OECD. (2014-11). Chapt.4. doi:10.1787/9789264225817-en.
- ^ abc うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル(厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業) (Report). 日本認知療法学会. (2010-01). http://jact.umin.jp/pdf/cognitive_medical.pdf.
^ 加藤 忠史 (2014).うつ病治療の基礎知識 筑摩書房
^ NICE ガイドライン CG28(2005)
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.5.3.2.
^ アメリカ精神医学会 2010, part A.
^ 日本うつ病学会 2012, pp. 18, 23.
^ Irving Kirsch 2009, p. 1 (翻訳書は アービング・カーシュ 2010, pp. 13-14)
^ “診療報酬の算定方法の一部を改正する件(平成22年厚生労働省告示第69号)” (プレスリリース), 厚生労働省, (2012年3月5日), http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken12/index.html- ^ ab新宮 尚人 (2011). 「うつとリハビリテーション」 バイオメカニズム学会誌2011年 35巻 1号 p.9-14, doi:10.3951/sobim.35.9
^ うつ病の認知療法・認知行動療法患者さんのための資料(厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業) (Report). 日本認知療法学会. (2010-01). http://jact.umin.jp/pdf/cognitive_patient.pdf.
^ ジュディス・S・ベック 伊藤 絵美・神村 栄一・藤澤 大介(訳)(2015). 認知行動療法実践ガイド――基礎から応用まで―― 第2版 星和書店, 250-251頁.- ^ abデニス・グリーンバーガー,クリスティーン・A. パデスキー 大野 裕(監訳)(2001). うつと不安の認知療法練習帳 創元社, 192-195頁.
^ ホフマン, S. G. 伊藤正哉、堀越勝(訳)(2012). 現代の認知行動療法――CBTモデルの臨床実践―― 診断と治療社, 129頁.
^ リー, D. 竹本毅(訳)(2016). 10分でできる認知行動療法入門 日経BP社, 164頁・168頁.- ^ abcdefIrving Kirsch 2009, pp. 173-174 (翻訳書は アービング・カーシュ 2010, pp. 233-235)
^ デビッド・D・バーンズ 2004.
^ デビッド・D・バーンズ 2004, 序章.
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.5.3.4.
^ 伊藤 絵美 (2008). 事例で学ぶ認知行動療法 誠信書房, 33頁.- ^ abc大野 裕(監修) (2003).「うつ」を直す事典:自分と家族の心を守るために 法研, 294-295頁.
^ “「オープンダイアローグ」とは=対話で精神病からの回復目指す” (日本語). 時事メディカル. https://medical.jiji.com/topics/322 2018年5月20日閲覧。- ^ abcd日本うつ病学会 2012.
- ^ ab自殺予防のために薬物療法によってできることは何か 渡邊衡一郎
^ What Is Depression? National Institutes of Mental Health- ^ abcdefg英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.5.2.
- ^ abRobert Whitaker, "Antidepressants/Depression," Anatomy of an Epidemic Documents. Retrieved June 11 2013.
- ^ abcRobert Whitaker 2009, pp. 152-153 (翻訳書は ロバート・ウィタカー 2010, pp. 224-225)
^ Jonathan Cole, "Therapeutic efficacy of antidepressant drugs," Journal of the American Medical Association, 1964, pp. 448-55, 190(5).- ^ abcDean Schuyler, The Depressive Spectrum, New York: Jason Aronson, 1974, p. 47. ISBN 978-0-87668-187-9.
^ Moncrieff, J. (2005). “Efficacy of antidepressants in adults”. BMJ 331 (7509): 155–157. doi:10.1136/bmj.331.7509.155. ISSN 0959-8138.- ^ ab日本うつ病学会 2012, p. 26.
^ 日本うつ病学会 2012, p. 22.- ^ abc世界保健機関 2010, DEP3.
^ エビリファイ添付文書[リンク切れ]- ^ abc日本うつ病学会 2012, p. 37.
^ 英国国立医療技術評価機構 2009, Chapt.1.5.2.8.- ^ abc一般社団法人うつ病の予防・治療日本委員会 2008.
^ デビッド・D・バーンズ 2004, p. 314.
^ 米国国立メンタルヘルス機構 2011, FDA warning on antidepressants.- ^ ab厚生労働省医薬食品局 (2009-09). 医薬品・医療機器等安全性情報 No.261 (Report). 261. http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/261.pdf.
^ Stone MB, Jones ML (2006年11月17日). “Clinical review: relationship between antidepressant drugs and suicidality in adults (PDF)”. Overview for December 13 Meeting of Psychopharmacologic Drugs Advisory Committee (PDAC). FDA. pp. 11–74. 2007年9月22日閲覧。
^ Levenson M, Holland C (2006年11月17日). “Statistical Evaluation of Suicidality in Adults Treated with Antidepressants (PDF)”. Overview for December 13 Meeting of Psychopharmacologic Drugs Advisory Committee (PDAC). FDA. pp. 75–140. 2007年9月22日閲覧。
^ Olfson M, Marcus SC, Shaffer D (2006). “Antidepressant drug therapy and suicide in severely depressed children and adults: A case-control study”. Archives of General Psychiatry 63 (8): 865–72. doi:10.1001/archpsyc.63.8.865. PMID 16894062.
^ Hammad TA (2004-08-116). “Review and evaluation of clinical data. Relationship between psychiatric drugs and pediatric suicidality. (PDF)”. FDA. pp. 42; 115. 2008年5月29日閲覧。- ^ abHetrick S, Merry S, McKenzie J, Sindahl P, Proctor M (2007). “Selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs) for depressive disorders in children and adolescents”. Cochrane Database Syst Rev (3): CD004851. doi:10.1002/14651858.CD004851.pub2. PMID 17636776.
^ Gunnell D, Saperia J, Ashby D (2005). “Selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs) and suicide in adults: meta-analysis of drug company data from placebo controlled, randomised controlled trials submitted to the MHRA's safety review”. BMJ 330 (7488): 385. doi:10.1136/bmj.330.7488.385. PMC 549105. PMID 15718537. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC549105/.
^ Fergusson D, Doucette S, Glass KC, et al. (2005). “Association between suicide attempts and selective serotonin reuptake inhibitors: systematic review of randomised controlled trials”. BMJ 330 (7488): 396. doi:10.1136/bmj.330.7488.396. PMC 549110. PMID 15718539. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC549110/.
^ Stone, M; Laughren, T, Jones, ML, Levenson, M, Holland, PC, Hughes, A, Hammad, TA, Temple, R, Rochester, G (2009-08-11). “Risk of suicidality in clinical trials of antidepressants in adults: analysis of proprietary data submitted to US Food and Drug Administration”. BMJ (Clinical research ed.) 339: b2880. doi:10.1136/bmj.b2880. PMC 2725270. PMID 19671933. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2725270/.
^ Rihmer Z, Akiskal H (2006). “Do antidepressants t(h)reat(en) depressives? Toward a clinically judicious formulation of the antidepressant-suicidality FDA advisory in light of declining national suicide statistics from many countries”. J Affect Disord 94 (1–3): 3–13. doi:10.1016/j.jad.2006.04.003. PMID 16712945.
^ Sakinofsky, I (2007 Jun). “Treating suicidality in depressive illness. Part I: current controversies”. Canadian Journal of Psychiatry 52 (6 Suppl 1): 71S–84S. PMID 17824354.
^ “FDA Proposes New Warnings About Suicidal Thinking, Behavior in Young Adults Who Take Antidepressant Medications”. FDA (2007年5月2日). 2008年5月29日閲覧。[リンク切れ]
^ 野村総一郎(日本うつ病学会理事長)抗うつ薬で自殺が増加するか?
^ 英国国立医療技術評価機構 2009, Chapt.1.
^ David Taylor; Carol Paton; Shitij Kapur 『モーズレイ処方ガイドライン第10版』、内田裕之・鈴木健文・渡邊衡一郎監訳 アルタ出版、2011年1月、1-7頁。ISBN 978-4-901694-45-2。
^ Robert Whitaker 2009, pp. 345-346 (翻訳書は ロバート・ウィタカー 2010, pp. 515-516
^ Irving Kirsch 2009, pp. 170-171 (翻訳書は アービング・カーシュ 2010, p. 230)
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.4.2.4.- ^ abcRobert Whitaker 2009, p. 345 (翻訳書は ロバート・ウィタカー 2010, pp. 514-515)
^ (PDF) CG23 : Management of depression in primary and secondary care (Report). 英国国立医療技術評価機構. (2007). p. 99. http://www.nice.org.uk/nicemedia/pdf/CG023fullguideline.pdf. [リンク切れ]
^ Robert Whitaker 2009, pp. 345-347 (翻訳書は ロバート・ウィタカー 2010, pp. 515-517)
^ Cooney GM, Dwan K, Greig CA, Lawlor DA, Rimer J, Waugh FR, McMurdo M, Mead GE (2013). “Exercise for depression”. Cochrane Database of Systematic Reviews (9): CD004366. doi:10.1002/14651858.CD004366.pub6.
^ “Facilitated physical activity as a treatment for depressed adults: randomised controlled trial”. 2012年3月22日閲覧。
^ 志水彰ほか『精神医学への招待』改訂2版,南山堂、2005年。100、188頁- ^ ab井田逸朗 他「修正型電気刺激療法」『気分障害の診療学』中山書店、371 - 379頁
^ TA59 : Guidance on the use of electroconvulsive therapy (Report). 英国国立医療技術評価機構. (2003-04). http://www.nice.org.uk/Guidance/TA59.
^ 英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.2.- ^ abTMSについて 鬼頭伸輔 杏林大学医学部
- ^ abc越前屋勝「8.うつ病の時間生物学的治療 (PDF) 」 『睡眠医療』第2巻1号、2007年。
^ 市村麻衣、山田尚登「高照度光療法」、『精神科治療学』第27巻増刊号:気分障害の治療ガイドライン、2002年10月。
^ 睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会 「4.高照度光療法」『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』 じほう、2002年。ISBN 4-8407-3015-6。
^ Fegert JM, Kölch M, Zito JM, Glaeske G, Janhsen K (2006). “Antidepressant use in children and adolescents in Germany”. J. Child Adolesc. Psychopharmacol. 16 (1-2): 197–206. doi:10.1089/cap.2006.16.197. PMID 16553540.
^ Linde K, Berner MM, Kriston L (2008). “St John's wort for major depression”. Cochrane Database Syst. Rev. 4: CD000448. doi:10.1002/14651858.CD000448.pub3. PMID 18843608.
^ シン, サイモン、エルンスト, エツァート 『代替医療のトリック』 青木薫訳、新潮社、2010年(原著2008年)、264-266,279-280。ISBN 978-4-10-539305-2。
^ 重篤副作用疾患別対応マニュアル セロトニン症候群 (Report). 厚生労働省. (2010-03). http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm1003003.pdf.
^ 日本うつ病学会 2012, pp. 15-16.- ^ abcうつ病 厚生労働省
^ 「うつ予防・支援マニュアル」分担研究班 (2009-05). うつ予防・支援マニュアル(改訂版) (Report). 厚生労働省老健局老人保健課. http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/tp0501-1.html.
^ 職場復帰支援(リワーク支援)JEED、うつ病などで休職しており、職場復帰をお考えの方へ JEED
^ Posternak MA, Miller I (2001). “Untreated short-term course of major depression: A meta-analysis of outcomes from studies using wait-list control groups”. Journal of Affective Disorders 66 (2-3): 139-46. doi:10.1016/S0165-0327(00)00304-9. PMID 11578666.
^ Posternak MA, Solomon DA, Leon AC (2006). “The naturalistic course of unipolar major depression in the absence of somatic therapy”. Journal of Nervous and Mental Disease 194 (5): 324-29. doi:10.1097/01.nmd.0000217820.33841.53. PMID 16699380.
^ 疫学・保健医療統計学[リンク切れ]獨協医科大学名誉教授 中江公裕- ^ abRobert Whitaker 2009, ch. 8 (翻訳書は ロバート・ウィタカー 2010, ch. 8)
^ Fava GA, Park SK, Sonino N (2006). “Treatment of recurrent depression.”. Expert Review of Neurotherapeutics 6 (11): 1735–1740. doi:10.1586/14737175.6.11.1735. PMID 17144786.
^ Limosin F, Mekaoui L, Hautecouverture S (2007). “Stratégies thérapeutiques prophylactiques dans la dépression unipolaire [Prophylactic treatment for recurrent major depression]”. La Presse Médicale 36 (11-C2): 1627–1633. doi:10.1016/j.lpm.2007.03.032. PMID 17555914.
^ Eaton WW, Shao H, Nestadt G (2008). “Population-based study of first onset and chronicity in major depressive disorder”. Archives of General Psychiatry 65 (5): 513–20. doi:10.1001/archpsyc.65.5.513. PMC 2761826. PMID 18458203. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2761826/.
^ “The scope and concerns of public health”. Oxford University Press: OUP.COM (2009年3月5日). 2010年12月3日閲覧。[リンク切れ]
^ The mental health of Australians 2 (Report). オーストラリア保健省. (2007). Chapt.4.1. http://www.health.gov.au/internet/publications/publishing.nsf/Content/mental-pubs-m-mhaust2-toc~mental-pubs-m-mhaust2-4~mental-pubs-m-mhaust2-4-1.
^ 水野創一、宮岡剛、稲垣卓司、堀口淳「Prevalence of restless legs syndrome in non-institutionalized Japanese elderly」、『Psychiatry and clinical neurosciences』第59巻第4号、2005年8月1日、 461-465頁、 NAID 10018029436。- ^ abcdefgh日本生物学的精神医学会、日本うつ病学会、日本心身医学会 2010, p. 157.
^ 川上憲人「世界のうつ病,日本のうつ病--疫学研究の現在 (第5土曜特集 うつ病のすべて) -- (疫学)」、『医学のあゆみ』第219巻第13号、医歯薬出版、2006年12月30日、 925-929頁、 NAID 40015165979。
^ “Relationship between Vitamin Intake and Depressive Symptoms in Elderly Japanese Individuals: Differences with Gender and Body Mass Index”. Nutrients 9 (12). (2017). doi:10.3390/nu9121319. PMC PMC5748769. PMID 29207502. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMCPMC5748769/.
^ 厚生労働省 うつ病対策推進方策マニュアル(doc)
^ 女性のうつ病 JCPTD
^ うつ病、不安障害..「経験」25%、受診は3割未満 川上 熊本日日新聞2008年3月8日付朝刊
^ うつ病の患者さんは増加しているのでしょうか? 日本うつ病学会
^ なぜうつ病の人が増えたのか 冨高辰一郎 ISBN 4-7790-0453-5
^ 佐藤寛ほか『一般中学生におけるうつ病の有病率』 精神医学 第50巻、2008年
^ “Fast Facts about Mental Illness”. Canadian Mental Health Association. 2015年5月16日閲覧。
^ 世界保健機関 2006, p. 10.
^ 製薬会社ファイザーの調査2009年7月27日広報[リンク切れ]
^ ビタミンショック-暴かれた害と効用-, ハンス・ウルリッヒ グリム/著 イェルク・ツィットラウ/著 佐々木建/監訳 花房恵子/訳- ^ ab仙波純一「喫煙と精神機能・行動 ニコチンとうつ病-その光と陰-」、『喫煙科学研究の歩み-1996年から2005年-』、公益財団法人喫煙科学研究財団、2007年。
^ ニコチネルパッチの使用上の注意 解説 してはいけないこと[リンク切れ]
^ チャンピックスを服用するにあたっての注意
^ 日野なおみ、「「うつ病の血液診断」の光と陰」(日経ビジネス、2011年9月16日)- ^ ab滝沢龍、福田正人「精神疾患の臨床検査としての光トポグラフィー検査 (NIRS) —先進医療「うつ症状の鑑別診断補助」」 (pdf) 、『医学のあゆみ』第231巻第10号、2009年12月5日、 30-35頁。
^ “MRI画像を用いた統合失調症とうつ病の鑑別方法を開発” (プレスリリース), 国立精神・神経医療研究センター, (2013年7月16日), http://www.ncnp.go.jp/press/press_release130716.html 2015年9月29日閲覧。 論文はdoi:10.1016/j.jpsychires.2013.06.010
^ “DNA Methylation Profiles of the Brain-Derived Neurotrophic Factor (BDNF) Gene as a Potent Diagnostic Biomarker in Major Depression author=Manabu Fuchikami, Shigeru Morinobu, Masahiro Segawa, Yasumasa Okamoto, Shigeto Yamawaki, Norio Ozaki, Takeshi Inoue, Ichiro Kusumi, Tsukasa Koyama, Kounosuke Tsuchiyama, Takeshi Terao”. PLoS ONE. (2011-08-30). doi:10.1371/journal.pone.0023881.
^ <Eパーソン>血液でうつ病診断へ - 河北新報、2015年8月6日。
^ “社員の「うつ」、血液で見抜く 早期発見へ”. 日経産業新聞. (2014年4月13日). http://www.nikkei.com/article/DGXNZO69636370Z00C14A4X11000/ 2015年9月29日閲覧。
^ 日本におけるうつ病のバイオマーカーによる診断法特許の登録に関するお知らせ - ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ、2013年10月23日。
^ ダニエル・G. エイメン『脳画像でみる「うつ」と「不安」の仕組み』2004年。
^ 用語解説(専門家向け)、『こころの耳』 厚生労働省
^ 職場を襲う "新型うつ"、NHKスペシャル、2012年4月29日放送- ^ abcQ.4 新型うつ病が増えていると聞きます。新型うつ病とはどのようなものでしょうか? (PDF) 日本うつ病学会
^ 日本うつ病学会 2012, pp. 3-4.
^ 日本うつ病学会 2012, p. 3.
参考文献
- 臨床ガイドライン
mhGAP Intervention Guide for mental, neurological and substance use disorders in non-specialized health settings (Report). 世界保健機関. (2010). ISBN 978-92-4-154806-9. http://www.who.int/mental_health/publications/mhGAP_intervention_guide/en/.
アメリカ精神医学会 (2004-04). “APA Practice Guideline Provides Recommendations for Assessing and Treating Patients With Suicidal Behaviors”. Psychiatr Ann 34 (5). http://stopasuicide.com/docs/APASuicideGuidelinesReviewArticle.pdf. [リンク切れ]
アメリカ精神医学会 (2000a). Diagnostic and statistical manual of mental disorders, Fourth Edition, Text Revision: DSM-IV-TR. Washington, DC: American Psychiatric Publishing, Inc.. ISBN 0-89042-025-4.
アメリカ精神医学会 (2010-10). Practice Guideline for the Treatment of Patients With Major Depressive Disorder (Report) (3 ed.). doi:10.1176/appi.books.9780890423387.654001. http://psychiatryonline.org/content.aspx?bookid=28§ionid=1667485#654001. [リンク切れ]
アメリカ精神医学会 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、日本精神神経学会日本語版用語監修・高橋三郎・大野裕監訳・染矢俊幸・神庭重信・尾崎紀夫・三村將・村井俊哉訳 医学書院、2014年6月30日。ISBN 978-4-260-01907-1。 原著は2013年。
米国国立メンタルヘルス機構 (2011). Depression (Report). http://www.nimh.nih.gov/health/publications/depression/complete-index.shtml.
英国国立医療技術評価機構 (2009-08). CG91: Depression with a chronic physical health problem (Report). http://www.nice.org.uk/CG91. - 慢性的身体症状を伴う成人の抑うつ
英国国立医療技術評価機構 (2009-08). CG90: Depression in adults (Report). http://www.nice.org.uk/CG90.
英国国立医療技術評価機構 (2005). CG28: Depression in children and young people (Report). London. http://www.nice.org.uk/CG28. - 子供と青年の抑うつ
日本うつ病学会; 気分障害のガイドライン作成委員会 (2012-07-26) (pdf). 日本うつ病学会治療ガイドライン (Report) (2012 Ver.1 ed.). http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mood_disorder/img/120726.pdf.
- 学会声明
- 日本生物学的精神医学会、日本うつ病学会、日本心身医学会「うつ病対策の総合的提言」、『日本生物学的精神医学会誌』第21巻第3号、日本生物学的医学会、2010年、 155-182頁。
- 国際機関
Mental and Behavioural Disorders Department of Mental Health (2006). Preventing suicide : a resource for counsellors (Report). 世界保健機関. http://www.who.int/mental_health/resources/preventingsuicide/en/.
Thinking Healthy - A manual for psychological management of perinatal depression, 世界保健機関, (2015), WHO/MSD/MER/15.1, http://www.who.int/mental_health/maternal-child/thinking_healthy/en/ - 産後うつに対しての心理療法マニュアル
Making Mental Health Count - The Social and Economic Costs of Neglecting Mental Health Care (Report). OECD. (2014-07). doi:10.1787/9789264208445-en.
- 医学論文
- Belmaker RH, Agam G. "Major depressive disorder." NEJM. 2008 Jan 3;358(1):55-68. PMID 18172175
- 医学書
Sadock, Virginia A.; Sadock, Benjamin J.; Kaplan, Harold I. (2003). Kaplan & Sadock's synopsis of psychiatry: behavioral sciences/clinical psychiatry. Philadelphia: Lippincott Williams & Wilkins. ISBN 0-7817-3183-6.
Hadzi-Pavlovic, Dusan; Parker, Gordon (1996). Melancholia: a disorder of movement and mood: a phenomenological and neurobiological review. Cambridge, UK: Cambridge University Press. ISBN 0-521-47275-X.- アレン・フランセス 『精神疾患診断のエッセンス―DSM-5の上手な使い方』 金剛出版、2014年3月。ISBN 978-4-7724-1352-7。
- 志水彰ほか『精神医学への招待』改訂2版, 南山堂、2005年, ISBN 4-525-38352-6
- 村上靖彦、永田俊彦、市橋秀夫、中安信夫 『座談精神科臨床の考え方―危機を乗り越えるべく』 メディカルレビュー社、2005年4月。ISBN 978-4-89600-826-5。
神庭重信編 『気分障害の診療学 - 世紀の精神科治療(新装版)第2巻』 中山書店、2008年。ISBN 978-4-521-73049-3。
Robert Whitaker (January 1, 2009), Anatomy of an Epidemic: Magic Bullets, Psychiatric Drugs, and the Astonishing Rise of Mental Illness in America, New York: Crown Publishing Group, ASIN B004RU7U5C .(翻訳書は ロバート・ウィタカー 『心の病の「流行」と精神科治療薬の真実』、小野善郎監訳、門脇陽子・森田由美訳 福村出版、2010年9月19日。ISBN 978-4-571-50009-1。 )
Irving Kirsch (October 19, 2009), The Emperor's New Drugs: Exploding the Antidepressant Myth, The Bodley Head, ISBN 978-1-84792-083-6 .(翻訳書は アービング・カーシュ 『抗うつ薬は本当に効くのか』、石黒千秋訳 エクスナレッジ、2010年1月25日。ISBN 978-4-7678-0954-0。 )- デビッド・D・バーンズ 『いやな気分よ、さようなら : 自分で学ぶ「抑うつ」克服法』 星和書店、2004年4月、2。ISBN 978-4-7911-0206-8。
- 一般書
- 笠原嘉 『退却神経症 —無気力・無関心・無快楽の克服』 講談社〈講談社現代新書〉、1988年5月。ISBN 978-4-06-148901-1。
Ethan Watters (January, 2010), Crazy Like Us: The Globalization of the American Psyche, Free Press, ISBN 978-1-4165-8708-8 .(翻訳書は イーサン・ウォッターズ 『クレイジー・ライク・アメリカ: 心の病はいかに輸出されたか』、阿部宏美訳 紀伊国屋書店、2013年7月。ISBN 978-4-314-01103-7。 )
- ほか
日本医学会:第129回日本医学会シンポジウム記録集「うつ病」
一般社団法人うつ病の予防・治療日本委員会 (2008). うつ病診療の要点-10 (Report). http://www.jcptd.jp/medical/point_10.pdf.
「うつ予防・支援マニュアル」分担研究班 (2009-05). 介護予防マニュアル(改訂版) (Report). 厚生労働省老健局老人保健課. http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/tp0501-1.html.
関連項目
- うつ病を患った人物の一覧
- メンタルヘルス
気分障害
双極性障害(躁うつ病)
- 退却神経症
- メランコリー
- セロトニントランスポーター遺伝子
- ストレス脆弱性モデル
外部リンク
Depression - 世界保健機関
Depression アメリカ国立精神衛生研究所 (英語)
Clinical depression - イギリス国民保健サービス (英語)
Depression (NICE Pathways) (英語)
うつ病 - 厚生労働省- 日本うつ病学会
|