フキシャンフィア


フキシャンフィア

生息年代: Cambrian Stage 3

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Fuxianhuiafossil.jpg
フキシアンフィアの化石


地質時代

古生代カンブリア紀
(Cambrian Stage 3)

分類





















:

動物界 Animalia


:

節足動物門 Arthropoda


:
Yunnanata


:
†フキシャンフィア目 Fuxianhuiida


:
†フキシャンフィア科 Fuxianhuiidae


:
フキシャンフィア属 Fuxianhuia

学名

Fuxianhuia
Hou, 1987

タイプ種

Fuxianhuia protensa
Hou, 1987
下位分類群(種)

  • Fuxianhuia protensa

  • Fuxianhuia xiaoshibaensis

フキシャンフィアFuxianhuia)はカンブリア紀に生息した化石節足動物フキシャンフィア類の1属。タイプ種Fuxianhuia protensa は澄江動物群の一つである。原始的な特徴を持ち、節足動物の初期系統(ステムグループ)に関する議論の的となってきた。多くの標本が得られているにもかかわらず、その形態、特に頭部の付属肢に関しては、澄江動物群の中で多くの論争が行われており、さらに節足動物の頭部に関する問題(arthropod head problem)の文脈でも広く議論されてきた。


属名「Fuxianhuia」は本属が産出した撫仙湖(英語版)に由来する。タイプ種の種小名 「protensa 」は、長く伸びた胴体を表したものである[1]




目次





  • 1 形態

    • 1.1


    • 1.2 循環系



  • 2 分類


  • 3 脚注


  • 4 参考文献


  • 5 関連項目




形態





フキシャンフィアの復元図


全長は約4cm。頭部の最前方に小さな楕円形の殻をもち、眼柄の付いた1対の複眼をそこに備えている。その後方から胸部の前方までを覆うような殻があり、1対の頑丈な触角が腹面から突き出す。記載論文では、触角の後方に1対の特殊化した鋏状の付属肢(specialized post-antennal appendages、SPAs)が存在するとされている[2]。この付属肢は関節があって後方を向いたもので、標本によってその位置はあまり変化しない。このことと、この構造は比較的不明瞭であることから、付属肢の存在はしばしば疑問視されることがある。Waloszekらの研究では、この構造が2枚のクチクラ層の間に位置しているように見えるため、これは消化管の分岐であり付属肢ではないとしているが[3]、広く受け入れられた見解ではない[4]。腹面の口は大きな口下片(hypostome)に覆われる。


頭部の後方から背板を持った胴体部が続く。前半部は付属肢のついた体節で、胸部を構成している。頭部の殻に覆われた前端3枚の背板にそれぞれ1対、それ以降の16–17個の背板1枚につき2-3の付属肢が付く。各付属肢は単純な二叉型で、楕円形で滑らかな外肢と、頑丈で多数の短い環形の節のある内肢から構成されている。


胸部の後ろには付属肢のない14の背板が続いて腹部となる。この腹部の尾端には、尾節のような部分がある。





2012年、脳と視葉が保存された化石が見つかった[5]。形と複雑さは、現代の軟甲綱の脳と大まかに対応していた[5]。脳は現在の節足動物で見られるように、前大脳・中大脳・後大脳という3つの脳神経節からなり、それぞれの部位は眼・触角・SPAsに対応していた。節足動物の系統が広く分化する前に、既にこの形の脳が存在していたことが明らかとなった[5]



循環系


2014年、管状の心臓と血管が保存された化石が見つかった。これは、発見されている循環系の化石として最も古いものである。論文の執筆者の一人、Nicholas Strausfeldは、「頭部の血管が発達していることから、この生物の脳が機能するためには十分な酸素が必要だったことが推測される」と語っている[6]



分類














シベリオン目













Gilled lobopodians(側系統群)





アノマロカリス類



Deuteropoda






"bivalved forms"(側系統群)











フキシャンフィア類










Megacheira



真正節足動物








鋏角類





Artiopoda





大顎類










節足動物のステムグループにおけるフキシャンフィア類の系統的位置。[7][8][9]

記載時の標本は不完全なもので[10]、頭部と脚が発見されるまでどのような生物だったのかは不明であった。かつての分岐学的解析では鋏角類のステムグループに属するとされていた[11]が、頭部が胸部と関節していること、背板と体節が対応していないこと、付属肢があまり分化していないことは、本種はむしろ非常に基底的な節足動物であることを示唆している[2][12][13]。眼のついた体節が区別できる形で存在することからは、初期の節足動物では口前葉が分離していたことが推測できる[2]。また、多数の環形の節からなる内肢により、節足動物の関節肢は葉足動物の葉足から特化するものであることが示唆される[7]


本属に類縁する化石節足動物としてChengjiangocarisShankouia などが発見されており[3]フキシャンフィア類(フキシャンフィア目 Fuxianhuiida)を構成する[14]。これらの種類は、脚の形態などが微妙に異なる。また、バージェス頁岩のカナダスピスとの類縁関係も議論されている[13]



脚注




  1. ^ “Sea creature fossil found with oldest-known cardiovascular system”. Reuters. 2014年10月12日閲覧。

  2. ^ abcChen, JY; Edgecombe, G. D.; Ramsköld, L.; Zhou, L (1995年). “Head segmentation in Early Cambrian Fuxianhuia: implications for arthropod evolution”. Science 268 (5215): 1339–1343. doi:10.1126/science.268.5215.1339. PMID 17778981. 

  3. ^ abWaloszek, D.; Chen, J.; Maas, A.; Wang, X. (2005年). “Early Cambrian arthropods – new insights into arthropod head and structural evolution”. Arthropod Structure and Development 34 (2): 189–205. doi:10.1016/j.asd.2005.01.005. 


  4. ^ Scholtz, G.; Edgecombe, G. D. (2006年). “The evolution of arthropod heads: reconciling morphological, developmental and palaeontological evidence”. Development, Genes and Evolution 216 (7–8): 395–415. doi:10.1007/s00427-006-0085-4. 

  5. ^ abcMa, Xiaoya and Hou, Xianguang and Edgecombe, Gregory D and Strausfeld, Nicholas J (2012年). “Complex brain and optic lobes in an early Cambrian arthropod”. Nature 490 (7419): 258-261. doi:10.1038/nature11495. 


  6. ^ Strausfeld, quoted in Will Dunham, "Sea creature fossil found with oldest-known cardiovascular system", Yahoo Bews, 7 April 2014: accessed 7 April 2014.

  7. ^ abYang, Jie; Ortega-Hernández, Javier; Legg, David A.; Lan, Tian; Hou, Jin-bo; Zhang, Xi-guang (2018年2月1日). “Early Cambrian fuxianhuiids from China reveal origin of the gnathobasic protopodite in euarthropods” (英語). Nature Communications 9 (1). doi:10.1038/s41467-017-02754-z. ISSN 2041-1723. https://www.nature.com/articles/s41467-017-02754-z. 


  8. ^ Origin and evolution of the panarthropod head – A palaeobiological and developmental perspective


  9. ^ Making sense of “lower” and “upper” stem-group Euarthropoda, with comments on the strict use of the name Arthropoda von Siebold, 1848


  10. ^ Xian-guang, Hou (1987年). “THREE NEW LARGE ARTHROPODS FROM LOWER CAMBRIAN, CHENGJIANG, EASTERN YUNNAN”. Acta Palaeontologica Sinica 3: 003. 


  11. ^ Wills, Matthew A and Edgecombe, Gregory D and Ramsköld, L (1996年). “Classification of the arthropod Fuxianhuia”. Science 3 (5262): 746-747. doi:10.1126/science.272.5262.746. 


  12. ^ Hou; Bergström, J. (1997年). “Arthropods of the Lower Cambrian Chengjiang fauna, southwest China”. Fossils & Strata 45: 1–116. 

  13. ^ abBudd, Graham E (2002年). “A palaeontological solution to the arthropod head problem”. Nature 417 (6886): 271-275. doi:10.1038/417271a. PMID 12015599. 


  14. ^ Order †Fuxianhuiida - Hierarchy - The Taxonomicon



参考文献


  • Hou, Xian-Guang; Aldridge, Richard J., Bengstrom, Jan; Siveter, David J.; Feng, Xiang-Hong 2004; The Cambrian Fossils of Chengjang, China, Blackwell Science Ltd, 233 pp.


関連項目


  • フキシャンフィア類

  • カナダスピス

  • ワプティア

  • Megacheira


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