ウミグモ綱


ウミグモ綱

生息年代: 497–0 Ma

PreЄ





















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S

D

C

P

T

J

K

Pg

N










Ammothea

シマウミグモ属 Ammothea


地質時代

カンブリア紀 - 現世

分類















:

動物界 Animalia


:

節足動物門 Arthropoda

亜門
:

鋏角亜門 Chelicerata


:

ウミグモ綱 Pycnogonida

学名

Pycnogonida
Latreille, 1810

和名
ウミグモ(海蜘蛛)
英名
sea spider
pycnogonid



  • †ウミユリヤドリグモ目 Palaeoisopoda

  • †ムカシウミグモ目 Palaeopantopoda


  • ウミグモ目 Pantopoda

ウミグモ綱(ウミグモこう)および皆脚綱は、節足動物門鋏角亜門に属する分類群の1つ。ウミグモ(海蜘蛛)およびウミグモ類と総称される。胴体は小さく、体のほとんどが脚からなるという独特な姿をもつ。名前に反してクモとは別系統の節足動物である。


約1300種を含め、化石記録はおよそ5億年前のカンブリア紀まで遡る。現生群はウミグモ目(皆脚目)のみからなる。




目次





  • 1 形態


  • 2 生態


  • 3 分類


  • 4 系統関係

    • 4.1 分岐学上の位置


    • 4.2 鋏肢の対応関係



  • 5 脚注




形態




ウミグモの特徴:
A: 頭部、B: 胸部、C: 腹部 1: 吻、2: 鋏肢、3: 触肢、4: 担卵肢、5: 卵嚢、6a–6d: 歩脚




様々なウミグモ


体は頭部、胸部、腹部の3つに別れるが、大部分が頭部と胸部である。小さな胴体に対して足は極端に発達し、足を束にしただけのような印象を受ける。


頭部には、長い吻があって、前に突き出るか下を向く、先端には三角形の口が開口する。頭部そのものは、頭らしい形とは言いがたく、第1脚をもつ胸部の体節と癒合している。基部の背側は2対の単眼がある。


吻の基部背側にははさみ状の鋏肢(きょうし、chelifores)があり、欠如した種類もある。これは他の鋏角類に存在する鋏角(きょうかく、chelicerae)に当たるものと考えられる。鋏肢に次ぐ頭部の両側に1対の触肢(しょくし、palps)があり、クモガタ類の触肢(pedipalps)に当たるものと考えられる。さらにその後ろには、「担卵肢」(たんらんし、ovigers)と呼ばれる細長い付属肢が1対ある。これを胸部の方に折り曲げ、雄はここに卵塊をつけて保護する。これはクモガタ類の第1脚に相同であると考えられる。


胸部に当たる部分は幅が狭く、足の太さと変わらない。各体節から1対ずつ横からやや延長し、歩脚に接続する。歩脚は通常は4対で、稀に5対や6対の種類[1]もある。とても発達しており、先に爪がある。消化管は枝分かれして足に入り込んでいる。生殖器と生殖孔も脚の基部に付く。


腹部に当たる部分は、ごく小さく、粒のような部分であり、先端は肛門がある。ただし一部の化石種では、腹部は比較的に発達し、体節と尾節をもつものがある[2]


8本脚の特徴から他の鋏角類(真鋏角類)に連想するが、担卵肢の存在によってこれらの歩脚の対応関係(相同性)は他の鋏角類(真鋏角類)から1節ずれていて、順番は相同ではない[2]



























ウミグモ綱と真鋏角類の体節の対応関係
分類/体節
1
2
3
4
5
6
7
真鋏角類

鋏角

触肢

第1脚
第2脚
第3脚

第4脚
唇様肢
(カブトガニ類のみ)
ウミグモ類
鋏肢
触肢
担卵肢

第1脚
第2脚
第3脚

第4歩脚

また、従来の頭部とされた部分(第1‐3体節)はいずれの種も胸部第1節(第4体節)と癒合する。真節足動物の頭部は最低限4節からなるという説に従い、形態学上での比較のため、これらの4節をまとめて「頭部」(cephalon または cephalosoma)と扱うのが主流である[2][3]


展足は微小な1mmから大型の70㎝まで及ばす[4]。大型種は主に深海や極地に生息し、展足30cmの深海性のベニオオウミグモがその一例である。



生態




抱卵中のウミグモ




脚までに分岐した消化管


運動は緩慢で、多くの場合、海底の岩や海藻にしがみついて、ゆっくりと動く。脚を動かして水中に泳ぐこともある。軟体動物や刺胞動物に寄生するもの、自由生活のものなどがある。軟体動物や刺胞動物の体に口吻をさし込んで体液を吸収することが知られているが、他のものについては食性が明らかになっていない。


ウミグモの多くの臓器は脚の中へ差し込み、生理活動も主に脚を通じて行う。鰓など呼吸用の独立した器官はなく、脚の体表から直接的にガス交換を行う(皮膚呼吸)。小さな胸部にある心臓は長い脚に対して血液循環は力不足であり、脚の消化管の伸縮を通じて体内の血リンパを流動させる[5]


繫殖は体外受精を通じて行う。雌が卵を産み、雄が担卵肢で卵嚢を把握し、世話にする。発生においては、甲殻類のノープリウス幼生に似ていて、幼生の体は頭部しかなく、鋏肢と2対の幼生付属肢(その後の触肢と担卵肢)のみを持って生まれる。成長に伴い歩脚を持つ体節を増やしていく[6]



分類


およそ1300種を含め、1つの現生目ウミグモ目(皆脚目)Pantopoda と、2つの化石目を認める。


原生群に近いムカシウミグモ目 Palaeopantopoda は、4億2500万年前のシルル紀に生きていた、既知の最古のウミグモ Haliestes dasos などを含む。より原始的なウミユリヤドリグモ目 Palaeoisopoda は、デヴォン紀初期の Palaeoisopus などを含む。また、未分類であるものの、Cambropycnogon などはさらに原始的と見られている。


現生種であるウミグモ目は6-10科に分けられる。一例は次のとおり。



  • イソウミグモ科 Ammotheidae


  • スイクチウミグモ科 Austrodecidae


  • カニノテウミグモ科 Callipallenidae


  • オオウミグモ科 Colossendeidae


  • ミドリウミグモ科 Endeidae


  • ユメムシ科 Nymphonidae


  • ホソウミグモ科 Phoxichilidiidae


  • ヨロイウミグモ科 Pycnogonidae


  • イボウミグモ科 Rhynchothoracidae


系統関係



分岐学上の位置




節足動物門






大顎類



鋏角類






ウミグモ類(ウミグモ類+真鋏角類仮説[7]



真鋏角類






カブトガニ類











ウミサソリ類
 





クモガタ類









節足動物門






ウミグモ類(ウミグモ類+Cormogonida仮説[8]



Cormogonida






大顎類



真鋏角類






カブトガニ類











ウミサソリ類
 





クモガタ類







従来は形態学に従い、ウミグモ類は鋏角類として分類された。しかし分子系統学の知見により、ウミグモ類の単系統性は強く支持されるものの、他の鋏角類との関係ははっきりせず、節足動物の系統における位置が不安定である。


ウミグモ類を鋏角類であると認め、他の鋏角類全体が単系統真鋏角類で、ウミグモ類と姉妹群をなすという系統位置が主流である。分子系統ではさまざまな結果が出ており、前述の通り真鋏角類の姉妹群[7]にする他、クモガタ類に近縁、或いは鋏角類に所属せず、残り全ての節足動物(Cormogonida)と姉妹群をなす、などの説もある[8]



鋏肢の対応関係


































分類/体節

先節
(前大脳)
1[9]
(中大脳)
2
3
4

ウミグモ類(神経解剖学に従う[10]


鋏肢
触肢
担卵肢
第1脚
第2脚

ウミグモ類(遺伝子解析に従う[11]

-

鋏肢
触肢
担卵肢
第1脚
真鋏角類
-

鋏角

触肢
第1脚
第1脚

アノマロカリス類
前部付属肢




また、ウミグモの鋏肢は、神経解剖学的には前大脳に対応するように見えるため、真鋏角類の鋏角(中大脳に対応)とは相同でなく、むしろアノマロカリス類の触手(同じく前大脳に対応)に相同ではないかという見解があった[10]。しかし、ホメオティック遺伝子に注目する解析により、その鋏肢が対応する神経節は元々中大脳のものだと解明された。従って前者の知見が否定され、従来の説に戻り、ウミグモの鋏肢と真鋏角類の鋏角は相同器官である[11]



脚注




  1. ^ Decolopoda属とPentanymphon属は5対、Dodecolopoda属は6対。

  2. ^ abcA., Dunlop, Jason; C., Lamsdell, James. “Segmentation and tagmosis in Chelicerata” (英語). Arthropod Structure & Development 46 (3). ISSN 1467-8039. https://www.academia.edu/28212892/Segmentation_and_tagmosis_in_Chelicerata. 


  3. ^ Larval development and morphogenesis of the sea spider Pycnogonum litorale (Ström, 1762) and the tagmosis of the body of Pantopoda


  4. ^ “Sea spiders provide insights into Antarctic evolution”. Department of the Environment and Energy, Australian Antarctic Division (2010年7月22日). 2017年12月27日閲覧。


  5. ^ “【動画】ウミグモは「脚呼吸」、腸で酸素運ぶ” (日本語). http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/071200265/ 2018年11月21日閲覧。 


  6. ^ Postembryonic development of pycnogonids: A deeper look inside

  7. ^ abRegier, Jerome C.; Shultz, Jeffrey W.; Zwick, Andreas; Hussey, April; Ball, Bernard; Wetzer, Regina; Martin, Joel W.; Cunningham, Clifford W. (2010年2月). “Arthropod relationships revealed by phylogenomic analysis of nuclear protein-coding sequences” (英語). Nature 463 (7284): 1079–1083. doi:10.1038/nature08742. ISSN 0028-0836. https://www.nature.com/articles/nature08742. 

  8. ^ abDunlop, J. A.; Arango, C. P. (2005年). “Pycnogonid affinities: A review”. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research 43: 8–21. doi:10.1111/j.1439-0469.2004.00284.x. 


  9. ^ アノマロカリス類は前大脳のみ、中大脳はない。

  10. ^ abMaxmen, Amy; Browne, William E.; Martindale, Mark Q.; Giribet, Gonzalo (2005年). “Neuroanatomy of sea spiders implies an appendicular origin of the protocerebral segment”. Nature 437 (7062): 1144–8. Bibcode 2005Natur.437.1144M. doi:10.1038/nature03984. PMID 16237442. 

  11. ^ abJager, Muriel; Murienne, Jérôme; Clabaut, Céline; Deutsch, Jean; Guyader, Hervé Le; Manuel, Michaël (2006年). “Homology of arthropod anterior appendages revealed by Hox gene expression in a sea spider”. Nature 441 (7092): 506–8. Bibcode 2006Natur.441..506J. doi:10.1038/nature04591. PMID 16724066. 








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